DNA損傷を治す能力を生きた細胞で測る合成DNAを開発

DNA修復メカニズムを基盤とした創薬開発への発展が期待
ヒトのDNAは、生体内外からのさまざまな要因によって傷がついていきます。この傷を治すことができなければ、ヒトは「がん」や「老化」の症状を示します。このDNAを治す能力は、ヒトによってさまざまで、その能力を正確に測定することができれば、「がん」や「老化」に対する危険度を評価することができると考えられます。
福岡大学理学部化学科の倉岡功教授と竹立新人助教の研究グループは、このたび「DNA損傷を治す能力を測定する合成DNA」を開発しました。この研究は、大阪大学基礎工学部の岩井成憲教授のグループと福岡歯科大学の日高真純教授との共同研究によるものです。
この合成DNAを生きた細胞に導入することで、細胞のDNAを修復する能力がリアルタイムに観察できます。具体的には、修復ができているときのみ細胞が緑色に発光するように処理します。今回の開発は、一つの生きたヒトの細胞の能力を測定するものになりますが、例えば血液から採取した細胞などと反応させることによって、患者さんのDNA修復機能を解析することができると考えられます。今後はDNA修復メカニズムを基盤とした創薬開発への発展が期待されます。
本研究成果は、2022年4月9日(土)付けで『Mutation Research』に掲載されました。
  • 【お問い合わせ先】
    福岡大学 理学部化学科 教授 倉岡 功
    電話:092-871-6631 (内線 6222) 
    メールアドレス:kuraoka★fukuoka-u.ac.jp
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