入選作品
全国270校の17,906人から43,585作品の応募がありました。
厳正なる選考(選者は、氏名や学校名等を伏せ作品のみで評価)の結果、金賞〔福岡大学長賞〕、銀賞、銅賞、特別賞〔全日本川柳協会賞〕、特別賞〔西日本新聞社賞〕、特別賞〔NHK福岡放送局長賞〕、特別賞〔紀伊國屋書店賞〕、特別賞〔福大生が選ぶ賞〕(4作品)、入賞(45作品)、学校賞(9校)を選出しました。
石川県
金沢大学附属高等学校
2年 西村 颯
作品評価
高校生が祖母と一緒に散歩している情景が目に浮かび、作者の優しさを感じた。祖母の歩調に合わせてゆっくり歩いているつもりでも、いつの間にか距離ができている。でも並んで歩くのは少し恥ずかしさもあるのか。幼い頃は祖母に手を引かれて歩いていたはずの作者が、今は祖母の前を歩きながら心配になって時々振り返る。言葉を交わさなくても祖母を思う気持ち、作者の心の成長が読み取れ、心温まる素晴らしい作品。
千葉県
あずさ第一高等学校(渋谷キャンパス)
3年 千葉 春希
作品評価
高校生らしいストレートな思いが込められた作品。選挙権年齢が引き下げられ18歳から投票できるようになったものの、都合によって「まだ子供」と言われたり「もう大人」と言われたりする年齢。子供と大人の間にいるからこそ感じる矛盾や葛藤が伝わってきた。社会に対する18歳からのメッセージとも受け取れる。
岡山県
清心女子高等学校
3年 菊地 環
作品評価
今年の猛暑を象徴しており、遊び心も感じる大変ユニークな作品。登下校する朝と夕方、夏の強い日差しを避けて日陰を歩く女子高校生。“ほぼ忍者”との例えによって、友人と一緒にいても日陰を求めて縦に並んで歩く様子や、日差しを完全には避けられていない姿を思い浮かべ、笑みがこぼれた。
兵庫県
神戸市立神港橘高等学校
2年 山口 拳弥
作品評価
(評:全日本川柳協会・梅崎 流青 氏)
今でも父の背のぬくさは覚えている。そこから見た花火や夜景の鮮やかさも。背中はまるで岩のようであった。あれからの歳月は父の背丈に近づきそして並ばせた。「あれ、もっと大きかったのに」と思った親父の背。呼び方も「父」からいつか「親父」へと。その歳月を語ってくれる背中。背中で教える、という言葉を知ったのもこの頃のことである。
山口県
柳井学園高等学校
3年 宮脇 佳音
作品評価
(評:西日本新聞社・横尾 誠 氏)
失って初めて気付くことがある。当たり前だと思っていた日々、ずっと続くと信じていた日々が、どれほど大切なものだったか―。作品は「なにげない 日常がいい」という優等生的な物言いを「とき『も』ある」で、ちょっと裏切る。そんな着地の仕方もいい。
茨城県
茨城県立水戸第一高等学校
3年 田所 瑞希
作品評価
(評:NHK福岡放送局・小澤 泰山 氏)
川柳は十七音で生み出される文芸と言われるが、この作品には記号「!」がある。さて、これは川柳なのか。作者は千年前の和歌に込められた、人を恋する思いに共感した。百年後、いいね、という音だけでその情景が思い浮かぶのか。記号もありかもしれない。大切にすべき心を守りながらも、今の高校生の素直な姿がここにある。
愛知県
名古屋市立緑高等学校
3年 山村 愛音
作品評価
(評:紀伊國屋書店・武藤 和男 氏)
有名なことわざ「井の中の蛙大海を知らず」をベースにした句。卒業式当日、大学に進学するのか、あるいは会社に就職するのか、今までの高校生活に感謝しつつ、明日から違う世界が広がることへの緊張と覚悟を、ことわざとユーモアを巧みに織り交ぜながら表現している。作者のキリリと引き締まった顔が目に浮かぶ秀逸な句。
選考委員・作品評価
- 福岡大学 学術文化部会常任幹事会幹事長
- 千代島 秀一
兵庫県
姫路市立琴丘高等学校
2年 沖中 真琴
作品評価
