公認会計士試験に合格した現役学生(会計専門職プログラム1期生)が心境を語る

2013年12月と2014年8月に、それぞれ実施された公認会計士試験の短答式試験と論文式試験。会計専門職プログラムにおいて、両試験の合格者第1号となった商学部の坂本遼介(商学部商学科会計専門職プログラム3年次生)さんがインタビューに答えてくれました。

会計専門職プログラムは、在学中に公認会計士試験や税理士試験などのハイレベルな資格試験の合格を目指す福岡大学独自の会計プロフェッショナル養成プログラムとして、2012年度から商学部・商学部第二部に設置されたものです。

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<公認会計士になるチャンスを生かして>

福岡大学で見つかった公認会計士になるという夢。入学後、坂本さんは「会計専門職プログラム」が新設されることを知り、挑戦しようと決意します。「参加を思い立った理由は、専門性を身に付け、資格を取得することは、自分の可能性を広げる糧になると感じたからです。また、本プログラムでは大手専門学校の授業を受けて学ぶのですが、大学の授業料のみで追加の費用負担はありません。この恵まれたチャンスを生かさない手はないという気持ちが強い後押しとなりました」と当時を振り返ります。

坂本さんは、本プログラムへの参加を目指す学生の必修科目ともなる「簿記原理」「会社簿記」「原価計算論」の3科目を履修し、1年次の後期試験後に実施される本プログラム参加への選抜試験に備えてひた向きに勉強に取り組みました。その甲斐あって、筆記と面接の試験をクリア。見事、第1期のプログラム学生28人のうちの1人に選ばれたのです。

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<限られた時間を徹底的に有効活用>

1年次の2月下旬から、いよいよ本プログラムのカリキュラムがスタート。春休み中は、福岡大学と提携する大手専門学校「TAC」の福岡校に週5日間通っていたと言います。授業開始は朝10時。3時間の授業が1日2コマあり、夕方17時まで集中して勉強に取り組んでいた坂本さん。最初のころは、勉強範囲の膨大な広さに圧倒され、そのうえ授業展開のスピードが速く、そのペースに付いて行くのに苦労したそうです。2年次の学生生活が始まると、昼間は学部の授業を、18時から21時までは福岡大学キャンパス内で実施される専門学校の先生によるプログラムの授業を受け、さらなる学習量を求められるように。予習・復習はもちろん、課題にも全力で取り組むなど、多い日は8~10時間ほど自習に当てていたとのこと。「学部とプログラムの学びを両立させるために、授業以外の空いた時間を徹底的に有効活用するよう心掛けていました」と坂本さんは語ります。やるべきことの優先順位を決め、少しの時間でやれること、ある程度時間を確保しないとやれないことを見極める。そして意識的に時間をつくる。時間コントロールの術が身に付いたころ、学部とプログラムの学びの両輪は加速度を付けて回り始めます。

公認会計士試験の勉強の中で、坂本さんが苦手だった科目は「監査論」。「試験問題では、企業が不正をした場合の対処法やそれに至った経緯を考えるなど、状況に応じた企業の実情をイメージする力が求められます。単に知識を詰め込むだけでは答えを導き出すことができない科目でした」。そんな弱点を克服する支えとなったのは、実務経験豊かな先生方。「この科目は、会計士業務の多様な実務ケースに数多く触れることがポイントでした。そこで授業中の小テストなどで解けなかった箇所は積極的に先生に質問し、毎回経験に基づく現場の意見を交えた生きた解説をしていただきました。そのおかげで少しずつ力を養え、自信を持つことができました。先生方の中には福大出身の方もいらっしゃって、親身にサポートしていただけたので、本当に心強かったです」。

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<合格に直結する学びを実感、恵まれた環境に感謝>

こうした勉強漬けの日々を送り挑んだ短答式試験と論文式試験。地道に積み重ねてきた努力が実を結び、坂本さんは両試験の難関を見事に突破。本プログラムにおける公認会計士試験の合格者第1号となったのです。目標を成し遂げられた秘訣や本プログラムの魅力を坂本さんはこう話します。「合格を勝ち取れたのは、毎回の授業と課題に必死に取り組み続けた結果です。特別な勉強をしたということはありません。それだけに本プログラムには合格に直結する確かなカリキュラムが用意されていると、今あらためて実感しています。

また、会計士の勉強をする中で感じたのは、学部とプログラムで得られる学びの違い。例えば学部の授業では理論や考え方、それらの歴史や背景を体系的に学び、課題自体の発見から解決へのアプローチまで議論を交えて考察していきます。一方プログラムの授業ではプロになるための徹底的な実践力を養います。そうした相互作用の学びによって、会計学を中心とした領域を多面的に捉える力が得られたのは、本プログラムならではの魅力だと思います」。続けてモチベーションを維持し続けることができた要因について尋ねると、「プログラム担当の大学の先生方は、日ごろから何かと気に掛けてくださって、折に触れて勉強や大学生活の相談に乗っていただいたことが支えになりました。また、プログラムの参加学生の仲間たちと切磋琢磨できたこと。そして、何より『1番になりたい』という強い思いがずっとあったからです」と勉強に対してストイックな坂本さんらしい答えが返ってきました。

体調管理を気にしてくれた家族、刺激し合った仲間、細やかな気遣いを頂いた先生。この恵まれた環境に感謝を伝える坂本さんでした。

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<世界を視野に入れた公認会計士へ>

論文式試験の合格発表の約1カ月後、坂本さんは大手監査法人の東京事務所に内定を獲得。今後は同事務所にて学生非常勤として、2015年1月下旬から400時間の実務に従事。卒業後に正式に入所し、公認会計士になるために必要な2年間以上の実務経験を積んでいく予定です。将来については、「世界的に会計基準が統一され始めていて、会計の分野でもグローバル化が進んでいるので、海外の事務所で働いてみたいです。企業のIPO(株式公開・上場)支援にも興味があります」と話してくれた坂本さん。その瞳には、自らの力で将来を切り開く新たな意欲がみなぎっていました。

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