〔研究者コラム〕「ミツバチからのメッセージ(第1回)」―福岡大学の雑木林で―

私たちの日常でも出会うことがあるミツバチや蝶。ミツバチや蝶が私たちの生活を支えていることを知っていますか?今回のコラムでは、生物学を専門としてミツバチの研究を行っている福岡大学理学部地球圏科学科の藍浩之助教が「ミツバチからのメッセージ」というテーマで5回にわたってミツバチの社会、ミツバチ の能力そしてミツバチを取り巻く自然環境についてお伝えします。

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もうすぐ暦の上では立春ですが、朝晩はまだ肌を刺すような寒さが続いています。福岡大学では2月2日から一般入試が始まります。受験される皆さん、悔いを残さないよう頑張ってください。

さて、春からの新生活を迎えるため、頑張っているのは受験生だけではありません。彼らは、暖房器具もなく家の中でじっとしています。普段彼らのお世話になっている私は、時々心配になり、家のドアをノックします。しかし、返事がないとさらに心配になり、ドアの隙間から家の中の様子をうかがいます。すると、彼らはお互いに体を寄せ合って暖を取っていました。

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体を寄せ合って暖を取るミツバチ

彼らの正体はミツバチです。彼らは体の筋肉を細かく振動させることで生じる熱でお互いを温め合い、冬の間でも30度の体温を保ちます。しかし体力のない者は徐々に息を絶え、冬越し前に数千匹からなる家族(コロニー)は、2月下旬には数百匹まで減少してしまいます。この時期はミツバチにとって家族の生死を分ける1年で最も厳しい季節で、今もお互い励まし合いながら、暖かい春を迎える準備をしているのです。

今、ミツバチは世界中で注目を集めています。ミツバチなどの花粉媒介昆虫は、さまざまな花の受粉を通して四季折々の植物の多様性を維持しています。福岡市も同様、この豊かな自然は小さな生き物たちの活躍で維持されています。しかし、地球温暖化による野生動植物の激減、里山の開拓、さらにわれわれの食生活を支える農薬もミツバチの生き残りのための大きな障害になるのではと危惧されています。

しかしながら、その状況が十分に知られていないのが現状です。本コラムではミツバチの社会、能力そして彼らを取り巻く自然環境について5回にわたってお伝えしていきます。

なお、福岡大学では、これらの知識や技術を皆さまと分かち、これからの人間と自然の関係を考えるためのシンポジウムを、2月21日(火)に開催します。お誘い合わせの上ぜひご参加ください。詳しくは以下の関連ニュースをご覧ください

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