
見知らぬ土地での映画製作を通して、
掴んだ成長の手応え
「しまね映画塾2016 in 雲南」に助監督として参加した隈本佐波さん(経済学部経済学科4年次生)。年齢や経験に関係なく集まった製作スタッフの一員として、島根県雲南市での映画撮影に挑みました。作品は審査員賞を受賞し、「引っ込み思案だった自分が、大きく変わるきっかけにもなりました」と振り返ります。
引っ込み思案だった自分を
変えてくれた3日間
大学に入学した当初は、授業が終わるとまっすぐ家に帰ることが多く、活動的なタイプではなかったという隈本さん。2年次生の時、授業で映画監督の錦織良成氏の話を聞く機会があり、その錦織氏が塾長を務めていたのが「しまね映画塾」でした。島根県内の公共ホールなどで映画を上映している「しまね映画祭」実行委員会が主催し、プロの助言を受けながら映画を製作することで映画の魅力を知ってもらうことを目的とした映画塾です。創作活動に関心があった隈本さんは参加を申し込みましたが、一緒に行く予定だった友人が急に行けなくなると、2泊3日で行われる撮影に一人で参加することに不安が募り一度は参加を辞退。しかし「このままだと後悔する」と思い直し、翌年改めて一人で参加しました。
映画製作は、もちろん初めての経験。脚本を書く自信もなく、カメラワークにも不安のあった隈本さんは、消去法で助監督を希望しました。助監督は全体をサポートする役割ですが、何をしてよいか分からないまま撮影が進みました。
そうした中、隈本さんにはどうしても引っ掛かるシーンがありました。何度シナリオを読み返しても、「この表現では主人公の心情が伝わりにくい」と思ったのです。そのことを監督に言うべきかどうか迷った末、2日目の夜に行われた懇親会の場で、思い切って伝えてみました。
「どんな反応をされるか怖かったのですが、返ってきたのは『ありがとう』という言葉でした。初めて自分もチームの一員になれた気がして、本当にうれしかったです」。
隈本さんの発言をきっかけに他のメンバーからも意見が次々に出され、議論は夜遅くまで続きました。シナリオを修正して臨んだ3日目の撮影は作品への思い入れも強くなり、充実した1日になったと言います。
1カ月後に完成作品の発表上映会が行われ、隈本さんたちの作品は、特別賞に該当する審査員賞を獲得しました。
映画塾では助監督として映画撮影にのぞんだ(写真提供・しまね映画祭実行委員会)
「自分らしさ」を出すことで、
人脈も広がった
「映画塾は、それまでの自分の殻を破ることができた貴重な経験でした」と隈本さんは振り返ります。以前は周りに合わせることが多かったそうですが、自分の意見や思いを発言できるようになったことで多くの人との出会いが生まれ、フリーペーパー編集のアルバイトや地域NPO法人など、活動の場も広がっています。
将来の夢は、社会性のあるテーマを描ける絵本作家になること。ただ、「何をテーマに描くかを見つけるためにも、まずは多くの人や価値観に触れることができる営業職を経験したいと考えています」と、隈本さん。
自分自身の成長に確かな手応えを感じながら、就職活動に臨んでいます。
![[隈本さんのキャンパスライフ一問一答]](../assets/img/campuslife/img_campuslife02_ttl.png)
Q.学内でお気に入りの場所はどこですか?
図書館です。本を読んだり、レポートを書いたりよく利用しています。携帯ショップなどでお客さまの似顔絵を描くアルバイトをしているのですが、イラストを描く練習をすることもあります。
Q.福大経済学部を選んだ理由は何ですか?
テレビなどで見る経済や政治のニュースに関心があり、その背景が幅広く学べると思い志望しました。授業で学んだ知識によって報道されている内容が理解でき、授業への意欲も湧いてきます。




経済学部経済学科へ入学
授業の傍ら、11月頃から地域のボランティア活動に参加し人脈を広げる。そこで知り合ったイベント会社の社長の紹介で、さまざまなイベントのアルバイトを始める。


錦織監督の話を聞く
辰己佳寿子先生のゼミで地域経済学を学ぶ。授業で話を聞いた映画監督・錦織良成氏が塾長を務める「しまね映画塾」に興味を持つ。参加を申し込んだものの、友人が参加できなくなったことで、一度は参加を辞退。


「しまね映画塾」に参加
2016年9月17日から19日、島根県雲南市の撮影合宿に参加。短くも濃密な3日間を過ごし、作品が審査員賞を受賞。


写真提供:しまね映画祭実行委員会