
第7回(平成23年度)コンクール入選作品
応募総数:全国147校の高校生8,018人から17,695作品。
大賞〔福岡大学長賞〕1作品、優秀賞2作品、入賞50作品を選出しました。
- 大賞
- 作品:「夏のエコ 一つの部屋に 顔並ぶ」
(長崎県)純心女子高等学校2年 生田 佳子
[本人コメント]大賞をいただいたと聞いて、とてもうれしく思いました。ありがとうございます。
3月11日の震災があってから、私もエコを意識する生活になりました。わが家では、節電のために家族で一つの部屋に集まって、一日の出来事を話すようになりましたが、それが掛け替えのないものだということにあらためて気付くことができました。
エコを通して家族の絆が強くなったと感じた体験を、川柳で表しました。
[作品評価]東日本大震災。あらゆるものが一瞬にして失われていく光景を目にしました。その一方で「誇りと秩序」を失わない被災地の人々の「人間力」を知りました。私たちには「節電」が求められ、方策の一つ、朝顔やゴーヤなど緑のカーテンが夏の日差しを和らげてくれました。家族が一つの部屋に集まって夏の夜を過ごす、というのも私たちができる節電の一つであり、「家族の絆」も再発見です。
- 優秀賞
- 作品:「節電で 夜空に星が ちらばった」
(長崎県)長崎女子高等学校1年 吉岡 憂希乃
[本人コメント]川柳を作ろうとしたとき、私は一つの光景を思い出しました。あるとき、なぜだか分かりませんが、近くの建物の電気が消え、夜空の星が普段より輝いて空いっぱいに散らばって見えたことがあったのです。
そして現在、東日本大震災がきっかけで日本中で節電が叫ばれています。「被災した方々の力になりたい」というそれぞれの気持ちが節電という行為に現れ、日本中の思いが輝く星に託されて夜空を覆うといいなと思い、この川柳ができました。
[作品評価]震災前の、衛星から見た夜の日本列島はまるで「光の帯」でした。
それがあの日あの時から「光は大切に」という運動が広がりました。その副産物として夜空の星が瞬きを増したのです。昔、家族旅行のキャンプ地で見た夏の夜空が少し戻ってきたようです。家族で星に語り掛けるのも久しぶりです。ギリシャ神話や織姫と彦星などの星の物語がちょっと話題になりました。
-
作品:「仕事みて 父のデカさを 知った夏」
(大分県)大分県立情報科学高等学校3年 橋 大地
[本人コメント]今回の受賞を聞いて大変うれしく思います。
私はこの作品を特別な思いで書きました。私の父は一日の仕事が終わり、家に帰ってからも車庫で車の整備をしています。父は誰よりも一生懸命働き、どんなに疲れていても私たちを笑わせてくれます。そんな姿をずっと見てきて、とても尊敬できる父だと思います。私もこれから卒業し、社会人になった時には父を目標とし、良い所を取り入れ、子どもから尊敬される父親になりたいと思っています。
[作品評価]「社会人になって初めて父の偉大さを知った」という言葉をよく耳にします。家で見る父は不格好でゴロ寝、時には鼻毛などを抜いています。それは仕事から解放されたある意味では自然な姿かもしれません。実は仕事に立ち向かう準備運動でもあります。仕事場の父を見ました。家では見せなかった顔です。「背中で教える」ということを実感した収穫の夏です。
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| 作品 |
氏名 |
高校名 |
学
年 |
高校
所在地 |
| 四色ペン 赤がすぐ減り 三色ペン |
戸田 菖太 |
県立三本木高等学校 |
2 |
青森県 |
| ランニング 先生いないと ウォーキング |
山我 希久子 |
県立三本木高等学校 |
2 |
青森県 |
| 秋の空 まるで絵の具の パレットだ |
佐藤 陸 |
県立七戸高等学校 |
2 |
青森県 |
