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20241018
スポーツ

戦う相手が相手から自分へ。挫折から全国2位へ這い上がった小齊穂奈美選手

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10月5日(土)・6日(日)に日本武道館(東京都)で「2024年全日本学生柔道体重別選手権大会」が開催されました。強豪がひしめく中、女子63キロ級で福岡大学柔道部(女子)主将の小齊穂奈美選手(スポーツ科学部4年次生)が準優勝を飾りました。入学時から活躍を続ける一方、順風満帆ではなかった小斎さんに話を聞きました。
 

ー全国大会準優勝おめでとうございます。どんな目標・気持ちで挑んだ大会でしたか?
高校時代、全国大会(選手権)で個人2位だったので、日本一になりたくて福岡大学に入学しました。大学に入ってから全然勝てなくなり、昨年の同じ大会は反則負けという結果で、柔道を辞めたいと思うほど苦しい時期を経験しました。坂本道人部長、日下部基栄監督、外部コーチの飯野鈴々先生が精神的にも技術的にもサポートしてくださったおかげで、改めて日本一を目指そうと思うことができ、今回は本気で日本一を取りに行きました。

ーそれだけ強い気持ちで挑んだのであれば、準優勝にも悔しさが残りますね。
そうですね。この4年間は本当に勝てなかったので、少しは自信になったのですが、やはり最後に勝ちきれず、日本一という目標に届かなかったことに、「まだまだだな」という気持ちは大きいです。

ー挫折からこの1年で、一番変わったことはなんでしょうか?
3年次までは、本能や感覚で練習していましたが、坂本先生が技術的な課題を示しながら指導をしてくださったので、目の前の課題に向き合いながらステップアップしていくことができました。「何のためにやっている練習なのか、これをやるとどうなるのか」みたいな部分も意識しながら詰めてきました。そこのおかげで自信が付き、試合での気持ちの入り方も変わってきたように感じます。これまでは、対戦相手に負けなくないという気持ちばかりでしたが、今は、課題をクリアすることで力を発揮するイメージで戦えています。

ー戦う相手が、対戦相手ではなく、自分になったということですか?
そうですね。負けたことがある相手だと、「この人には絶対勝つ」という気持ちから空回りすることが多かったのですが、今はそれがないので成長できたと思います。

ー自分の強みはどこだと思いますか?
技で言えば、小外刈りです。坂本先生から「小外刈りが小齋の強みだ」と言ってもらってからは自信が持てるようになりました。あとは、試合途中にきつくなったり、相手に遠慮したりすると、すぐに組み手を離していたのですが、今季は組んだまましっかり戦うことを意識してやってきました。

ー全国大会ではその強みを発揮することができましたか?
それが、最後の最後で出せなくて。決勝戦の前半は自分のペースだったのですが、我慢することができず、「早く投げたい、早く終わらせたい、何で投げようみたいな」気持ちから、ペースを崩してしまいました。ただ、決勝までは、苦手克服のために強化してきた左組みが生かせたので、課題をクリアできた部分もあったと思います。

ー山梨・富士学苑高を経て、福岡大に進学されました。進学の決め手はなんだったのでしょうか。
叔父の小斎武志(故人/‘95年全日本学生体重別選手権95キロ級優勝。ロシア国際大会などにも出場)が本学出身で、活躍していたこと、生まれ育った福岡市から勝ちたいという思いがまずありました。それに、大学入学前に幾つかの柔道部の練習に参加させてもらったのですが、本学が一番きつかったんです。一番きつい場所を選んだ方が目標に近づけるという思いがありました。

ーストイックですね。絶対、日本一になりたいという覚悟を感じます。
楽なところに入ったら、楽な方に逃げてしまう性格なんです。そういうきつい環境に入らないとやらないので。

ー福大柔道部の練習はいかがですか?
かなりきついです。朝7時から朝練がありますし、練習時間も長くて、休みも少ないです。それだけ練習していると思っていたのに、2年連続で反則負けをしてしまったので、余計にやるせなくなった部分はあります。しかし、柔道部には、全国2位になった先輩の青野南美先輩(2024年経済学部卒業)や外部コーチの飯野先生など、強い方がたくさん周りにいたおかげで自分も強くなれました。試合の時は後輩もすごく応援してくれますし、そういう環境で柔道を続けてこられて良かったと思います。

ー大学の学びが、競技に生きた部分はありますか?
自分が試合で勝てない理由は、メンタルにあると思っていたので、スポーツ心理学の授業は興味深かったです。授業では一流の人と二流の人のメンタルの持ち方の違いなどを学んで、一流の人の考え方を記録して携帯に保存し、試合前に見たりしていました。

ー東京五輪女子78キロ級金メダリストの素根輝さんと同じ田主丸中学校(福岡県久留米市)出身ですし、叔父さんも世界大会で活躍されました。世界への憧れはありますか?
田主丸中学校時代に、1学年上の古賀若菜さん(グランドスラム パリ・優勝など)と一緒に練習していました。古賀さんが日本のトップに立って、世界でも活躍しているのを見ると、近づきたいなという思いはあります。ただ、まずは日本一にならないと、それ以上は言えないとも思っていて。卒業したら実業団で日本一を目指して、強化選手Bに入れたらと思っています。

ーチームで戦う「全日本学生体重別団体優勝大会(10月19・20日開催)」ではどんな戦いをしたいですか?
初戦、2回戦までの相手は互角だと思っているので、そこまでは勝ち上がりたいです。団体戦に初めて出る後輩は不安だと思うので、自分がしっかり勝って、後輩が安心して試合ができるように頑張りたいと思います。

ー団体戦と個人戦では気持ちが違いますか?
全然違います。私は団体戦の方が好きで、気持ちも楽に戦えます。主将として、何か残せるといいなと思っています。

ー最後に、ここまでハードな練習に耐えられた理由を教えてください。
食べるのが大好きなので、好きなものを食べることが活力になっています。以前は、体重制限のために食べないで痩せて、試合前にフラフラになって苦しんだことがあるのですが、今はいっぱい食べて、いっぱい走って、運動して体重を落とすようになり、精神的にも追い込まれなくなりました。夜に大濠公園で走って、池の辺りでライトアップされた福岡タワーを見ることが楽しみの一つです。

「全日本学生体重別団体優勝大会」の初戦は、10月19日(土)に山梨学院大学と対戦します。小斎選手ならびに柔道部(女子)の応援をよろしくお願いします。
 

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柔道全国2位の小齊選手を支える 日下部基栄監督
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全日本学生柔道体重別選手権大会で小齊穂奈美選手が準優勝