高校生の“あるある”の話を上手に表現できていると思います。学校を休みたい時、熱がないかなと確かめた高校時代を思い出しました。
東京都
東京都立府中東高等学校
2年 齊藤 猛
作品評価
LGBTなど性の多様性が見られる世の中で、ストレートなメッセージが心に響きました。ストレートな表現だけにとても真っすぐ心に届く、素晴らしい句だと思います。
長崎県
聖和女子学院高等学校
1年 朝長 澄香
作品評価
運動部・文化部に限らず、大会やコンクールに臨むその後ろ姿からは、今までの努力や自信、緊張感や期待などさまざまな感情が伝わり、成長が感じられ、良い句だと思いました。
栃木県
栃木県立さくら清修高等学校
3年 古川 想真
作品評価
昨今のスマホ社会を、上手い言い回しで風刺している点で、川柳としての面白みを感じました。また韻の踏み方に作者の高い言語感覚を垣間見ることができました。

作品 |
氏名 |
高校所在地 |
高校名 |
学年 |
告白も 送信取り消し する時代
| 出水沢 理夢 |
鹿児島県 |
鹿屋市立鹿屋女子高等学校 |
1 |
運動会 子より本気の 母の顔
| 江頭 香緒子 |
福岡県 |
福岡大学附属若葉高等学校 |
1 |
監督が 見てる時だけ 絶不調
| 大島 優海 |
熊本県 |
熊本県立第一高等学校 |
3 |
おかえりの 声に包まれ 増える靴
| 大村 真凜 |
東京都 |
宝仙学園高等学校 |
1 |
出来るはず 鏡に映る 我に問う
| 桶本 莉菜 |
神奈川県 |
清心女子高等学校 |
2 |
ライフライン 止まって気づく ありがたさ
| 梶本 七瀬 |
広島県 |
呉港高等学校 |
2 |
お弁当 母から子への ラブレター
| 加藤 有彩 |
新潟県 |
新潟県立津南中等教育学校 |
4 |
合唱部 男一人で モテもせず
| 金子 智規 |
千葉県 |
千葉県立天羽高等学校 |
1 |
つぶやきを 口で言わずに 文字で打つ
| 北川 司 |
広島県 |
広島県立呉工業高等学校 |
2 |
落ちてくれ 君の消しゴム 拾いたい
| 木村 真依 |
愛知県 |
愛知啓成高等学校 |
2 |
国会は 日本を担う 幼稚園
| 久世 康雅 |
神奈川県 |
神奈川県立厚木西高等学校 |
3 |
きずついた 君の心に ばんそうこう
| 藏本 竜輝 |
滋賀県 |
近江高等学校 |
2 |
君からの 「おやすみ」のLINE 眠気飛ぶ
| 鴻上 菜月 |
愛媛県 |
愛媛県立新居浜南高等学校 |
3 |
母弁当 インスタ映える 僕遅刻
| 古來 羽汰 |
石川県 |
石川県立工業高等学校 |
2 |
あと一歩 平成の夏 ここで散る
| 佐伯 亮汰 |
福岡県 |
福岡県立小倉東高等学校 |
2 |
18の 思いと願い 票に込め
| 佐々木 浩太 |
京都府 |
大谷高等学校 |
3 |
家族LINE 入ってないのは 親父だけ
| 佐藤 充 |
兵庫県 |
姫路市立琴丘高等学校 |
2 |
相合傘 見ちゃった今日は 涙雨
| 椎山 摩耶 |
佐賀県 |
早稲田佐賀高等学校 |
2 |
平成が 終われば私も 古い人
| 新本 瑞樹 |
埼玉県 |
栄東高等学校 |
1 |
困ったら 教師よりまず 知恵袋
| 園田 広明 |
福岡県 |
福岡県立三池高等学校 |
2 |
セミの声 負けじと歌う 応援歌
| 高井 佑絃 |
大阪府 |
大阪府立摂津高等学校 |
1 |
居残りし 団結感じた 文化祭
| 高田 彩海 |
静岡県 |
加藤学園高等学校 |
1 |
カランコロン 一歩歩けば 恋の音
| 髙村 彩友 |
福岡県 |
福岡大学附属大濠高等学校 |
2 |
大丈夫 裏にかくれた SOS
| 田中 縁 |
群馬県 |
群馬県立伊勢崎興陽高等学校 |
1 |
