福岡大学商学部・商学部第二部では、商業・情報の複数の教員免許を取得し、高等学校において活躍できる人材の育成を目指して、令和2年度から「高校商業・情報科教員育成プログラム」を開設しています。これは、本学商学部・商学部第二部ならではの取り組みになります。
先般、教育現場で活躍される先生方(本学部卒業生)と教員を目指す現役学生、本学教員との交流・連携の場を設け、教育界へ貢献や本学部と高校との高大連携などの糸口にすることなどを目的とした「教職ネットワーク」を設立し、12月18日(日)は第1回「FuC教職ネット」を開催しました。
今回は、「実践的指導力とは」というテーマのもと、本学卒業生の福岡県立大牟田北高等学校の平川正洋校長、佐賀県立佐賀商業高等学校の南里晃央教諭をお招きし、ご講義いただきました。また、本学からは商学部の井上修准教授が、簿記の指導法について説明しました。
最初に、平川校長から「管理職の視点から教員に期待すること」について講義がありました。若年教員の悩みを調査した上で、「自分の努力・実力不足など自責自問の傾向が多い。人に相談をすることも能力の一つ。学生のうちから他人とのコミュニケーションを大切にしてほしい」と学生にメッセージが送られました。
南里教諭からは、「商業高校における進学指導」について講義がありました。「進学指導では将来を見据えて、大学や専門学校に何をしに行くのかという目的が大切。ただ進学するのではなく、高校の早い段階から進路に対する目的意識を生徒に持ってもらう必要がある」と進学指導のポイントが説明されました。
平川校長、南里教諭の講義は、自分自身のキャリアデザインやキャリアアップについて考える機会となるよう、それぞれの立場から話していただきました。
最後に、井上准教授が「連結会計の指導方法」について講義を行いました。これは、教員にとっても、これから教員になる学生にとっても高校の授業における教授法を学ぶ場になることを目的に実施されました。主に、連結会計(※)は、企業会計の中でも複雑な会計処理を必要とするもので、「複雑な処理だからこそ、一つ一つの処理が何のためなのか、ゴールはどこかを明確にする必要がある。複雑な処理だから高度な知識が必要なのではなく、しっかりとした基礎を固めておくことの方が大切」と暗記型の勉強方法ではなく、それぞれの意味を理解する大切さについて話しました。
※連結会計…企業の親会社と子会社、それぞれの財務諸表を結合する会計のこと。

平川校長の講義の様子

南里教諭の講義の様子
講義後はグループワークが行われました。「実践的指導力」について「教務」「進路指導」「生徒指導」「ホームルーム」「部活動・生徒会」の5つのジャンルごとに分かれ議論を交わしました。ICTを活用した授業展開や、セカンドキャリアを視野に入れた進路指導、いじめの未然防止など、グループごとに活発な意見交換が行われました。
参加学生からは、「将来、より実践的な教育を行うために、学生である今、勉学に励み社会経験を積むことに意味を感じました」「目の前の生徒へ向き合う方法は教師の数だけあるのだと思いました。ただ、生徒のどのような悩みにも真摯に向き合うことは共通して大切だとあらためて感じました」等の感想が寄せられました。

グループワークの様子

受講の様子
「FuC教職ネット」は、今後も開催していく予定です。