10月1日(木)、福岡大学病院「外傷蘇生センター」が始動しました。
重症外傷の患者を救うための高度な治療体制の構築とともに、同センターが目指すのは、救急医、外科医、看護師、その他メディカルスタッフなど、福岡大学病院全体でさまざまな専門職が力を合わせ、一人の命を救う「チーム医療」の仕組みをつくること。そして、その力を地域の救急医療へとつなげていくこと。
今回は、同センターの立ち上げに関わった7人の関係者に話を聞きました。なぜ、今、外傷蘇生センターが必要なのか。重症外傷の現場で、医療者たちはどのように動こうとしているのか。そして、そこで培われる救命の力を、どう地域へ還元していくのか。それぞれの立場から語られた言葉をたどりながら、新たな医療拠点が目指す「救命」のかたちを見ていきます。全3回でお伝えします。
外傷蘇生センタ―の立ち上げに関わる関係者
外傷蘇生センター処置室内
救急医療を取り巻く環境が、福岡でも変わりつつあります。福岡市街地や福岡市東部から福岡大学病院へ搬送される重症外傷患者が増える一方、都市化やコロナ禍などを背景に、現場では救急車の要請から病院到着までの時間が延びたり、搬送先が決まらない「搬送困難」が生じたりしています。重症外傷、とりわけ胸部、腹部、骨盤部などに大きな出血を伴うケースでは、「時間」が大きな鍵を握ります。止血までの時間をいかに短縮できるか。そこに重症外傷診療の大きな課題があります。
福岡大学病院では、これまでも三次救急の役割を担い、多くの重症患者を受け入れてきました。その基盤をさらに発展させる形で、10月1日(木)に始動したのが「外傷蘇生センター」です。本事業について三浦伸一郎病院長は、外傷蘇生センターを核に今後、「教育・研究・高度医療の拠点化と地域医療構想の実装を目指すもの」と説明しました。
それは単に重症外傷患者を集める場所をつくることではなく、医師、看護師、その他関連するメディカルスタッフの各部門が、必要なタイミングで組織的に動ける体制をつくること。さらには病院内だけでなく、消防や地域の医療機関とも連携し、重症外傷の救命体制そのものを強化していくことを意味します。
三浦病院長
仲村佳彦外傷蘇生センター長
外傷蘇生センターの新設にあたり、喜多村泰輔教授(救急治療センター長)は、福岡には九州大学病院、九州医療センター、済生会病院など、複数の大規模病院があることに触れる一方で、「部門間の連携力」が高い福岡大学病院の強みを語ります。
「いろんな先生が協力してくれるので、そういう意味で存分に力を発揮できるのは外傷なんだろうなと思っています」。
言うまでもなく外傷診療は、一つの診療科だけで治療は完結しません。緊急手術や輸血が必要になれば、救急と外科、看護、検査などが同時に動く必要が生じます。だからこそ、さまざまな専門家がいる大学病院という環境や機能を、外傷診療のためにどう生かすかが問われます。
喜多村救急治療センター長
外傷蘇生センターのロゴ
ただし現状を見れば、24時間体制の維持や、外科医師をはじめとする人材の確保などの課題もあります。
重要なのは大学病院が持つ専門性をつなぎ、限られた時間の中で一人の患者を救うための仕組みを、組織として形づくっていくこと。その第一歩を、福岡大学病院は踏み出しました。
【関連リンク】
・外傷蘇生センター記者発表のFUKUDAism記事
・福岡大学病院ウェブサイト
