入選作品
全国391校の11,981人から応募がありました。
厳正なる選考(選者は、氏名や学校名等を伏せ作品のみで評価)の結果、大賞〔福岡大学長賞〕、優秀賞(2作品)、特別賞〔西日本新聞社賞〕、特別賞〔NHK福岡放送局長賞〕、特別賞〔紀伊國屋書店賞〕、特別賞〔福大生が選ぶ賞〕、入賞(30作品)、学校賞(7校)を選出しました。
※受賞者氏名は敬称略
福岡県
福岡大学附属若葉高等学校
3年 松田 梨瑚
作品評価
(評:福岡大学長・朔 啓二郎)
マスクを着用するのが当たり前になった昨今。対面で向かい合って話す機会も少ない中、相手の感情を読み取るのが難しくなってきているように感じる。しかし、日々一緒に過ごす仲間ならマスク越しでも目を見て感じ取れるものがある。言葉を交わさずとも通じ合える絆の深さがこの一句から感じ取れる。
徳島県
阿南工業高等専門学校
3年 生田 生
作品評価
(評:福岡大学長・朔 啓二郎)
「オンライン」、昨年から何度この言葉を聞くのだろう。対面とは違い、その場には自分一人だけ。周りの目が届いていない環境で自分の思いが出てしまった。今の時代だからこそ起こる現象と思いつつ、どんな独り言だったのか気になって仕方がない。慣れない環境で、ついうっかり起きたハプニングの情景がイメージできる。
東京都
桐朋女子高等学校
2年 久保田 亜衣
作品評価
(評:福岡大学長・朔 啓二郎)
毎年、夏になるとワクワクする。それは自宅にさまざまなイベントの案内が届くから。しかし今年はワクチンの接種案内が。今年はこれが「なつだより」だと思うと少し寂しく感じる。
ワクチンに対する期待がありながらも、今年も夏らしいことができないのかなという作者の切ない思いが伝わってくる。
福岡県
福岡大学附属若葉高等学校
2年 高崎 春花
作品評価
(評:全日本川柳協会・梅崎 流青 氏)
昨日と同じ今日、今日と同じ明日が来ることに何の疑いも抱かなかった。そのことに疑問を覚えたのは2011年3月11日の東日本大震災、そして世界地図を赤く染めた今回の新型コロナウイルス。階下から「ごはんよ」と母の声。震災とコロナ禍が教えてくれた今日というかけがえのない一日。温かい炊きたてのごはんのような日常が家族間を行き交う。
北海道
北海道網走南ケ丘高等学校
3年 松田 優希奈
作品評価
(評:西日本新聞社・阪口 由美 氏)
ユーミンの歌ではないけれど、一瞬にして「やさしさに包まれて」しまった。チキンライスだけでも十分おいしいのに、さらにひと手間かけて、ふんわり卵で包むオムライス。そこにすでに「愛」がある。何も聞かず、さりげなく涙も包み込んでくれる母の存在。こんな「魔法」で世の中が包まれるよう願わずにはいられない。
山口県
宇部鴻城高等学校
1年 井上 京祐
作品評価
(評:NHK福岡放送局・菅谷 敦 氏)
風刺とは皮肉の程度が難しいものですが、この句はその塩梅が絶妙です。
世相を映すマスクを登場させ、学生生活と中高年の「あるある」を一つの動詞に集約する
手法は、さりげなくも完成度の高いものです。
さらにテレビ制作に携わる人間としては、この句が表す情景が、容易に脳内で映像化できる点も高く評価しました。
山口県
柳井学園高等学校
1年 柗下 優河
作品評価
(評:紀伊國屋書店・武藤 和男 氏)
コロナ禍の世の中で、ソーシャルディスタンスを守ることはとても大切だが、友人たちの心までが離れてしまい、殺伐とした学校生活になるのはいやだと筆者は訴えている。頭句の「しなくていい」という言葉に強いメッセージが込められ、奥の深い句と感じた。「心の」ソーシャルディスタンスという表現も秀逸。
第一学院高等学校(高萩校)
安藤 利華
作品評価
(評:学友会総務委員会 下河辺 ちより)
今現在、新型コロナウイルスが流行し、私たちの生活が大きく変化している、そのような状況を表した上での内容が伝わってきます。そしてこれは感染が収束した後にも言えることでしょう。当たり前のことのように思われながらも当たり前ではない日常生活や自分自身について、深く考えさせられる作品でした。
※受賞者氏名は敬称略
作品 |
氏名 |
高校所在地 |
高校名 |
学年 |
イケメンと 言われマスクを 外せない
| 青木 陽菜 |
