FUKUDAism(フクダイズム)

  • facebook公式アカウント
  • twitter公式アカウント
  • Instagram公式アカウント
20201211
研究

【理学部50周年記念】「化学科」研究紹介 ~蛇毒の生化学~

  • facebookでシェアする
  • twitterでシェアする
  • LINEでシェアする

理学部設立50周年を記念し、理学部の取り組みや先生方の研究を紹介します。

今回は、化学科の塩井成留実助教の研究内容です。


●研究テーマ・内容等についてお教えください。

私は「蛇毒の生化学」と題し、研究を進めています。ヘビは約3,700種のうち、約600種が毒ヘビに分類されます。私の研究のテーマは2つ  ①「蛇毒がいつ、どこで、何を標的として、どのように私たちの体の恒常性を壊しているのか」、②「毒ヘビはなぜ、自分の毒では死なないのか」です。現在は特に②の研究を進めていて、毒ヘビ血液中から蛇毒素を阻害する新規タンパク質群の特定を行っています。

●研究を始めたきっかけは?

私は本学理学部化学科の出身です。3年次で大学院前期課程へ特別進学し、研究の道に進みました。本研究に携わることになったきっかけは、学部時代の「生化学」の授業で、私の恩師となる寺田成之教授の話を聞いたことです。いつも寡黙な先生が毒ヘビ毒液成分について情熱的に話すその研究はどんなものなのか知りたいと思ったところ、自分もどんどんのめり込んでしまいました。

●この研究は、私たちの暮らしにどう影響しますか?

WHO(世界保健機関)によると「世界で最も多く人間を殺める生き物」は、1位 蚊、2位 人間、3位がヘビと言われ、毒ヘビによる死者は年間13万人以上になります。それにも関わず、蛇毒の研究では未解明な部分が多くあります。私は、2018年から1年間、シンガポール国立大学で蛇毒研究を行いました。その際、毒ヘビ咬傷被害者の話を聞き、実際の噛み痕を見ました。咬傷被害は、自然界で共存する生物同士による不幸な出来事と言えます。蛇毒の分子機構解明は、効果的な医薬品開発の可能性を秘めており、私の研究がその一助になればと考えています。

●先生がご専門にされている研究の魅力、面白さをお教えください。

私にとって毒ヘビは、純粋に食べて生きるために毒を獲得した、ヘビの一生の選択に適応できるシステムを備えた賢い生き物として尊敬しています。そこから学べることは多く、生命の謎を凝縮している生物の一つです。また、毒ヘビ研究において、世界で初めて発表された論文は野口英世氏によるものです。先人の研究を引き継ぎ、より一層研究を進めていきたいと考えています。
 

<関連リンク>


関連記事

20201016_理学部「ロゴ」(リサイズ).jpg
【理学部50周年記念】2020年、理学部は創立50周年を迎えました
20201029_FOSニキシー管.jpg
【理学部50周年記念】FoS 2.0 ~福大理学部をアップデートせよ~<グループ編>
20201106_FOSキャラクターアイキャッチ.jpg
【理学部50周年記念】FoS 2.0 ~福大理学部をアップデートせよ~<キャラクター編>
20201102_理学部50周年_田中勝先生.jpg
【理学部50周年記念】「応用数学科」研究紹介 ~情報幾何~
IMG_1422.JPG
【理学部50周年記念】記念植樹式を行いました
20201104_宇宙ステーション(リサイズ).jpg
【理学部50周年記念】「物理科学科」研究紹介 ~重力波による宇宙の観測~
S2017012717154700_hy.JPG
【理学部50周年記念】「地球圏科学科」研究紹介 ~福岡の大気環境と健康~