| 大震災 なくした安心 得た希望 |
佐々木 勇輔 |
青森山田高等学校 |
1 |
青森県 |
| まず一歩 踏み出したいと 被災地へ |
今 美里 |
青森山田高等学校 |
2 |
青森県 |
| なぜだろう 小子化なのに 就職難 |
河信 樹璃菜 |
青森山田高等学校 |
3 |
青森県 |
| ボランティア 行った私が 癒されて |
田崎 梢理 |
県立小山城南高等学校 |
3 |
栃木県 |
| 日本の 明日の夜明けは 君次第 |
木村 愛弓 |
太田市立商業高等学校 |
3 |
群馬県 |
| 「節電」に かけて「節勉」 母怒る |
久保田 絵梨奈 |
太田市立商業高等学校 |
3 |
群馬県 |
| 日本を 立て直すんだ 俺達が |
海老原 章雄 |
県立清水高等学校 |
3 |
千葉県 |
| 宿題は ウォーミングアップで ギブアップ |
小川 真央 |
学習院女子高等科 |
2 |
東京都 |
| 増加中 世界遺産と 総理たち |
赤堀 美欧 |
田園調布雙葉中学高等学校 |
2 |
東京都 |
| ゆめ探せ そういう先生 よめ探せ |
平松 結有 |
東京学芸大学附属国際中等教育学校 |
2 |
東京都 |
| 初バイト 客のふりして 母が来る |
引地 和眞 |
県立川和高等学校 |
2 |
神奈川県 |
| 買い物で おつりが出たら 義援金 |
和合 由莉奈 |
長野県蘇南高等学校 |
3 |
長野県 |
| 暑い日は ペットボトルも 汗をかく |
清田 弥生 |
県立福江高等学校 |
3 |
愛知県 |
| おもちゃばこ 思い出したい 過去の夢 |
黒葛原 直樹 |
県立福江高等学校 |
3 |
愛知県 |
| 縁側で タネ飛ばしあう 夏休み |
小椋 裕美 |
修文女子高等学校 |
1 |
愛知県 |
| パソコンが 壊れてわかる 依存率 |
岩井 亮太 |
岸和田市立産業高等学校 |
2 |
大阪府 |
| 「ただいま」と 帰れる家の ありがたみ |
石田 美有 |
昇陽高等学校 |
2 |
大阪府 |
| 悲しみの がれきの上に 虹かかる |
高橋 茉莉子 |
甲南女子高等学校 |
1 |
兵庫県 |
| 休みの日 父は家族の 足になる |
西村 友香 |
甲南女子高等学校 |
1 |
兵庫県 |
| 「君が好き」 たった5文字が 言えなくて |
小坂 浩一 |
県立飾磨工業高等学校 |
2 |
兵庫県 |
| 思い出す あの日のことを この曲で |
河上 雅規 |
県立飾磨工業高等学校 |
2 |
兵庫県 |
| 忘れない あの日の津波 いつまでも |
丹後谷 美菜 |
県立日高高等学校 |
1 |
兵庫県 |
| 一歩ずつ 応援リレーを 東北へ |
武田 香菜絵 |
県立日高高等学校 |
3 |
兵庫県 |
| 止めたくて 時計の電池 とってみた |
中谷 安希 |
武庫川女子大学附属高等学校 |
3 |
兵庫県 |
| そうじせぬ 母が一言 節電中 |
木本 雄樹 |
県立香芝高等学校 |
2 |
奈良県 |
| 節電で 家族の仲は 温まる |
古江 晃也 |
県立香芝高等学校 |
2 |
奈良県 |
| お母さん 怒ると敬語で メール打つ |
佐藤 未来 |
県立岡山一宮高等学校 |
1 |
岡山県 |
| 後輩へ 希望をたくして バトンパス |
岡崎 莉奈 |
県立岡山一宮高等学校 |
2 |
岡山県 |
| 移動時間 みんな爆睡 景色見ず |
川野 晴菜 |
安田女子高等学校 |
2 |
広島県 |
| 後悔と 一緒に残る 日焼け跡 |
戸田 ゆい |
県立今治南高等学校 |
2 |
愛媛県 |
| 秋が来る サンマも私も 脂のる |
稲毛 皓太 |
つくば開成高等学校福岡開成館 |
3 |
福岡県 |
| 箱の中 貯まっていくのは 思いやり |
福ア 龍太 |
