2020年10月に行われたプロ野球ドラフト会議で、福岡大学準硬式野球部の大曲錬投手(商学部)が埼玉西武ライオンズから5位指名、大濠高校硬式野球部の山下舜平大(しゅんぺいた)投手がオリックス・バファローズから1位指名を受けました。
FUKUDAism(フクダイズム)では、二人によるスペシャル対談を実施。福岡市西区にある福岡大学野球場で、プロ野球界に羽ばたく2投手にお話を伺いました。計3回のシリーズでお届けします。
- プロフィール
名前:大曲 錬(おおまがり・れん)
所属:準硬式野球部・商学部商学科4年次生
経歴:福岡県柳川市出身。小学3年生から野球を始め、高校時代は西日本短期大学付属高校野球部でプレー。福岡大学では準硬式野球部に所属。3年次には九州六大学準硬式リーグで最多勝利、最多奪三振、ベストナイン、MVPに輝く。ストレートの最速は154キロ。2020年のプロ野球ドラフト会議で埼玉西武ライオンズから5位指名。背番号は「59」に決定。
名前:山下 舜平大(やました・しゅんぺいた)
所属:硬式野球部 進学コース3年生
経歴:福岡市南区出身。小学3年生から野球を始め、三宅中時代は軟式野球部に所属。大濠高校では1年秋からベンチ入りし、2年次にはエースとして夏の県大会ベスト8入りに貢献。ストレートの最速は153キロ。2020年のプロ野球ドラフト会議でオリックス・バファローズから1位指名。背番号は「12」に決定。
ともに野球は小学3年生から
―ドラフト指名、おめでとうございます。ドラフト会議から時間が経ちましたが、現在の心境をお聞かせください。
1年前はプロを意識してないってことはなかったんですが、ドラフトにかかるかどうか分からない状況でした。ドラフト当日になっても、育成(契約)で指名してもらえればいいかなくらいにしか思っていなかったです。それが5位で指名を頂いたので、その期待に応えられるようにしっかり練習していきたいと思っています。
ドラフトが終わった今でも、“プロ野球選手になる”という実感はそんなに湧いていないです。1位で指名される候補だとは言われていましたが、1位にふさわしい選手は他にたくさんおられたので、1位はないだろうと思っていました。でも、1位で指名を受けて、嬉しさと同時にプレッシャーも感じています。期待される分、頑張っていかないといけないと感じています。
―お二人は今回が初対面ではないんですよね。
はい。以前、自分の方から会いに行きました。プロに入る選手の中で、一番近い存在でもあるので、挨拶もしっかりしておきたいと思っていました。そこで技術面でもお話が聞けたらいいな、という思いがあったので。
高校野球もネットとかで見ていたので、山下君の存在は知っていました。すごい投手がいるんだな、と。第一印象で「わ、大きいな」と思いましたね(笑)。年下ですけど、ドラフト同期として負けたくないという思いもありますし、自分の方が大学での経験があるわけですから、その経験を生かしながら活躍できたらと思います。
自分は大曲さんにお会いしてイケメンだなと思いました(笑)。自分も個人として、そしてチームとして負けたくないです。
―お互いの投球は見たことがあるのでしょうか。
はい、一度ブルペンで一緒に投げたことがあります。山下君は身長がある分、上から投げるボールの軌道がすごいなと感じましたね。
大曲さんはとにかく速いなという印象です。
―プロフィールは別枠で簡単にご紹介しますが、改めて野球を始めてからここまでの経緯をお聞かせください。
兄が野球をやっていた影響もあって、小学3年生から始めました。小学生の頃はキャプテンもさせてもらって、中学校時代から硬式野球で内野手と投手をしていました。小学生の頃に「プロ野球選手になりたい」と思っていましたが、中学・高校と野球を続けるうちに「プロ野球選手って遠い存在だな」と思うようになっていました。大学から準硬式野球部に入っていろんな人と出会いましたし、その中で成長してここに辿り着いたと思うので、周りの人に感謝しながらプロで結果を出していきたいです。
―大学から準硬式野球に変わった理由をお聞かせください。
高校3年生から投手になったのですが、周りが結果を出している中で、自分はどんなに練習しても結果を出せずにいました。大学で野球を続けるかどうかも迷っていたのですが、高校での悔しさもありましたし「試合に出たい」という気持ちが強くて準硬式を選びました。やっぱり野球が好きだったんだと思います。
―では山下投手もお願いします。
自分も小学3年生からです。地域の少年軟式野球チームに入って、中学校時代も部活動として軟式野球をしていました。小学校時代のチームの先輩に三浦銀二さん(現在、法政大学野球部で投手として活躍)がいて、三浦さんが大濠高校にいたので大濠高校に行きたいと思いました。
―大曲投手は(硬式の)野球部の練習に参加させてもらって、硬球の感覚を取り戻そうとされていますが、準硬式と硬式のボールにはどのような違いがありますか。
ストレートのボールの握りはそれほど変わらないのですが、変化球の握りは変えました。得意な変化球はスプリットですが、硬式の方が落ちる幅が大きいですね。自分としては少しだけ落ちればいいと思っているので、人差し指だけをかける感じで浅めに握っています。
―プロに入って変化球をもっと増やしたいという思いはありますか。
持ち球はスプリットのほかにスライダー、カットボール、チェンジアップですが、どの変化球も精度を上げていきたいですね。カーブは投げないので、プロではカーブも覚えていきたいです。
今、自分の持ち球はストレートとカーブだけです。(変化球の種類を)いっぱい持っていることに越したことはないと思いますし、まずはスライダーと言われるのですが、スライダーよりも先にフォークボールやカットボールを練習していきたいです。今もその2つは練習中です。
カットの握りは自分とは違いますね。自分はストレートの握りを少しずらす感じで、ストレートと同じ軌道で少し指先をはじく感覚で投げています。
―お二人は球速にはどれほどのこだわりがあるのでしょうか。
改めて硬式球を投げたときに、(準硬式球より)速くなるという印象はなかったのですが、スピード以上に伸びがあるなと感じました。球速を上げたいのは上げたいですが、それよりも伸びを生かしていきたいですね。どんなに速くてもプロでは通用しない部分はあると思うので、プロに入っていろいろ学べたらいいなと思います。
球速への憧れはかなりあります。今の最速は153キロですが、160キロは投げてみたいです。自分でいうのも何ですが、まだ投球フォームを修正していけば伸びしろはあると思いますし、練習していけば数字もついてきてくれると思います。
対談は第2回に続きます。お楽しみに!