〔研究者コラム〕「"受験生必見"ここぞという時、力を発揮するために(第3回)」ー緊張の中で最高のパフォーマンスをするには①ー(スポーツ科学部・下園博信教授)

2月に入り、受験シーズン真っ只中です。大切な試験に挑戦する受験生に向けて「ここぞという時、力を発揮するために」をテーマに2人の先生がコラムをお届けしています。第3回は、福岡大学ラグビー部の副部長でスポーツ科学部教授の下園博信先生が「緊張の中で最高のパフォーマンスをするには」と題して2回にわたりご紹介します。

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試験の結果が良くなかった時に「普段は上手くできるのに・・」「その場の雰囲気に圧倒された・・」「いつもと違う感覚になった・・」などの感想をよく耳にします。言い換えれば、それは「緊張していた」ということになるのではないでしょうか。

緊張について、スポーツ心理学では「スポーツ不安(sport anxiety)」として研究が行われています。スポーツ不安とは「冷静さを失い、自分では何をしたらよいか分からなくなり、普段どおりの動作や戦術行動ができなくなる」(『スポーツ心理学事典』、2008)と説明されています。

でも、大事な試験の時に全く緊張しないなんてことはないと思います。緊張していても、実力を発揮することについて考えてみましょう。

最近の研究では、実力を発揮させる要因は「普段と変わらないようにする」こと。そのために、「リハーサルをする」ことが、効果的であるといわれています。アスリートは本番と同じようにリハーサルをすることも少なくありません。昨年、日本中でブームになったラグビー日本代表ですが、ワールドカップ期間中の試合予定と同じ日程で国際試合を組み、実際にイングランドに遠征し、試合の疲労度や感覚を事前に体験していました。

このように、緻密な「リハーサルを行う」ことで、場の雰囲気や時間の過ごし方、道具の使い方や足りないものへの気付きなどが明らかになります。本番前に失敗したり気付かされたりすることで、万全な準備をすることができ、本番にいつもの実力が発揮できる可能性が高まるのです。

普段からの勉強が、受験する時と同じような状況になっているか。同じ試験会場でリハーサルはできませんが、時間の設定、使用する文房具、そして服装なども試験当日と同じものを用意し、「リハーサル」をしてみることも良いのではないでしょうか。

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