入選作品
全国127校の9,339人から21,939作品の応募がありました。
その中から福岡大学長賞[大賞]1作品、全日本川柳協会賞[優秀賞]1作品、西日本新聞社賞[優秀賞]1作品、入賞50作品を選出しました。(敬称略)
全入選者には1月末までに賞状と副賞(図書カード)を送付します。
作品評価(評:全日本川柳協会・梅崎流青氏)
この作品を作るに当たっては、私の住む地域と曽祖母のことが基になりました。全くインターネットとは関わりのない曽祖母ですが、「誰が何をした」「どこで何があった」などを毎日のように母と話しています。一方で、「悪事千里を走る」ということわざもあるので、自分の身の振り方には気を付けたいものです。
作品評価(評:全日本川柳協会・梅崎流青氏)
通夜も葬儀も済み、残すは出棺。私は棺を持たせてもらいました。それまで私は祖父が死んだという実感が湧かず、泣くことも悲しむこともできませんでした。しかし、痩せ細った祖父の入った棺を持った時、予想以上の重さに驚きました。これが「命の重さ」ということ、「死」ということなのだと感じました。
その瞬間、祖父との思い出で頭が一杯になり、涙が止まりませんでした。
作品評価(評:西日本新聞社・田川大介氏)
もっとも、キャンパスを自由に闊歩(かっぽ)できるようになるには入試という狭き門がある。そこに至る道のりは決して楽ではない。夢をかなえる動力は、一日一日の地道な努力。汽車の運転士は自分自身にほかならない。
入賞 ※作品は受賞者氏名の五十音順に記載
作 品 | 氏 名 | 高校 所在地 |
高校名 | 学年 |
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おはようで 縮まる距離と 広がる輪 | 赤尾 桃香 | 福岡県 | 福岡大学附属若葉高等学校 | 2 |
明日やる やるやる詐欺は 得意技 | 池田 雅哉 | 群馬県 | 高崎商科大学附属高等学校 | 1 |
父親似 悲しむ自分 喜ぶ父 | 石川 杏奈 | 福岡県 | 県立光陵高等学校 | 1 |
大会後 広く感じる 部活部屋 | 井出 葉子 | 熊本県 | 九州学院高等学校 | 2 |
受験まで 時間と不安は 反比例 | 伊東 あすか | 岡山県 | 岡山白陵高等学校 | 2 |
桜道 ぼくのこころが おどる道 | 井原 義隆 | 福岡県 | 福岡大学附属大濠高等学校 | 2 |
あたりまえ じゃないことが あたりまえ | 入口 空 | 大阪府 | 藍野高等学校 | 1 |
声だけは 父によく似た 青二才 | 上原 陸 | 神奈川県 | 聖光学院高等学校 | 3 |
女子会は 飲むより食うより まず自撮り | 大熊 万里子 | 福岡県 | 県立折尾高等学校 | 3 |
熱すぎる 祖母のあとの お風呂の湯 | 大住 理紗 | 福岡県 | 県立折尾高等学校 | 3 |
祖父からの 平和のバトンを もらう夏 | 大山 風香 | 鹿児島県 | 鹿児島高等学校 | 2 |
先に決め 理解は後日 新安保 | 甲斐田 萌音 | 福岡県 | 福岡海星女子学院高等学校 | 2 |
ふと思う 当たり前の ありがたさ | 金丸 清香 | 福岡県 | 福岡大学附属若葉高等学校 | 3 |
自己採点 何度やっても 変化なし | 亀渕 友葵 | 福岡県 | 福岡大学附属若葉高等学校 | 1 |
向上心 持ってるあいつに 対抗心 | 河野 大地 | 大分県 | 県立大分西高等学校 | 1 |
群青の 夏の夜空に 花が咲く | 北村 さやか | 石川県 | 県立金沢商業高等学校 | 1 |
選挙権 事の重さに 腰が引け | 木村 日南 | 岡山県 | 清心女子高等学校 | 2 |
話そうよ 画面じゃなくて 目の前で | 小島 憂斗 | 福岡県 | 県立光陵高等学校 | 1 |
蚊を追って 気付けば一人 鬼ごっこ | 櫻井 麻理 | 群馬県 | 高崎商科大学附属高等学校 | 1 |
かかってこい おちるまぶたと 格闘中 | 佐藤 雪菜 | 宮城県 | 県立仙台南高等学校 | 3 |
厳格な 父の自室に AKB | 篠村 安里沙 | 宮崎県 | 延岡学園高等学校 | 3 |
大空に 終わりを告げて 散る花火 | 柴野 顕豊 | 徳島県 | 阿南工業高等専門学校 | 1 |
学期末 私のテストは 世紀末 | 隅田 健太 | 山口県立 | 県立美祢青嶺高等学校 | 3 |
十八歳 新たな希望と 責任感 | 隅田 千笑 | 京都府 | 大谷高等学校 | 3 |
いつもより 遊びたくなる テスト前 | 染谷 朱莉 | 群馬県 | 高崎商科大学附属高等学校 | 3 |
「休みたい」 卒業後には 「戻りたい」 | 髙橋 侑莉 | 群馬県 | 高崎商科大学附属高等学校 | 2 |
もう無理だ 言ってるうちは まだ元気 | 田川 菜々子 | 群馬県 | 高崎商科大学附属高等学校 | 2 |