博多高等学校 |
3 |
福岡県 |
| どじょうがね 今こそ日本 建て直す |
岡田 大輝 |
東福岡高等学校 |
1 |
福岡県 |
| 募金して 空の財布に 苦笑い |
川村 光平 |
県立小倉西高等学校 |
2 |
福岡県 |
| 泣き顔も 笑った顔も 全部好き |
國松 智仁 |
県立小倉西高等学校 |
2 |
福岡県 |
| 支え合う 心が日本の エネルギー |
黒岩 早希 |
福岡大学附属若葉高等学校 |
1 |
福岡県 |
| 立ち上がれ 今がその時 手を繋ぎ |
武末 紗也香 |
福岡大学附属若葉高等学校 |
2 |
福岡県 |
| 雨あがり 景色はまるで ハイビジョン |
兼元 晴菜 |
純心女子高等学校 |
1 |
長崎県 |
| 金魚鉢 夜空写して 星を飼う |
川場 笙子 |
純心女子高等学校 |
2 |
長崎県 |
| なでしこの 花びら揺れる さわさわと |
田川 萌愛 |
純心女子高等学校 |
3 |
長崎県 |
| 感謝状 母にもあげたい 化粧筆 |
本村 恵子 |
純心女子高等学校 |
3 |
長崎県 |
| 人がもつ 笑顔の力 無限大 |
前田 祐希穂 |
長崎女子高等学校 |
3 |
長崎県 |
| 大地震 世界をつなぐ 支援の輪 |
西郷 智明 |
県立情報科学高等学校 |
3 |
大分県 |
| 部活動 汗の分だけ 強くなる |
田代 朋花 |
樟南高等学校 |
2 |
鹿児島県 |
| 自分より 全然賢い スマートフォン |
萩元 歩 |
樟南高等学校 |
2 |
鹿児島県 |
| 風鈴と 扇子で過ごす 夏休み |
井手之上 愛結美 |
樟南高等学校 |
3 |
鹿児島県 |
| 夏休み 家族がそろう 夕ごはん |
新里 真奈美 |
県立那覇商業高等学校 |
1 |
沖縄県 |
※ 敬称略
- 入賞作品について
買いものでおつりが出たら義援金 悲しみのがれきの上に虹かかる 風鈴と扇子で過ごす夏休み 今回は当然のように「東日本大震災」を詠んだ川柳が多く寄せられました。この大震災には「未曾有の」「想定外」など言葉が付け加えられました。これは「1000年に一度」がそう言わせたようです。それはあくまで人類にとっての物差しです。しかし、大震災があくまで「地球生誕46億年」の中の1000年、ととらえると震災は未曾有どころか「頻繁」そのものです。震災では多くのものを失いましたが大切なものを残し新たなものも生みだしました。それは人と人との思い遣りや人間としての誇りや秩序でした。 後悔と一緒に残る日焼け跡 泣き顔も笑った顔も全部好き 部活動汗の分だけ強くなる このような作品に出会うと青春というのはその一瞬を燃え尽きまた立ち上がるしなやかさを持ち合わせているということがよく分かります。後悔も泣き顔もそして流した汗もすべてこれからの人生の糧になるのです。この時期は体を鍛えこころを鍛える年代なのです。 秋の空まるで絵の具のパレットだ 縁側でタネ飛ばしあう夏休み 何か日本の原風景を思わせ童謡など思わず口ずさみたくなるような色彩豊かな作品です。 なぜだろう少子化なのに就職難 どじょうがね今こそ日本立て直す 社会も経済も厳しい時代です。何よりそう思うのは「冬の次は春」が見いだせないからでしょう。せめて「どじょう」に芽吹きの春を託す、ささやかな願いでもあります。 (梅崎流青)
●広報委員会構成員
学長
副学長(4人)
事務局長
商学部長
理学部長
教務部長
学生部長
総合情報処理センター長
入学センター長
就職・進路支援センター長
企画部長
●学長が指名する者
田代俊一郎氏(西日本新聞社編集企画委員会客員編集委員)
梅崎流青氏(全日本川柳協会常任幹事)
田坂順子(福岡大学人文学部日本語日本文学科教授)

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