入選作品
全国304校の24,831人から応募がありました。
厳正なる選考(選者は、氏名や学校名等を伏せ作品のみで評価)の結果、金賞〔福岡大学長賞〕、銀賞、銅賞、特別賞〔全日本川柳協会賞〕、特別賞〔西日本新聞社賞〕、特別賞〔NHK福岡放送局長賞〕、特別賞〔紀伊國屋書店賞〕、特別賞〔福大生が選ぶ賞〕(4作品)、入賞(45作品)、学校賞(6校)を選出しました。
福岡県
福岡県立三池高等学校
2年 後藤 彩季
作品評価
(評:福岡大学長 朔 啓二郎)
高校3年間は人生の中で、最も色濃く記憶に残る時間。今年は新型コロナウイルスの影響で、学校が休校になり、授業、部活、体育祭、文化祭などどれも「密」になることが原因で中止になった。しかし「密」こそ高校生活で学ぶ、人間として生きていくための根源的な経験ではないだろうか。その密な時間を、コロナに奪われてしまった悔しさや、切なさがストレートに伝わってくる作品。
福岡県
福岡県立筑紫高等学校
2年 筒井 千尋
作品評価
(評:全日本川柳協会・梅崎 流青 氏)
恐らく歴史の一ページを刻むことであろう 2020 年の新型コロナウイルス。「密」を避けるのが感染拡大の予防策とか。そんなこともあって離れて帰る二人に太陽が唆す。伸びた影の密なら許されよう。そっと手を伸ばす。重なる影絵。言葉以外でも思いを伝えることを発見した君との帰り道。コロナ禍の今だからこそ詠める一句である。
長崎県
長崎県立長崎明誠高等学校
2年 谷﨑 雄瑠
作品評価
(評:全日本川柳協会・梅崎 流青 氏)
貸していたノートのどこかに君の存在を探す。ページの一枚いちまいを丹念に探す。折り目はないかアンダーラインは。ノートの貸与を私に頼んでくれたのが何より嬉しい。日頃の思いはこのような形で伝わるものだ。このノートは授業の遅れを取り戻すために役に立ったのだろうか。君と私をつなぐ一冊のノート。
神奈川県
神奈川県立上溝南高等学校
2年 本堂 麗海
作品評価
(評:全日本川柳協会・梅崎 流青 氏)
水茎の跡を指でなぞったり和歌に託して君を偲んだその昔。今はもう双方向で即座に意思伝達ができるLINEというスグレモノが。文明の利器である。君からの何でもない身辺雑事のたわいないことでもそれはそれで宝もの。体も心も豊かになったような一日。「体温微熱ぎみ」の表現は秀逸。川柳は時代を切り取る5・7・5の短詩である。
福島県
福島県立若松商業高等学校
2年 小島 未夢
作品評価
(評:西日本新聞社・阪口 由美 氏)
「美味しいよ」の一言は、手作りの一皿を差し出したおばあちゃんの言葉でしょうか。なじみの「薄味」に返した孫の一言でしょうか。穏やかな食卓、それぞれの思いやりが浮かび上がりました。コロナ禍で帰省もままならなかったこの一年。だからこそ心にある懐かしい味、愛おしい味を思い起こさせてくれる作品です。
山口県
山口県立小野田高等学校
1年 江藤 優花
作品評価
(評:NHK福岡放送局・有田 康雄 氏)
今年の夏は息苦しい夏だった。学業の遅れを取り戻すために例年にない変則的な夏休みとなり、行動の制限もあってやり残したことが多かったのではないだろうか。この作品はそんな閉塞感をみじんも感じさせない、さわやかで夏の生命の躍動感が凝縮されたような一句である。殻を破って大空へ羽ばたいてゆく。若者の未来もそうあってほしい。
佐賀県
早稲田佐賀高等学校
3年 森 洸太
作品評価
(評:紀伊國屋書店・武藤 和男 氏)
書店の目線から見て「棚肥える」という表現が秀逸。受験勉強中だろうか、参考書が増えた分、勉強が頭に入った気がする。これだけ揃ったぞという、どや顔が目に浮かぶ。でも、肝心の勉強ははかどらない。焦る気持ちもあるはずなのに、うまく包み込んでユーモラスに表現している。紀伊國屋書店賞にふさわしい句と言える。
選考委員・作品評価
- 福岡大学 学術文化部会常任幹事会幹事長
- 大古場 雅也
大阪府
常翔啓光学園高等学校
2年 市丸 蒼人
作品評価
(評:文芸部川柳担当 安西 七海)
桜の開花前線とコロナ感染者急増の波が重なった今年の状況を限られた字数の中で、上手くかけて表現していると思います。この作品を拝見したとき、思わず「上手い」と叫んでしまいました。