夏終わる 消えゆく花火と 蝉時雨 | 竹島 昇耶 | 大分県 | 県立佐伯鶴城高等学校 | 3 |
「明日する」 明日になると 「明日する」 | 田邉 友之 | 京都府 | 大谷高等学校 | 3 |
「うまくいく」 その一言で 頑張れる | 玉越 美穂 | 長崎県 | 長崎女子高等学校 | 3 |
若者語、 大人にとっては 外国語 | 長曽我部 理紗 | 福岡県 | 福岡大学附属若葉高等学校 | 3 |
カメラでは 記録できない この気持ち | 辻 日奈子 | 大阪府 | 大阪市立南高等学校 | 2 |
弁当は 冷めてるけれど あったかい | 寺本 健志 | 熊本県 | 九州学院高等学校 | 2 |
町中が ながらスマホで おっとっと | 堂東 樹 | 京都府 | 大谷高等学校 | 1 |
決まらない 俺のシュートと 進路先 | 永田 聖知 | 福岡県 | 県立光陵高等学校 | 1 |
食堂で 食券買えず ラマダーン | 中山 響生 | 福岡県 | 福岡大学附属大濠高等学校 | 1 |
暑い夏 みんなスマホに 熱中症 | 野間 文乃 | 鹿児島県 | 樟南高等学校 | 2 |
携帯に 真顔で打ちこむ 「超ウケる」 | 本多 凜華 | 鹿児島県 | 樟南高等学校 | 1 |
兄帰省 会わない間に 標準語 | 前田 貴大 | 宮崎県 | 延岡学園高等学校 | 3 |
ナガサキの 祈りの歌に 心寄す | 前田 みなみ | 長崎県 | 純心女子高等学校 | 3 |
朝おきて かならず見える 母のかお | 松下 大樹 | 鹿児島県 | 樟南高等学校 | 1 |
その言葉 ケシゴムなんかじゃ 消えないよ | 松本 実優 | 福岡県 | 福岡大学附属若葉高等学校 | 1 |
英語より 笑顔でつくる 世界の輪 | 蓑田 一馬 | 福岡県 | 福岡大学附属大濠高等学校 | 1 |
試験明け 入道雲が 踊ってる | 盛 伊吹 | 徳島県 | 阿南工業高等専門学校 | 1 |
親父似の 彼氏と聞いて 母不安 | 森下 未来 | 岡山県 | 清心女子高等学校 | 1 |
いつまでも 乙女心の ママがいる | 山﨑 聖 | 岡山県 | 清心女子高等学校 | 1 |
夏風が ペン動かせと 頬なでる | 山田 智也 | 群馬県 | 高崎商科大学附属高等学校 | 3 |
おなかなる 誰か話して きこえちゃう | 山内 亜美 | 山口県 | 柳井学園高等学校 | 3 |
火山より 母の噴火に 要注意 | 山村 拓也 | 群馬県 | 高崎商科大学附属高等学校 | 1 |
参考書 進まぬページを めくる風 | 吉川 夏緒 | 福岡県 | 福岡大学附属大濠高等学校 | 1 |
入賞作品について(評:全日本川柳協会・梅崎流青氏)
向上心持ってるあいつに対抗心
世間はこの二人をライバルと呼ぶ。また「切磋琢磨」という四字熟語を当てその関係を説明する。自分を磨くのは勉学だけではなく向上心を持っている「あいつ」という「ヤスリ」。時々そう思う。
厳格な父の自室にAKB
聖人も唇に歌を乗せれば酒も飲むことは知っている。それでも父だけは別だと思っていた。ふとドアの隙間から覗いた父の部屋にAKB。やっぱり父も一人の人間なんだ、との安心感。一枚のポスターが父と子の距離を一気に縮めた。
親父似の彼氏と聞いて母不安
地震やかみなりと比較された親父もついにここまで。現代社会における父の存在は・・・。
試験明け入道雲が踊ってる
いつもふり仰ぐ入道雲が今日は踊っている。もくもくと筋骨隆々の雲の峰。そう見えたのも今回の試験に手ごたえを感じたからなのだろう。景色もその時の感情で変わると発見した収穫の夏。
祖父からの平和のバトンをもらう夏
戦後七十年の頁を祖父とめくった。戦争を語る人がどんどん少なくなっていく。芋のつるやかぼちゃで飢えをしのいだ祖父の手に刻まれた深い皺の物語。歴史は何のために学ぶ、と自問した夏。
その言葉ケシゴムなんかじゃ消えないよ
言葉は母の編んでくれた手袋のような温かさがあるが凶器の冷たさも併せ持つ。相手にはせめて消しゴムで消せる程度の言葉を。
ふと思う当たり前のありがたさ
あの震災から五年を迎えようとしている。時に鬱陶しく感じた「早く起きなさい。学校に遅れますよ」と階下からの母の声をあの日から聞けなくなった。あの「当たり前」の日常に戻りたい、とは被災者の呻き。
第11回(平成27年度)全国高校生川柳コンクール選考委員会
*広報委員会構成員
- 学長
- 副学長(4人)
- 事務局長
- 法学部長
- スポーツ科学部長
- 教務部長
- 学生部長
- 総合情報処理センター長
- 入学センター長
- 就職・進路支援センター長
- 企画部長
- 学長が委嘱した者
*学長が指名する者
- 梅崎 流青氏(全日本川柳協会常任幹事)
- 田川 大介氏(西日本新聞社編集局報道センター・社会部総合デスク)
- 田坂 順子 (福岡大学人文学部日本語日本文学科教授)