
医療の分野を学び視野をさらに広げ、
健康に直結する運動の素晴らしさを伝えたい
高校の体育教師を目指して福岡大学に入学。恩師との出会いが、可能性を大きく広げてくれました。人体と健康の関連性についてさらに学びを深めるため、田中璃己さん(スポーツ科学部健康運動科学科4年次生)は来春、東京医科大学の大学院生として新たな一歩を歩み始めます。「運動の素晴らしさを分かりやすく伝えられるようになりたい」と、夢を語ってくれました。
〝浮ついていた〟2年次生の夏、
森口先生と運命の出会い
8歳から少林寺拳法を続け、高校では全国レベルのカヌー部に所属するなど、スポーツが大好きな田中さん。「将来は高校の体育教師として教える側に立ちたい」と、本学スポーツ科学部に入学しました。
スポーツだけでなく勉強にも力を入れ2年次生からは3年連続で特待生に選ばれています。しかし、そんな田中さんにも2年次生のはじめ、要領良く勉強ができる自分に慢心し、「将来のことも何とかなるだろう」と、どこか浮ついた日々を送ってしまった時期があったそうです。
2年次生の夏、田中さんに運命を変える出来事が。それは大分・九重で行われた、スポーツ科学部の専門教育科目「キャンプ実習」でのことでした。登山の途中、在来種のミヤマキリシマを守るため、外来種の木を伐採する環境保全活動を行いました。他の学生と同じようにノコギリでためらいなく木を切っていた田中さんに、思いがけぬ言葉が聞こえてきます。
「これも結局、人の都合だよな」。
振り返ると、そこには引率教員の一人として合宿に参加していたスポーツ科学部の森口哲史先生が立っていました。
外来種の木も、元はと言えば人が製紙用として輸入してきたもの。それまで物事を一方向からしか見ていなかった自分に衝撃が走ります。「もっと話が聞きたい」。それから頻繁に研究室を訪ねるようになり、3年次は「公衆衛生学」をテーマにする森口ゼミで、環境が人に与える影響を研究しながら、先生とさまざまな話をしました。
ある時、森口先生は、自身が博士課程を修了した東京医科大学大学院への進学を田中さんに提案されます。ちょうどその頃、アルバイトをしていたスポーツジムのインストラクターの経験などを通して「今の自分の知識とスキルだけでは、運動の素晴らしさを現場で伝えきれない。もっと多くの経験を積むことが必要だ」と感じていた田中さん。一念発起して勉強し、見事合格。来春から、同大学大学院医学研究科医科学専攻(修士課程)の学生として学ぶことになりました。
今年6月から1カ月半、東京医科大学の学生と共同で研究・実験を実施。「運動をした時」と「しなかった時」で、体にどのような影響が出るのかを調べた。卒業論文は、このデータを基に仕上げていく。
多方向から健康・運動を理解し、
分かりやすく人々に伝えていきたい
キャンプ実習での森口先生の言葉もそうでしたが、物事にはいろいろな側面や見方があります。それは医療・健康・運動の分野でも同じことだと田中さんは考えます。
「運動が健康に大きな影響を与えることには確かな実感があります。今後さらに視野を広げて学びを深め、自分なりの答えを見つけた上で、人々に健康と運動の関連性を分かりやすく伝えられるようになりたいです」。
進学後の進路は未定ですが、「まずは目の前のことにしっかり向き合い、どんな道を選ぶにしても、『あいつと一緒に働きたい』と思ってもらえる人間になりたいです」と話してくれました。
目標を決めたら、そこに向かって走り続ける粘り強さと、先入観なく物事を受け入れる素直さ、そして親しみの持てる笑顔と人柄を武器に、新たな一歩を踏み出します。
![[隈本さんのキャンパスライフ一問一答]](../assets/img/campuslife/img_campuslife02_ttl.png)
Q.学内でお気に入りの場所はどこですか?
ひょうたん池です。授業の空き時間などに立ち寄ってはベンチに座り、目を閉じてリラックスしています。意外と人も少なく、サワサワという葉の揺れる音と木漏れ日が、とても心地いいのです。ここにいると、よく友達が声を掛けてくれます。
Q.福大スポーツ科学部を選んだ理由は何ですか?
体育の教員を目指しており、体育系学部のある大学を志望していました。その中で、学部も多岐にわたり、学生の数も多いのでいろんな人脈ができると思い、福岡大学を選びました。




スポーツ科学部
健康運動科学科へ入学
入学後、4年次生から「特待生制度」のことを聞き、猛勉強してトップに。学外では、高校での経験を生かしてカヌー教室のインストラクターのアルバイトをし、小学生から社会人まで幅広く教えた。





スポーツ科学部で恒例となっている4泊5日のキャンプ実習。冒険教育プログラムの体験活動やレクリエーションゲーム、野外調理や自然保護ワークなどを体験。「協力する大切さ、楽しさを学びました」。


森口哲史先生との出会い
夏休みの「キャンプ実習」で2015年4月に赴任したばかりの森口哲史先生と出会い、先生の人柄に強烈に惹かれ、森口ゼミで研究を進めると決心する。


東京医科大学大学院への進学を決意
授業の現場実習や、スポーツジムのインストラクター経験を通して「今の自分の知識とスキルでは人に伝えることは難しい」と感じる。森口先生から東京医科大学大学院への進学を提案され、選択肢が大きく広がった。