2026年のサッカーワールドカップ決勝戦が、7月20日(月・祝)午前4時(日本時間)から開催されます。準決勝でフランスを下した「無敵艦隊」スペインと、連覇を狙う王者アルゼンチンのFIFAランキング1位と2位のチームが激突する世界最高峰のカードとして注目を浴びています。
決勝戦を目前にして、スペインとアルゼンチンに在外研究の経験がある福岡大学の教員に、現地で暮らしたからこそ分かるその国の魅力を語ってもらいました。スペインについては、倉岡功先生(理学部化学科教授)のお話です。
サッカーをきっかけに、スペインやアルゼンチンなど、海外の国に興味を持つきっかけにしてください。
Q:「現地について、日本との違いで一番驚いたことは何でしたか?」

スペインの夕食は夜10時からがスタンダードと聞いてはいましたが、本当にそのとおりでした。実は、スペイン人には1日5回食事を取る習慣(朝食、午前の軽食、昼食、夕方のおやつ?、夕食)があり、時間をかけてゆっくりと食を楽しむのが日常です。
さらに驚いたのは、夜の9時や10時になっても、近くの教会の前や広場で、小さな子どもたちが元気にサッカーをして走り回っていることです。「こんな時間まで起きていて大丈夫なのかな?」と最初はハラハラしましたが、現地の人々にとってはこれがごく当たり前の日常。時間を急がず、家族や友人、そして地域で集う時間を徹底的に楽しむ、人生のゆとりを肌で感じた瞬間でした。

Q:「サッカー抜きでその国を語るなら何ですか?」
「豊かな食文化」や「人々の温かい人柄」に加え、美しいビーチ、深い歴史、そして偉大な芸術が日常に溶け込んでいるところです。
バルセロナのあるカタルーニャ地方は海と山に囲まれた食材の宝庫で、市場(メルカド)の色鮮やかな食材は見ているだけでワクワクします。 街中には中世の面影を残す旧市街や歴史的な建造物が佇み、すぐ目の前には青く輝く地中海のビーチが広がっています。さらに、ガウディ、ピカソ、ダリ、ミロといった巨匠たちが愛し、彼らの素晴らしい芸術が息づく街でもあります。 そして何より、人々がとてもフレンドリー。言葉が完璧に通じなくても、バル(居酒屋)のカウンターで隣り合わせればすぐに笑顔で話し掛けてくれます。
歴史、芸術、自然、そして美味しい食事を真ん中にして人生を謳歌する、あの陽気で温かい空気感は、一度味わうと「また必ずここに戻ってきたい」と思わせてくれる最大の魅力です。

Q:「その国を一皿で表すとしたら何ですか?」
「パエリア(Paella)」、それとカタルーニャ名物の「フィデウア(Fideuà)」です。
スペインといえばパエリアが有名ですが、バルセロナがあるカタルーニャ地方では、お米の代わりに「極細のパスタ」を使った「フィデウア」というイカ墨や魚介のパスタパエリアも大人気です。大皿をみんなで囲み、アリオリソース(にんにくマヨネーズ)をたっぷりつけてつつき合う時間は、まさにスペインの「繋がり」や「団らん」を象徴する一皿です。
Q:「あまり知られていない、実際に暮らしてみて感じた『意外な一面』を教えてください」
バルセロナの人々は、実はとても「地元(カタルーニャ)愛が強く、独自の文化を大切にしている」という点です。
スペインというと情熱的なフラメンコや闘牛のイメージが強いかもしれませんが、バルセロナがあるカタルーニャ州では闘牛は禁止されており、フラメンコも元々の郷土文化ではありません。彼らはスペイン語(カステリャーノ)とは異なる「カタルーニャ語」を話し、独自の歴史やアイデンティティに強い誇りを持っています。
実はバルセロナは、2,000年以上前のローマ帝国時代に築かれた都市が起源であり、旧市街には今も当時の城壁や神殿の柱といった「ローマ時代の遺跡」が日常の風景の中に溶け込んでいます。 一見すると大都市でモダンなバルセロナですが、一歩中に入ると、そうした途方もなく長い歴史を自分たちのルーツとして大切に守り、地域コミュニティの絆を紡いでいる、温かくも芯のある一面に気付かされました。
Q:「ワールドカップの決勝、エールをお願いします」
「両国とも、自分たちの哲学を信じて、最高のフットボールをピッチで表現してください! ¡Mucho ánimo!(全力で応援しています!)」
スペインの華麗なパスワークと、アルゼンチンの魂を揺さぶるような熱い闘志。どちらのプレースタイルも、それぞれの国の人柄や文化がそのままピッチに現れているようで、見ているだけで胸が熱くなります。お互いの誇りをかけた最高のゲームになることを心から楽しみにしています!
