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2021615
研究

コロナウイルスを不活性化する「クリーンエアシャワー」の共同開発者に聞く(第1回)

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マリンメッセ福岡で実施されている新型コロナウイルスの集団ワクチン接種では、入り口付近にゲート型の「クリーンエアシャワー」が設置されています。

この装置は、接種希望者がゲートをくぐると、8つのノズルから洋服などに風が吹きつけられ、飛んだウイルスをフィルターでとらえて紫外線を照射し、ウイルスを不活性化するもので、コロナ対策の1つとして活用されています。㈱エッチ・ピー・エス(新宮町)が開発に乗り出し、福岡大学工学部化学システム工学科の三島健司教授の研究室が開発に携わりました。

今回は、本共同開発に携わった三島教授と大学院生の徳永真一さんに話を聞きました。第1回は、三島教授です。


(左から)三島教授と徳永さん


工学部化学システム工学科
三島 健司 教授

・クリーンエアシャワーの共同開発をはじめた理由やきっかけをお教えください。

本学ご卒業生の方からエッチ・ピー・エス社の開発部をご紹介いただき、「このようなコロナ禍で、ウィルスを室内に持ち込まない装置の実用化をしたいと考えている。ぜひ力をかしてほしい。」との依頼を受け、共同開発に携わることになりました。

・三島研究室は、どのような点で共同開発に携わられたのでしょうか?

工学部化学システム工学科では、化学・医療・医薬・化粧品・食品・工業品製造・環境保全などさまざまな装置の開発や設計を、学術的に研究・教育しています。本研究室はこれまで、(株)花王のソフィーナを製造するにあたって、新たなナノ粒子製造技術の開発・実用化に携わった実績があり、毎年さまざまな分野の企業から多くの受託研究・共同研究の依頼を受けています。

今回のクリーンエアシャワーは、半導体製造工場のクリーンルームや食品工場などの出入口で利用されていたものを、新型コロナウイルス除去装置として改良・実用化する研究開発です。共同開発に携わった部分は、搬入物や人の表面から除去された微粒子に付着した新型コロナウイルスの不活性化と、実用化するための装置の温度制御、高速ジェットエアー制御などです。屋外と屋内の温度差の調整や、夏や冬でも利用者が不快感を感じずに利用できるようにする必要があるなど、課題は多くありました。

・共同研究にあたって苦労した点はありましたか?

実用化するうえで重要なのは、顧客の満足度を高める・本来の機能をしっかり発揮させる・低コストの三要素です。研究用の装置は、コスト面よりも機能を重視させるので、比較的高価な部品を使用しても、設計上問題なく実用化できます。しかし、今回は限られた大きさの中でも本来の機能を失わず、かつ低コストであることが必要でしたので、そこをクリアさせるのが大変でした。

結果的には、その三要素をキープした製品を開発することができ、とても嬉しく思っています。

・共同開発に携わられたうえで感じる、「クリーンエアシャワー」の魅力とは何でしょうか?

「クリーンエアシャワーを通るだけ」で、知らないうちに体や衣服に付着したウイルス・菌・埃などを取り除くことができる点です。職場・通勤・通学で多くの人と接する機会が多い人にとって、「通るだけ」で室内の人に安全・安心を与えられる素晴らしい装置だと思います。

・最後に、今後の研究の目標を教えてください。

今後も、環境に優しく、持続可能な技術で社会に貢献する高付加価値技術を開発していきたいと思います。


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