トピックス
工学部の藤嶋助手が若手優秀講演フェロー賞を受賞
福岡大学工学部機械工学科の藤嶋晴助手が、日本機械学会から若手優秀講演フォロー賞を受賞しました。
受賞した藤嶋助手に感想等を聞きました。
【発表タイトル】
Potential drawbacks of the rotating bending fatigue testing method(回転曲げ疲労試験法に潜む問題点について)
【発表内容】
これまで材料の疲労設計の指標となるS-Nデータは、その多くが回転曲げ疲労試験によって取得されてきました。回転曲げ疲労試験機は荷重の負荷機構が単純であり、設置コストも他の試験機と比較して安価という利点を持ちます。ここで、この試験機では試験片に曲げ変形を加えることで所望の負荷を与えていますが、変形速度が大きくなると試験装置の慣性力の影響を受け、試験片に加わる荷重が目標値に到達しないという懸念があります。しかし、この点に着目した議論はこれまで十分にはなされていませんでした。
本研究では1~67Hzの間で試験速度を系統的に変化させ、試験速度が高速になるにつれ、回転曲げ疲労強度が上昇することを実証しました。特に、人工欠陥の導入により試験片形状が回転軸に対して非対称となる場合、試験機の慣性力の影響が顕著となり、材料の疲労強度を過大に評価している可能性があることを指摘しました。このように、当該試験機が有する潜在的な課題を力学的観点から明らかにし、またこれらの問題を考慮した上で、材料の疲労強度を適切に評価できる試験方法の提案を行いました。
【受賞した感想】
この度の受賞を大変光栄に思うと同時に、今後の研究生活においてこの賞にふさわしい成果を残していかなければならないと身の引き締まる思いです。また、これまでご指導くださった先生方、そして生活面・精神面で支えてくれた家族や友人に、少しでも恩返しができていれば幸いです。
【研究について】
私の研究では、構造材料として依然として高い需要を持つ鉄鋼材料の疲労強度特性について調査を行っています。金属疲労という現象自体は広く知られていますが、疲労破壊に至るまでのプロセスはミクロなスケールで進行するため観察が非常に難しく、その挙動も材料ごとに異なるため、破壊のメカニズムが未だに判明していないものが多く存在します。私はこの問題に対し、力学的な観点から解決を試みており、複数の材料に共通する疲労強度の予測方法の確立を目指して、研究を進めています。
また現在は、鉄鋼材料に加えて、非鉄金属であるチタン合金に関する調査も開始しています。チタン合金は、比強度が高く、耐熱性や耐腐食性に優れており、航空宇宙や医療の分野において広く利用されています。一方で、難削材であり製造に莫大なエネルギーを要するためコストが高く、実用上使用が制限されているのが現状です。
また、近年になって新たな疲労特性が報告されるなど、未だ発展途上にある、取り扱いの難しい材料のうちの一つでもあります。そこで本研究では、製造コストの低減が期待されるチタン合金の積層造形材に着目し、これまで培ってきた力学的な観点から強度特性を評価することで、チタン合金の普及と積層造形技術の発展・促進に貢献したいと考えています。