10月5日(土)・6日(日)に行われた「2024年全日本学生柔道体重別選手権大会」では、福岡大学柔道部(女子)の小齊穂奈美選手(スポーツ科学部4年次生)が63キロ級で準優勝しました。小齊選手を支える日下部基栄監督に話を聞きました。
ー全日本学生柔道体重別選手権大会を振り返って
「全日本学生柔道体重別選手権大会」の63キロ級では優勝のチャンスがあっただけに、私も悔しさが残ります。ただ、小齊選手のこれまでの取り組みを見てきたので、勝ち負け云々以前に、「本当によく頑張った」という気持ちになりました。部員も小齊選手が葛藤している姿を見ているので、決勝戦後はみんなで泣きました。涙の2割は悔しさですが、8割は「頑張ったね」の涙です。今でも思い出しただけで涙が出ます。
ー小齊選手はどのような選手ですか?
高校全国2位の実績で本学に入ってきただけあって、団体戦では1年次から大活躍してくれました。一方、個人戦では、なかなか結果が出せず伸び悩みました。1つ上の学年に同じ階級の青野南美選手(2024年スポーツ科学部卒業)がいて、勝てたのは入学からわずかの期間だけでした。その後は、青野選手がグッと伸びたこともあり、なかなか勝つことができませんでした。
ー伸び悩みの時期を脱し、好転した理由は何だったのでしょうか?
2年次の時には肘を痛めて全国大会に出場できず、3年次の時は反則負けに終わりました。実力はあるのに不運が重なって、結果が出ない苦しい時期を経験しました。勝負は必ずしも頑張りとイコールにならないものですが、4年次になってからは、苦しい中でもがき、離していたところを離さないで詰めるなど、ちょっとした部分が変わってきました。オンとオフの切り替え方なども分かってきたようです。
ー日下部監督はどのように関わってきましたか?
監督は私ですが、彼女の柔道スタイルと私のスタイルが少し違うので、一歩引いたところで見守ることに徹しました。代わりに、坂本道人部長(スポーツ科学部准教授)が技術指導をして下さり、昨年からコーチをしてくれている飯野コーチが練習相手になってくれたりして、小齊選手を鍛えていきました。小齊選手を取り巻く人たちが、チームとなって連携したことが功を奏し、彼女もそれにしっかり応えてくれたと思います。
ー日下部監督にとって、小齊選手を指導された4年間とは
私は選手時代から指導者になった今も、勝ちにこだわってきた人間です。過程が大事か、結果が大事かと問われたら、後者といつも答えていました。自分もストイックに結果だけを求めてやってきただけに、選手にもそれを求めてきました。しかし、今年の小齊選手や副主将の中嶋涼葉選手(スポーツ科学部4年次生)を見て、初めて過程も大事だと気付かされました。指導者になって10年目で、初めて勝ち負けだけじゃないという気持ちが湧き、自分自身が驚いている程です。
ー小齊選手へ
大会後は、悔しくて泣いていましたが、それ以降は練習でもリズムが良くなり、技も出るようになってきました。本人が気付かないところで、自信がついたのではないでしょうか。今回優勝にこそ届きませんでしたが、諦めずに頑張っていたら、またチャンスは巡ってくると信じて頑張ってほしいと思います。

