入選作品
全国208校の13,331人から32,468作品の応募がありました。
厳正なる選考(選者は、氏名や学校名等を伏せ作品のみで評価)の結果、金賞〔福岡大学長賞〕、銀賞〔全日本川柳協会賞〕、銅賞〔西日本新聞社賞〕〔NHK福岡放送局長賞〕、福大生が選ぶ賞〔特別賞〕(5作品)、入賞(45作品)、学校賞(6校)を選出しました。
福岡県
福岡大学附属若葉高等学校
1年 小林 優貴奈
作品評価
(評:全日本川柳協会・梅崎 流青 氏)
人間の頭髪は人にもよるが一カ月に約2センチ伸びるという。当然そのままの長髪の人もいれば剃り上げに近い短髪も。
いわば髪の長さは一つの自己表現でもあるのだ。引退力士の断髪式ほどではないにしても、新たなスタートに向ける決意の証として、髪を短くした「私だけの儀式」。
果たして登校日の仲間たちは私のこの小さな決意に気がついてくれたのだろうか。多感なる十代。
兵庫県
兵庫県立猪名川高等学校
3年 中尾 美結
作品評価
(評:全日本川柳協会・梅崎 流青 氏)
いつからの思いか。たんたんと月日だけが流れていく。いつの間にかもう夏。自分の思いは文字にしたためたけれど送信ボタンにためらってしまうこの指。
春から夏という時の経過と、夏祭りという賑わいと。思いを素直に伝えることのできない少し臆病な作者自身の対比が絶妙。
まるで送信をせき立てるように、遠くでポンと花火の上がる音が聞こえる。
神奈川県
神奈川県立逗葉高等学校
3年 相川 舞衣
作品評価
(評:西日本新聞社・堺 成司 氏)
高校生の携帯電話の所有率は9割を超える。
ラインにインスタグラムと一見、軽やかに使いこなしているようで、実は片時も手放せず、いつの間にかスマホに支配されている。
そんな世情を的確に捉えつつ「かう」の韻を踏んで楽しく表現した。ユーモアは行き詰まった時の突破口になる。ネット社会、文字で大いに遊ぼう。
兵庫県
姫路市立琴丘高等学校
2年 阿蘇 由城
作品評価
(評:NHK福岡放送局・江﨑 浩司 氏)
時代を映す川柳とあり、SNSやスマホを題材とした作品が相次いだ中、今も昔も変わらぬ高校生活の一幕を見事にえがいた作品。
選者たちと作者の年齢差は、四半世紀以上。
それでも誰もが“なるほど”と膝を打ちたくなる。若い人にとっては、リアルな現実。
上の世代には、苦くてなぜか懐かしい気持ちにさせてくれる作品だ。
福岡県
福岡大学附属大濠高等学校
1年 内田 暖望
作品評価
夏祭りの華やかな面だけを映し出すのではなく、その裏側に注目していることがとてもユニークだと思いました。
大阪府
大阪府立摂津高等学校
2年 杉本 夏実
作品評価
澄みきった甘酸っぱい思いに、心洗われました。いつまでもその気持ちを大切にしてくださいね。
福岡県
福岡大学附属若葉高等学校
2年 髙場 葉月
作品評価
夏のひと時にこの時間が続いてほしいという思い。そして受験に際し志望校に受かってほしいという祈り。この二面性が感じられる句ですね。高校生の青春が伺える良い句だと思います。
神奈川県
横浜雙葉高等学校
2年 南雲 ひかる
作品評価
好きな人に対して、素直になればいいのに照れてしまって少しいじわるしてしまう幼い頃を思い出しました。
好きという思いは増えていく一方で、言葉がなかなかそれにともなっていかない自身の体験と合わさって共感しました。
福岡県
福岡大学附属若葉高等学校
3年 山下 恵実
作品評価
結局教科書がマーカーだらけになってしまった懐かしい記憶を思い出します。逆に線を引いていないところが目立ちますね。

作品 |
氏名 |
高校所在地 |
高校名 |
学年 |
ホタル見て かつての思い 溢れだす
| 青山 賢人 |
愛知県 |
愛知県立守山高等学校 |
3 |
ペンだこが できて安心 夏の夜
| 青山 実 |
大阪府 |
大阪市立汎愛高等学校 |
2 |
五メートル 遠距離恋愛 教室で
| 安部 瑠美 |
大分県 |
大分県立別府翔青高等学校 |
1 |
君の横 クラスのみんなで 争奪戦
| 有馬 涼平 |
兵庫県 |
姫路市立琴丘高等学校 |
2 |
この想い 口で伝えず 文字で打つ
| 安藤 航輝 |
愛知県 |
愛知県立東郷高等学校
|
2 |
ホームステイ 母国の文化 胸を張る
| 石川 絢菜 |
福岡県 |
福岡大学附属若葉高等学校 |
2 |
じいちゃんも 読書の手段は iPad
| 井尻 春樹 |
福岡県 |
東福岡高等学校 |
1 |
たまに聞く 祖母の方言 外国語
| 伊藤 未桜 |
秋田県 |
秋田県立秋田西高等学校 |
2 |
健康器具で うめつくされる 家の中
| 伊福 サラ |
福岡県 |
福岡大学附属若葉高等学校 |
2 |
夏休み 明日があるの 繰り返し
| 上野 夏鈴 |
長崎県 |
純心女子高等学校 |
3 |
ラテアート インスタ上げて 秒で飲む
| 大谷 咲月 |
福岡県 |
福岡大学附属大濠高等学校 |
2 |
陽炎を 踏みしめ向う 通学路
| 岡林 愛佳 |
群馬県 |
群馬県立安中総合学園高等学校 |
1 |
