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2026年10月7日
医療
地域連携

福岡大学病院「外傷蘇生センター」始動【第3回】ー 救命の力を、どう地域の力に変えていくのか ー

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外傷蘇生センターに係る記事(全3回)の3回目です。


長谷川副病院長

外傷蘇生センターの立ち上げに関わる関係者

病院内の体制を整える。これだけでは、外傷蘇生センターの機能は果たせません。外から病院へ患者を運ぶ救急隊の存在があるからです。患者をどこへ搬送するか。どの医療機関で初期対応を行い、どの段階で専門的な治療につなぐのか。病院外から続く時間も含めて考えることが必要です。

現状、複数の大規模病院がある福岡市において、福岡大学病院は市中心部から西側、糸島方面を主な役割として担う一方、東側などで多数の傷病者が発生した場合にも対応することが求められています。そのためには、病院同士、そして救急隊との間に、互いの役割を理解した関係が不可欠。そこで仲村佳彦センター長(外傷蘇生センター)が大切にしているのが、「顔が見える関係」です。

地域メディカルコントロールでは、救急隊の活動を事後に検証し、救急隊と医療機関がディスカッションやフィードバックをする機会が設けられます。さらに、救急隊の研修を受け入れたり、ドクターカーの出動時に連携したりする取り組みも行われています。

「この搬送基準で搬送してください」と伝えるだけではなく、その後の治療プロセスや結果を返していく。それにより次の搬送につながる判断を、地域と一緒につくっていくことができます。

仲村センター長は、こうした一例一例の検証を重ねながら、地域の外傷診療を改善していく必要性を説きます。「消防、そして地域の医療機関とも役割を分担する。状態が安定した患者を地域へつなぎ、限られた病床を有効に使うことです」。救急医療は、病院へ運んで終わりではありません。

地域を変えていくもう一つの方法が、「人を育てること」と話すのは、長谷川傑福岡大学病院副病院長(消化器外科教授)です。外傷蘇生センターで経験を積んだ若い医師や看護師が、いずれ地域の医療機関へ戻っていく。重症外傷を前にした時、「助からない」と考えるのではなく、適切な施設につなぐことで救命できる可能性を探っていく。そうした経験を持つ医療者が地域に増えていけば、救急搬送の判断や、その後の連携にも自ずと変化が生まれます。

長谷川副病院長は、外傷や救急の教育について、若い医師や学生と一緒に患者を診て、処置していくことの大切さを「いわゆる昔ながらの『見て覚えてもらう』といったことがまだまだあると思います」と補足します。

実際の患者を前にして学ぶ機会。それは大学病院が持つ最大の強みの一つです。

また「学び」に加え、外傷蘇生センターは、診療の経験を研究へつなげることも目指しています。外傷・蘇生の症例を蓄積し、臨床や地域医療の課題を検証する。その結果を人材育成や地域の医療政策へと還元していくこと。外傷蘇生センターが目指しているのは、医療の循環を形づくることでもあります。

「それが我々の使命なんじゃないかな」。そう話す長谷川副病院長。

外傷蘇生センターは、重症外傷を受け入れる新しい場所であると同時に、福岡大学病院が持つ医療・教育・研究の力を、地域へ開いていくための起点でもあります。一人の命を救うために始まる取り組みを、次の一人を救う力へ。地域全体へ。福岡大学病院の新たな救急医療のステージが始まりました。

記者発表の様子

最新の処置室で記者に説明

9月29日(火)には、報道関係者に外傷蘇生センターの取り組みについて説明しました。

【関連リンク】
・外傷蘇生センター記者発表のFUKUDAism記事
・福岡大学病院ウェブサイト

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