福岡大学医学部の貴田浩志講師(専門:超音波医科学)は、「ウルトラファインバブルを用いたアルツハイマー病に対する病原たんぱく質分解酵素の遺伝子治療の開発」を行っており、その研究に対する研究クラウドファンディングプロジェクト*を行っています【~5月20日(木)17時】。この研究クラウドファンディングは福岡大学初の試みです。
貴田講師は「プロジェクト終了まで残り6日ありますが、このたびファーストゴール(1,250,000円)を達成し、セカンドゴール(1,500,000円)を設定しました。より多くのご支援で多くの実験条件を試すことが可能となり、研究をさらに前へ進めることができます」と話します。
*研究クラウドファンディングとは、クラウドファンディング運営会社が開設するインターネットサイトを通じて研究テーマを発信し、研究遂行に必要な資金を募ること。集まった支援金は該当研究に対する寄付金となる。
●研究テーマ等について教えてください。
ナノメートルサイズの不思議な泡「ウルトラファインバブル」を使った認知症や神経難病の遺伝子治療の研究を行っています。通常の2〜3mmの泡を東京ドームくらいの大きさとすると、100〜200nmのウルトラファインバブルはビー玉くらいの大きさしかありません。あまりにも小さ過ぎて浮力が働かず、最長で数週間、水中にとどまり続けるという不思議な性質を持っています。このウルトラファインバブルが超音波照射で破裂する「キャビテーション」という現象を利用して、脳や脊髄の患部に治療効果のある遺伝子を送り届ける方法を研究しています。
認知症は世界的な患者数の増加と、社会的なコストの増大が大きな問題となっています。その発症を予防し、症状を軽減することができれば、大きな社会貢献につながると考えています。皆が健康に長生きできる社会の実現に向けて寄与できることを目指しています。
詳しくはYouTubeをぜひ見てみてください!
・きむきむちゃんねる
・アカデミストバー(1回目)
・アカデミストバー(2回目)
●研究クラウドファンディングに挑戦したきっかけは何ですか?
近年、技術の進歩や社会の変化によって、研究費を獲得する手段が多様化してきています。日本においては、研究者は研究費を省庁や企業、財団から獲得することが主流です。しかし、世界各国の科学研究費が急増している中で、日本ではその伸び率は限定的で、むしろ研究費獲得の難しさは格段に増しています。その中で近年、IT技術の進歩とともにクラウドファンディングを通じて一般の方から研究費の支援を得るという活動が始まっています。それにより研究者は研究費を獲得しながら、自らの研究活動を一般の方に分かりやすく伝えることで、一般の方は研究費支援を通して科学研究に興味を持っていただき、積極的に関わっていくという関係が生み出されつつあります。
このような情勢を鑑み、私たちはこれまで取り組んできたアルツハイマー病の遺伝子治療研究をテーマに福岡大学から初めてとなる、研究クラウドファンディングに挑戦しています。
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研究クラウドファンディングプロジェクト内容
研究名:ウルトラファインバブルでアルツハイマー病に克つ︕
実施期間:2021年3月31日(水)10時~5月20日(木)17時
目標金額(セカンドゴール):1,500,000円 -
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