嫌なこと 今となっては 過去のこと
| 加藤 愛三 |
大分県 |
大分県立別府翔青高等学校 |
1 |
投票に 行こうと決めた 誕生日
| 金内 凜 |
福岡県 |
福岡大学附属若葉高等学校 |
3 |
記憶より なんでもパシャリ スマホ撮り
| 金子 美羽 |
佐賀県 |
早稲田佐賀高等学校 |
1 |
絆創膏 持ってるだけで 女子力に
| 鎌田 真由 |
秋田県 |
秋田県立秋田西高等学校 |
2 |
緊張感 オープンキャンパス 一人旅
| 河合 勇樹 |
北海道 |
北海道稚内高等学校 |
2 |
バスの中 見渡す限り スマホなう
| 川畑 賢太郎 |
鹿児島県 |
樟南高等学校 |
2 |
見上げると 喜怒哀楽の 夏の空
| 河邊 琴音 |
福岡県 |
福岡大学附属若葉高等学校 |
3 |
夏休み 父に連れられ 初選挙
| 鬼頭 知絵理 |
愛知県 |
愛知県立刈谷東高等学校 |
3 |
家離れ 逆に増えたね 親子の会話
| 楠富 日菜乃 |
長崎県 |
聖和女子学院高等学校 |
1 |
あと一点 この一球に 全て懸け
| 小島 明寛 |
神奈川県 |
神奈川県立厚木東高等学校 |
2 |
競い合い 切磋琢磨し 得た絆
| 小柳 輝洋 |
福岡県 |
福岡常葉高等学校 |
3 |
帰宅して 「おかえり」聞こえる 温かさ
| 佐橋 茉宥 |
愛知県 |
名古屋市立緑高等学校 |
1 |
「内緒だよ」 次の日みんな 知っている
| 清水 瞳 |
兵庫県 |
兵庫県立氷上高等学校 |
1 |
朝起きて おれにも必要 アダプター
| 神宮 拓海 |
群馬県 |
高崎商科大学附属高等学校 |
2 |
鳴りやまぬ スマホの通知と 蟬の声
| 杉本 雄飛 |
大阪府 |
大阪府立摂津高等学校 |
2 |
会話中 スマホじゃなくて 私見て
| 杉山 新 |
秋田県 |
秋田県立横手清陵学院高等学校 |
2 |
赤点に 「死んだ」とさわぐ 生きた人
| 髙田 皓介 |
愛知県 |
名古屋市立緑高等学校 |
1 |
読めません キラキラネーム 君の名は
| 髙橋 柚惟 |
東京都 |
東京都立江東商業高等学校 |
2 |
はなさない 嫌いな人と 好きな人
| 武田 涼世 |
大分県 |
大分県立別府翔青高等学校 |
2 |
赤点は 伸び代たっぷり 希望有り
| 谷倉 涼花 |
愛知県 |
愛知県立東郷高等学校 |
1 |
忖度し 我が家の平和 守られる
| 内藤 喬 |
福岡県 |
つくば開成福岡高等学校 |
3 |
パンケーキ 味より量より インスタ映え
| 長尾 友香 |
群馬県 |
高崎商科大学附属高等学校 |
3 |
心の芽 目があう瞬間 花開く
| 中山 海斗 |
神奈川県 |
神奈川県立厚木東高等学校 |
2 |
やめてよね 若者という まとめかた
| 橋本 里穂 |
京都府 |
大谷高等学校 |
3 |
セミうるさい 勉強しろと 親うるさい
| 古川 昭浩 |
神奈川県 |
橘学苑高等学校 |
3 |
夏祭り りんごあめより 君探す
| 松田 若菜 |
愛知県 |
愛知県立東郷高等学校 |
2 |
スタンドの 君の心に ホームラン
| 松本 優史 |
京都府 |
大谷高等学校 |
3 |
受験生 ポケモン追わず 夢おった
| 真名子 健人 |
福岡県 |
東福岡高等学校 |
1 |
一部屋に 家族集まり 皆スマホ
| 室積 篤志 |
茨城県 |
茨城県立茨城東高等学校 |
1 |
料理より シェフの笑顔が フォトジェニック
| 元田 紀代香 |
熊本県 |
熊本県立第一高等学校 |
2 |
おばあちゃん 食べろ食べろと 太らせる
| 矢野 来夏 |
群馬県 |
高崎商科大学附属高等学校 |
2 |
人生の すべてを知った 祖父のしわ
| 山本 安純 |
佐賀県 |
早稲田佐賀高等学校 |
1 |
制服に すけるTシャツ 個性出る
| 米澤 弥央 |
大分県 |
大分県立竹田高等学校 |
3 |
※敬称略
※受賞者氏名の五十音順に掲載
入賞作品について
愛知県 愛知県立東郷高等学校
大分県 大分県立別府翔青高等学校
群馬県 高崎商科大学附属高等学校
兵庫県 姫路市立琴丘高等学校
兵庫県 兵庫県立猪名川高等学校
福岡県 福岡大学附属若葉高等学校
※学校名の五十音順に掲載
第13回(平成29年度)全国高校生川柳コンクール選考委員会
広報委員会構成員
- 学長
- 副学長(4人)
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- 入学センター長
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- 企画部長
- 学長が委嘱した者
学長が指名する者
- 梅崎 流青 氏 (全日本川柳協会常任幹事)
- 堺 成司 氏 (西日本新聞社編集局報道センター・社会部総合デスク)
- 江﨑 浩司 氏 (NHK福岡放送局放送部番組制作チーフ・プロデューサー)
- 田坂 順子 (福岡大学人文学部日本語日本文学科教授)