石川県 |
金沢大学附属高等学校 |
1 |
SNS 身近に潜む SOS
| 在木 稜真 |
大阪府 |
大阪府立摂津高等学校 |
3 |
午後の授業 ノートに現る なぞの文字
| 有友 彩夏 |
愛媛県 |
愛媛県立松山南高等学校(砥部分校) |
3 |
消しゴムの サイズ変わらぬ 夏休み
| 磯野 真那花 |
兵庫県 |
兵庫県立長田高等学校 |
1 |
雑巾も 縫わない母が マスク縫う
| 入江 萌 |
熊本県 |
熊本県立天草高等学校 |
2 |
見てみたい 卒業までに 君の顔
| 上村 友亜 |
石川県 |
北陸学院高等学校 |
3 |
胸を張れ 父の言葉と その背中
| 内野 吏人 |
静岡県 |
東海大学付属静岡翔洋高等学校 |
3 |
接種前 緊張してか 熱上がる
| 大石 彩楓 |
長崎県 |
純心女子高等学校 |
3 |
マスクをね 外して再度 人見知り
| 大森 翔太 |
福岡県 |
福岡大学附属若葉高等学校 |
3 |
折りたたみ リュックに隠し 忘れたふり
| 小野 桃菜 |
大分県 |
大分県立別府翔青高等学校 |
3 |
携帯の 地図スクロール 旅気分
| 小濱 明日香 |
福岡県 |
福岡大学附属若葉高等学校 |
3 |
お弁当 おかずでわかる 母眠い
| 冠 斗生 |
大阪府 |
大阪府立信太高等学校 |
2 |
相合傘 濡れてる僕が 嬉しくて
| 岸上 琉音 |
島根県 |
益田東高等学校 |
3 |
サイダーに 潮騒を聞く 夏の午後
| 近藤 之恵 |
東京都 |
桐朋女子高等学校 |
2 |
受験前 神様だらけの マイリュック
| 酒巻 美々 |
徳島県 |
徳島県立城ノ内高等学校 |
3 |
バスの中 つり革がわりに 君の袖
| 澤本 亜美 |
兵庫県 |
兵庫県立武庫荘総合高等学校 |
2 |
白い歯を 見せることなく 帰る道
| 白草 慶大 |
徳島県 |
阿南工業高等専門学校 |
3 |
コロナ禍へ メダルが伝えた “支え合い”
| 髙石 萌歌 |
大阪府 |
関西大学第一高等学校 |
3 |
セミが鳴く 暑くて地球も 泣いている
| 髙林 陽彩 |
富山県 |
富山国際大学付属高等学校 |
1 |
リモートで 「起立」と言われ 慌てだす
| 都地 燿佑 |
福岡県 |
福岡大学附属若葉高等学校 |
1 |
高画質 最高画質は 現実だ
| 西崎 友晴 |
福岡県 |
福岡大学附属若葉高等学校 |
2 |
コロナ禍で 闘う誰もが メダリスト
| 橋本 七海 |
山口県 |
慶進高等学校 |
1 |
教科書に マーカー引いたら 出来た気に
| 花田 凱 |
福岡県 |
福岡県立小倉東高等学校 |
1 |
青春の 思い出すべて マスク付
| 林 萌子 |
愛知県 |
金城学院高等学校 |
3 |
文化祭 広がる恋の クラスター
| 日髙 颯太 |
宮崎県 |
宮崎県立都城泉ケ丘高等学校 |
3 |
最近の 断り方は コロナだし
| 開 柚衣 |
熊本県 |
熊本県立高森高等学校 |
3 |
単語帳 数周目でも どちらさま
| 星野 駿介 |
神奈川県 |
桐蔭学園高等学校 |
2 |
初めての 大会のはずが 引退戦
| 向井 菜月 |
東京都 |
郁文館高等学校 |
2 |
自粛して 家族の絆 密になり
| 村上 綾 |
富山県 |
富山国際大学付属高等学校 |
1 |
ぶらんこと 一人夏空 雲を漕ぐ
| 和多 彩夏 |
福岡県 |
福岡大学附属大濠高等学校 |
1 |
※敬称略
※受賞者氏名の五十音順に掲載
徳島県 阿南工業高等専門学校
山口県 宇部鴻城高等学校
大分県 大分県立別府翔青高等学校
広島県 呉港高等学校
富山県 富山国際大学付属高等学校
福島県 福島県立福島商業高等学校
北海道 北海道恵庭北高等学校
※学校名の五十音順に掲載
入選作品一覧(作品集)は
こちら(PDF / 1409KB)から
ダウンロードできます。
第17回全国高校生川柳コンクール選考委員
- 梅崎 流青 氏 (全日本川柳協会 常任幹事)
- 阪口 由美 氏 (西日本新聞社 編集局社会部)
- 菅谷 敦 氏 (日本放送協会福岡放送局 放送部専任部長)
- 武藤 和男 氏 (紀伊國屋書店 取締役副社長)