〔研究者コラム〕―「治験と臨床研究(第3回)」インフォームド・コンセント―

全5回シリーズで「治験と臨床研究」と題したコラムを紹介しています。コラムを担当するのは福岡大学病院臨床研究支援センター長の野田慶太教授です。

野田教授のプロフィルや研究情報はこちらをご覧ください。

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臨床研究や治験は、人を対象として行われますので、当然、倫理性・安全性を確保しなければなりません。そこで、研究への参加を求める際には、臨床研究の場合は国が示している「臨床研究に関する倫理指針」、治験の場合は法律で規定されている「医薬品の臨床試験の実施の基準」に従って、参加予定者にインフォームド・コンセントを得なければなりません。

インフォームド・コンセントとは、参加予定者(被験者)が研究の内容に関して十分に説明を受け、理解した上で(informed)、自由意思により研究への参加に合意する(consent)ことです。

その際に使用する説明資料を「同意説明文書」といいます。同意説明文書には、①被験者自由意思により参加できる②不参加でも被験者は不利益を受けない③同意後もいつでも撤回できる、といった治験・臨床研究における被験者の権利を確認する内容の他、④研究の内容⑤研究により受ける利益や不利益⑥研究中発生した健康被害への対処の方法など、研究の内容が詳しく記載されています。

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これを読んで納得した場合、被験者は同意書に署名します。この同意書は、研究中に起きた副作用に対して研究者が責任を負う必要はないという契約ではありませんので、安心してください。

同意の署名は、被験者自身が行いますが、例外があります。一つは、被験者が未成年の場合。満20歳未満の方ですが、民法上20歳未満でも婚姻歴のある方は成年となります。もう一つは成年であっても、同意能力のない場合。例えば、事故で意識のない方やアルツハイマー認知症などで判断能力のない方です。この場合、代諾者の同意(署名)が必要です。

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