〔研究者コラム〕ー「未来の貿易と社会貢献(第2回)」中東を理解する!?ー

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田代安彦教授

商学部の田代安彦教授が全5回シリーズでお届けするコラム「未来の貿易と社会貢献」の2回目です。

田代教授はかつて出光興産に勤務し、約11年間中東を中心に海外5カ国に駐在。エネルギー分野での通商を担当していました。1990年クウェート駐在時には湾岸戦争に遭い、家族と共にイラク軍の人質になった経験もあります。

商学部では海外での豊富な実務経験を生かし「貿易商務論」を担当。実業と学業の架け橋を目指して活動しています。

田代教授のプロフィルや研究情報はこちらをご覧ください。00_line-top.gif

第1回でお伝えしたとおり、貿易をするには自分や自国を知り、相手に理解してもらうことが大切です。しかし同様に、相手のことを理解することも大切です。お互いを知り、双方のメリットを追求する。それが貿易の基本姿勢です。ところが相手は海外の人々、良く勉強しないといけません。

例えば中東。IS問題等で揺れていますが、日本にとっては大切な貿易相手。日本は、輸入額の3分の1を占める石油、ガスの多くをこの地域から輸入しています。また、お好み焼きのソースに使うデーツ(なつめやし)は中東からの輸入品、『昔アラブの偉いお坊さまが~』という歌い出しで多くの歌手にカバーされた「コーヒールンバ」は今のイエメンあたりのお話です。少し身近になりましたか?

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中東地域で古くから用いられるポットや酒杯

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お好み焼きソースに使うデーツ(なつめやし)

さて、ここで一問。あなたは自宅に招いた友人に自慢の紅茶カップでお茶をご馳走しました。ところが、相手が誤ってこれを落として割ってしまった。これが中東の場合、あなたは相手からのどういった言葉を期待できるでしょうか?

ごめんなさい?いいえ、中東での答えは「気にするな」です。何故でしょう?

相手の方は、あなたに気遣ってくれているのです。「今日、このカップは壊れる運命にあった。それはあなたの日ごろの行いが悪いから、神様がそうお決めになったのだろう。まあ、気にするな」ということです。

中東では、宗教の違い、厳しい気候、歴史、文化、政治体制、資源問題など、いろいろと複雑です。一つ一つ勉強が必要ですね。

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クウェートタワー

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クウェートのゴルフ場
(グリーンは、ブラウンと呼ばれる柔らかい土。フェアウェイは携帯している人工芝を敷いて打つ。)

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