日本・世界の主要な死因「心血管疾患」  「心血管疾患」のリスクを軽減する戦略として、 白血球数と高悪玉コレステロール血症の発症率の関連性に着目 壱岐市の住民を約4年半追跡調査し、関連の有意性を認める

現在、心不全や脳卒中等の心血管疾患(CVD)は、日本だけでなく世界でも主要な死因となっています。心血管疾患のリスク増加には、不健康な食生活や運動不足等が原因で起こる肥満・脂質異常症・高血圧・糖尿病等のライフスタイル関連要因が関係していることがこれまで報告されていました。また報告の中では、悪玉コレステロール(LDL)値が高いことが、心血管疾患の危険因子であることも示されていました。

そこで、福岡大学医学部の奥津翔太医師(衛生・公衆衛生学教室、本学医学研究科博士課程4年次生)らは、悪玉コレステロールの値を下げ、心血管疾患のリスクを軽減する戦略において、将来の悪玉コレステロール値の上昇に対する予測因子について最新の知識が必要であると考え、今回の調査研究を行いました。具体的には、長崎県壱岐市の住民約3,300人(30歳以上)を約4年半にわたり、健康診断データを用いた追跡調査を行うことによって、白血球数の増加と将来の高悪玉コレステロール血症の発症率の関連を評価しました。

その結果、白血球数の増加と将来の高悪玉コレステロール血症の発症には、統計的に有意な関係があることが分かりました。また、年齢・性別・喫煙・肥満・高血圧・糖尿病等のリスク要因を調整しても、白血球数と高悪玉コレステロール血症の発症の関連は有意でした。

心血管疾患のリスク軽減においては悪玉コレステロール値をコントロールすることが重要です。白血球数が高めの方に積極的に生活習慣の改善を働きかけることにより、将来の悪玉コレステロール値を効率よく低下させ、心血管疾患を予防する可能性を明らかにした今回の調査結果は、大変意義あるものと考えられます。なお、本研究結果は、論文「Elevation in white blood cell count and development of hyper LDLcholesterolemia」として『Scientific reports』にアクセプトされています。

 

  • 【お問い合わせ先】

福岡大学医学部 総合診療部 衛生・公衆衛生学教室 

電話:092-801-1011(代)(内線:3315)