新盆の 馬の背中に 祖父思う
| 中嶋 彩乃 |
東京都 |
武蔵野女子学院高等学校 |
1 |
猛暑日の 三者面談 こおりつく
| 並川 玲奈 |
熊本県 |
熊本市立必由館高等学校 |
2 |
解けないや キミの気持ちの 方程式
| 西川 彩音 |
福岡県 |
つくば開成福岡高等学校 |
3 |
ボランティア 心と力 被災者へ
| 野村 慶尚 |
山口県 |
山口県立小野田高等学校 |
2 |
とおり雨 遅れて虹が 追いついた
| 蓮沼 杏珠 |
宮城県 |
聖ウルスラ学院英智高等学校 |
3 |
いつの日か わかりあいたい 歴史観
| 濵野 将也 |
山口県 |
山口県立小野田高等学校 |
2 |
黒板が 芸術作品 化学基礎
| 廣神 絢己 |
群馬県 |
高崎商科大学附属高等学校 |
3 |
青色が 押し寄せてくる 夏の空
| 堀端 莉穂 |
富山県 |
富山県立富山北部高等学校 |
1 |
切りたての 前髪揺らす 夏の風
| 松尾 万美 |
福岡県 |
福岡大学附属若葉高等学校 |
1 |
AIに 宿題やらせる 夏休み
| 松下 慶彦 |
熊本県 |
熊本市立必由館高等学校 |
2 |
蚊も飛ばぬ 夏の暑さの すさまじさ
| 丸山 大毅 |
福岡県 |
福岡県立久留米高等学校 |
1 |
届かない 僕の気持ちは 未送信
| 三島 亘貴 |
京都府 |
大谷高等学校 |
3 |
好きな子を 探して廻る 夏祭り
| 水谷 翔 |
愛知県 |
愛知県立東郷高等学校 |
2 |
スマホ置き 数秒後には 手の上に
| 宮本 雅也 |
熊本県 |
熊本県立第一高等学校 |
3 |
テストの日 「ノー勉」言う奴 やってる説
| 山田 耕大 |
愛知県 |
愛知県立東郷高等学校 |
2 |
父の背を 越したか分からぬ 遺影では
| 山田 大夢 |
東京都 |
足立学園高等学校 |
1 |
この時代 AI進化 ヒト退化
| 山本 篤志 |
石川県 |
石川県立工業高等学校 |
3 |
嫉妬して 知らないうちに 恋を知る
| 山本 歩果 |
香川県 |
香川県立小豆島中央高等学校 |
3 |
汚れると 安心できる 参考書
| 山本 知佳 |
福岡県 |
つくば開成福岡高等学校 |
3 |
借金を 子供にはらわす 社会かな
| 山本 義晶 |
愛知県 |
愛知県立東郷高等学校 |
2 |
雨の中 かけてゆくのは ランドセル
| 吉村 有加 |
大阪府 |
近畿大学附属高等学校 |
1 |
※敬称略
※受賞者氏名の五十音順に掲載
入賞作品について
愛知県 愛知県立東郷高等学校
石川県 石川県立工業高等学校
京都府 大谷高等学校
熊本県 熊本市立必由館高等学校
熊本県 熊本県立第一高等学校
福岡県 つくば開成福岡高等学校
兵庫県 姫路市立琴丘高等学校
福岡県 福岡大学附属若葉高等学校
山口県 山口県立小野田高等学校
※学校名の五十音順に掲載
第14回全国高校生川柳コンクール選考委員
- 山口 政俊 学長
- 星乃 治彦 副学長
- 山村 昌次 事務局長
- 永星 浩一 学生部長
- 有岡 律子 図書館長
- 田坂 順子 人文学部教授
- 辰巳 浩 工学部教授
- 安元 佐和 医学部教授
- 須長 一幸 教育開発支援機構准教授
- 梅崎 流青 氏 (全日本川柳協会 常任幹事)
- 横尾 誠 氏 (西日本新聞社編集局報道センター 社会部次長)
- 小澤 泰山 氏 (日本放送協会福岡放送局 放送部専任部長)
- 武藤 和男 氏 (紀伊國屋書店 常務取締役 営業総本部総本部長)
- 中村 彰吾 学友会総務委員会委員長
- 千代島 秀一 学術文化部会常任幹事会幹事長
- 本田 敦也 体育部会常任幹事会幹事長
- 荒木 悠利 第65代文芸部幹事
- 文芸部
- 学生広報サポーター(グーミーズ)