環境省と福岡市は、「福岡方式」が、チュニジア共和国との二国間クレジット制度(JCM:Joint Crediting Mechanism)を活用した脱炭素技術として採択され、同国に技術移転されることを本年5月26日(月)に発表しました。
福岡方式とは、1975年に福岡大学と福岡市が共同開発したごみ埋立技術の「準好気性埋立構造」のことで、廃棄物の分解に伴って発生する浸出水の汚濁負荷の低減や廃棄物の無害化・安定化を促進する効果があることから、福岡市を皮切りに国内の埋立場で数多く採用され、1979年には旧厚生省(現環境省)によりごみ埋立地(廃棄物最終処分場)建設のための構造指針の標準構造として認定されました。
「福岡方式」は、ごみ埋立地による環境汚染リスクの低減効果に加えて、安価な材料で比較的簡便な技術で建設ができることから、持続可能な埋立方式として、1991年にはマレーシアで海外第1号の「福岡方式」の埋立地が建設されました。以降、世界各国で導入が進み、現在21カ国において採用されています。
「福岡方式」が適正に機能するためには、「福岡方式」を十分に理解し、運転管理することが必要です。そのため、国連ハビタットや国際協力機構(JICA)の支援の下で、福岡市環境局内に福岡方式グローバルネットワーク(FMGN)が創設され、海外の廃棄物管理担当者や国内の技術者を対象に、「福岡方式」に関する研修が実施されています。
本学もFMGNの構成メンバーとして参画しており、研修会では、本学の松藤康司名誉教授をはじめ、工学部の田中綾子教授と鈴木慎也教授、環境保全センターの平田修准教授が講義や実習を担当しています。
2011年に「福岡方式」は温室効果ガスの削減技術として、国連クリーン開発メカニズム(CDM)理事会において認定され、ごみ埋立場の改善だけでなく、地球温暖化防止への貢献も続いています。

福岡大学内に設置された福岡方式モデル
での発生ガスの計測実習風景

食品廃棄物の堆肥化の実習風景
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【関連リンク】
・福岡市福岡方式グローバルネットワーク(FMGN)ウェブサイト
・工学部ウェブサイト
・福岡大学カーボンニュートラル推進拠点ウェブサイト