北海道
北海道広尾高等学校
1年 大塚 陽奈美
作品評価
(評:体育部会常任幹事会幹事長 長井 幹)
蒸し暑い中でも涼しい風が吹いて心地よい情景をまさにその場にいるかのように感じ、またどこか懐かしい感覚を覚えました。風鈴の音、カランと鳴る氷、溶けた氷により薄まった麦茶の味、グラスの周りにつく氷、肌に当たる風、聴覚、味覚、触覚など視覚だけではない様々な感覚で夏を思い出す一句だと思いました。
大阪府
岸和田市立産業高等学校
2年 前川 哲
作品評価
(評:学友会総務委員会委員長 飯島 禅仁)
恋愛の甘酸っぱさがラグビーを用いてうまく表されていると思います。「ノー再度」ではなく、ひたむきに「トライ」を重ねると春が訪れるかもしれないというメッセージも込められているように感じました。
山口県
野田学園高等学校
1年 宮元 歩実
作品評価
(評:学術文化部会常任幹事会幹事長 大古場 雅也)
家の中にいることが増え、その上今年はマスクが手放せなくなり、本来なら思いっきり感じるはずの四季の変化を感じとることが難しい様子が伝わってきて、今の世の中をうまく表現できていると思いました。

作品 |
氏名 |
高校所在地 |
高校名 |
学年 |
大掃除 過去の思い出 手が止まる
| 青山 瑛哉 |
富山県 |
富山国際大学付属高等学校 |
1 |
コロナ離婚 そう言う前から ディスタンス
| 浅香 吉宏 |
東京都 |
東京都立大島高等学校 |
3 |
甲子園 セミと一緒に 泣いた夏
| 綾部 響 |
福岡県 |
福岡大学附属若葉高等学校 |
2 |
同じ傘 肩を濡らして 帰る道
| 池上 結実 |
東京都 |
東京都立葛飾総合高等学校 |
2 |
自習室 八方美人の 扇風機
| 石田 七海 |
神奈川県 |
鵠沼高等学校 |
2 |
通学中 つり革触らず 揺れ動く
| 伊藤 璃音 |
茨城県 |
常総学院高等学校 |
1 |
お袋の 堪忍袋も 有料化
| 岩田 快道 |
滋賀県 |
近江高等学校 |
2 |
母の味 世界で一つ 星三つ
| 岩前 千歳 |
福岡県 |
福岡県立福岡農業高等学校 |
2 |
LINEより つながりたいね 心から
| 内田 亮 |
福岡県 |
福岡大学附属若葉高等学校 |
2 |
オンライン 上は制服 下パジャマ
| 大髙 恵子 |
東京都 |
創価高等学校 |
1 |
パパゴメン 本音じゃないの 反抗期
| 大濵 七海 |
愛媛県 |
愛媛県立松山商業高等学校 |
2 |
友達の 失恋話で 飯を食う
| 尾形 翔冴 |
鹿児島県 |
樟南高等学校 |
1 |
夏の夜に 二人を繁ぐ 流星群
| 小川 光太 |
北海道 |
北海道恵庭北高等学校 |
2 |
うでを出し みんなで比べる 夏の色
| 生越 愛望 |
新潟県 |
新潟県立津南中等教育学校 |
4 |
コロナ禍で 自粛できない 恋ごころ
| 川井 里紗 |
岡山県 |
清心女子高等学校 |
3 |
オンライン 頭の中は オフライン
| 神里 健太 |
沖縄県 |
沖縄県立北山高等学校 |
3 |
くしゃみでも 必死に我慢 バスの中
| 北野 桃奈 |
佐賀県 |
早稲田佐賀高等学校 |
3 |
「これも食べ」 「いらん」といえない 祖母のしわ
| 熊江 萌 |
福岡県 |
福岡大学附属若葉高等学校 |
2 |
ちらみして 気づいてるかな 気づけバカ
| 小林 優佳 |
福井県 |
福井県立福井商業高等学校 |
3 |
「いつこれる」 祖母から電話 あと何回
| 子守 佑果 |
愛知県 |
金城学院高等学校 |
3 |
自粛して 筋力学力 気力落ち
| 境 俊翔 |
福岡県 |
つくば開成福岡高等学校 |
2 |
「自粛だ」と 大義の下で 引きこもる
| 柴田 晴輝 |
福岡県 |
福岡県立三池高等学校 |
2 |
寝たふりで 初めて触れた 君の肩
| 下久保 光莉 |
長崎県 |
聖和女子学院高等学校 |
3 |
偏差値を いくら上げても 寄らぬ女子
| 鈴木 大晴 |
千葉県 |
千葉県立成田国際高等学校 |
3 |
