〔研究者コラム〕―「治験と臨床研究(第2回)」臨床研究のやり方―

全5回シリーズで「治験と臨床研究」と題したコラムを紹介しています。コラムを担当するのは福岡大学病院臨床研究支援センター長の野田慶太教授です。

野田教授のプロフィルや研究情報はこちらをご覧ください。

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臨床研究といっても、過去のデータ(例えば、摂取カロリーと肥満度)を集計するもの(観察研究)から、新薬候補を飲んでその効果を証明するもの(介入試験)までさまざまです。今回は、臨床研究の中で最も科学的根拠として信頼性の高い方法といわれる「無作為割付二重盲検比較試験」を紹介します。

■「無作為割付」と「二重盲検」

「Aという成分が体重を減少させる効果があるか」を検証するとしましょう。第1回で説明したとおり、まずAが入った錠剤を飲む群(A群)と、錠剤からAの成分だけを抜いた錠剤を飲む群(O群)とに分けます。この際、研究者や参加者の希望とは関係なくバラバラに分けるやり方を「無作為割付」といいます。

無作為とは、サイコロを転がして偶数か奇数かでA群とO群に分けるイメージです。実際にはコンピュータを用いてランダムに割り付けます。この方法の利点は、誰がどちらの群になるかを誰も操作することができないことと、A群とO群の特徴(年齢、男女比、体重等)が均一になるということです。自由に選んでいいということになれば、皆さん体重を減少できるA群を選びますよね。

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「二重盲検」とは、投与される錠剤Aと錠剤Oを、見かけ上区別できないようにして、研究者にも参加者にも、どちらを使用しているか分からないようにする方法です。もし分かってしまうと、A群の方はやせると思い込み、日常生活でも体重を気にすることになりますし、O群の方ははずれに当たったとがっかりし、錠剤Oを飲まなくなるかもしれません。このような欠点を補うのが「二重盲検」です。

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