福岡大学薬学部では、毎年5月と10月に卒後教育講座を開講しています。本講座は市民公開講座として、薬剤師のみならず在学生や一般の方を対象に、薬剤師を取り巻く状況や基礎研究のトピックスなどについて最新の話題を提供しています。
10月25(土)には、基礎薬学を学ぶ講演が行われ、50人が参加しました。
益本英一准教授(本学薬学部)は、「薬の構造からみえること ― 有機化学で考える臨床と創薬」をテーマに、さまざまな医薬品の作用機序を化学構造の視点から講演しました。また、医薬品の改良は化学構造のどの部分にどのように行われているのか、医薬品の吸収や安定性、配合変化、副作用といった臨床現場で問題となる項目も解説しました。
高田誠准教授(本学薬学部)は、「抗体医薬品分析の今と今後の課題」をテーマに、近年、開発・臨床応用が増加している抗体医薬品の分析について講演しました。抗体医薬品は従来の低分子医薬品と異なり、生体内の抗体と類似した構造を持ち、薬物動態が複雑であるため血中濃度の測定を行うことが重要と考えられています。しかし、生体内の抗体と類似した構造のため分離や測定が難しく、その測定方法や特徴などを自身の研究内容と共に解説しました。また、医療費削減のために用いられている後発医薬品(バイオシミラー医薬品)の測定にも利用可能であることについても紹介しました。
益本 英一 准教授
高田 誠 准教授
参加者からは、副作用発現に関する化学構造の特徴や臨床現場で測定する際の問態点等について、多くの質問がありました。
医療に関わる職種では、薬剤師ならではの化学や分析の知識を生かせる分野があると、講演を通じて参加者に伝えることができました。今回の講演をきっかけに、薬剤師の皆さんの一層の活躍が期待されます。
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