今はまだ 心の中で ハイタッチ
| 鈴木 日陽 |
福岡県 |
福岡県立小郡高等学校 |
1 |
共通語 英語じゃなくて 笑顔です
| 鈴木 帆乃花 |
愛知県 |
名古屋市立工芸高等学校 |
2 |
避けられぬ 私の机の 課題密
| 髙崎 春花 |
福岡県 |
福岡大学附属若葉高等学校 |
1 |
"久しぶり" やっぱり学校(ここ)が 一番だ
| 髙山 瑠美 |
東京都 |
東京都立世田谷総合高等学校 |
2 |
ひさしぶり マスクにすける 君の笑み
| 武村 日向太 |
愛知県 |
名古屋市立緑高等学校 |
1 |
夏祭り 前行く二人の 中通る
| 谷脇 由那 |
長崎県 |
聖和女子学院高等学校 |
2 |
腹おさえ 鳴るな鳴るなと 四時間目
| 豊島 汐 |
東京都 |
東京都立向丘高等学校 |
1 |
ぬれた髪 塩素のにおい ペダルこぐ
| 西野 壬玲 |
大阪府 |
大阪市立大阪ビジネスフロンティア高等学校 |
1 |
月曜日 マスクを忘れて 家戻る
| 萩尾 栞 |
福岡県 |
福岡大学附属若葉高等学校 |
2 |
「おはよう」と 合わせる電車 故意の僕
| 深川 智加 |
熊本県 |
熊本県立玉名高等学校 |
1 |
担任の 顔知らないけど 課題くる
| 福山 慈温 |
神奈川県 |
神奈川県立厚木西高等学校 |
1 |
カレンダー 今年は「帰省」の 文字書けず
| 堀畑 逸斗 |
大阪府 |
大阪市立高等学校 |
2 |
アイメイク コロナのせいで 大進歩
| 増井 心音 |
大阪府 |
大阪市立高等学校 |
2 |
怒られる マスクのしたは 変顔だ
| 松井 日菜 |
大阪府 |
大阪府立農芸高等学校 |
3 |
受け継ぐよ 母でも出せない 祖母の味
| 山内 淑乃 |
秋田県 |
秋田県立秋田北高等学校 |
2 |
ばあちゃんと LINEをするが 誤字祭り
| 山内 りりか |
愛媛県 |
愛媛県立今治北高等学校 |
3 |
「鬼滅」より 「菌滅して」と 願う日々
| 山口 琳久 |
福岡県 |
福岡大学附属若葉高等学校 |
2 |
「ただいま」と マスクをはずし 深呼吸
| 柚木 愛佳 |
和歌山県 |
和歌山信愛高等学校 |
2 |
愛犬が 我が家の中心 わん(犬)TEAM
| 鷲尾 紗良 |
大阪府 |
大阪府立摂津高等学校 |
3 |
10万円 将来俺が 返すのか
| 和田 就平 |
福岡県 |
福岡県立中間高等学校 |
2 |
ひだりきき 教科書忘れ 触れ合う手
| 藁谷 杏花 |
福島県 |
福島県立磐城農業高等学校 |
2 |
※敬称略
※受賞者氏名の五十音順に掲載
石川県 石川県立金沢商業高等学校
熊本県 熊本市立必由館高等学校
埼玉県 埼玉県立朝霞西高等学校
東京都 第一学院高等学校
群馬県 高崎商科大学付属高等学校
福島県 福島県立福島商業高等学校
※学校名の五十音順に掲載
第16回全国高校生川柳コンクール選考委員
- 学長
- 副学長
- 事務局長
- 入学センター長
- 就職・進路支援センター長
- 高橋 昌彦 人文学部教授
- 安元 佐和 医学部教授
- 秋好 礼子 人文学部准教授
- 須長 一幸 教育開発支援機構准教授
- 梅崎 流青 氏 (全日本川柳協会 常任幹事)
- 阪口 由美 氏 (西日本新聞社 編集局社会部)
- 有田 康雄 氏 (日本放送協会福岡放送局 放送部専任部長)
- 武藤 和男 氏 (紀伊國屋書店 専務取締役)
- 飯島 禅仁 学友会総務委員会委員長
- 大古場 雅也 学術文化部会常任幹事会幹事長
- 長井 幹 体育部会常任幹事会幹事長
- 安西 七海 文芸部川柳担当
- 阿座上 十和 学生広報サポーター(グーミーズ)
- 有吉 陽奈子 学生広報サポーター(グーミーズ)
- 池田 愛由 学生広報サポーター(グーミーズ)
- 志垣 有羽 学生広報サポーター(グーミーズ)
- 柴 美優 学生広報サポーター(グーミーズ)
- 田代 将太郎 学生広報サポーター(グーミーズ)
- 加治 雄也 文芸部
- 藤田 敦士 文芸部
- 前田 智恵美 文芸部
- 松崎 賢治 文芸部
- 吉村 秋音 文芸部