6月上旬に行われた全日本体操種目別選手権、米倉英信選手(徳洲会体操クラブ所属・2020年福岡大学スポーツ科学部卒業)は3大会連続出場中の内村航平選手(ジョイカル所属)と個人枠(1枠)を争いました。2日間の見事な演技の結果、総合ポイントで内村選手と並びましたが、日本体操協会の定める選考基準により僅差で敗れ、惜しくも本大会での東京2020大会出場はかないませんでした。
しかし、米倉選手の東京2020大会出場の可能性は消えていません。6月23日(水)からカタールで開催される「FIG種目別ワールドカップドーハ大会」で好成績を収めれば、個人枠の切符を勝ち取る可能性を残しています。
W杯ドーハ大会に向けて、米倉選手の意気込みと、恩師の貞方浩二監督(福岡大学体操競技部監督)からの激励メッセージを紹介します。
米倉 英信 選手(2020年スポーツ科学部卒業)
- 全日本種目別選手権を振り返って
今回の種目別で、東京2020大会の個人枠(国枠)を内村航平さんと争っていましたが、あと一歩のところで敗れてしまいました。悔しい思いはなく、自分自身の実力は発揮できたと思いますし、運がどちらに味方したのかが明暗を分けたのかなと思います。
- ドーハ大会、東京2020大会に向けて
僕にはワールドカップドーハ大会で出場権を獲得するチャンスがまだ残っています。W杯で優勝し、東京2020大会の切符をぜひ勝ち取りたいです。航平さんからは、「ドーハで取ってきてね」と声を掛けていただいたので、一緒の舞台に立ち、金メダルを取れるように頑張りたいです。
今後もご声援をよろしくお願いします!
貞方 浩二 監督(福岡大学体操競技部監督)
- 福大時代の米倉選手について
6種目をそつなくこなせる選手だったので、オールラウンダーとしての活躍を期待していました。しかし、高校時代に痛めた肩の怪我がなかなか治らず、思った成績を残せない時期が続きました。本人はとても悔しい思いをしていたと思います。
2年次生の時、跳馬の練習でロペスハーフ(現在のヨネクラ)に挑戦したところ、そこに可能性を感じ、跳馬に集中して取り組むようになりました。新たに追加された個人枠での出場を意識し、挑んだ3年次生の全日本種目別選手権。見事に金メダルを獲得したことで、東京2020大会出場が完全なる目標に切り替わったことと思います。
- 最近の活躍ぶりを見て
跳馬という種目は他の種目と違い、1つの跳躍だけで点数が出るので、小さなミスが致命的になる種目です。今回の選考は5回の演技での総合ポイントで争われたため、1度のミスも許されない戦いでした。
正直、「ヨネクラ」のような最高難度の技を5回とも成功させるのは至難の業だと思いました。しかし、今シーズンに入り試合会場での練習を見ていると、明らかに進化しているなと感じました。あのレベルの技を更に引き上げるのに、本人は相当な努力を重ねたと思います。そして、見事に5回の演技を成功させ、最後まで内村選手と死闘を繰り広げたことをとても誇りに思います。
- 出場権獲得を目指す米倉選手へ
東京2020大会に向けて、ここまで演技を仕上げている選手は世界にもいません。自信を持って最高のパフォーマンスを発揮してください。
米倉は東京2020大会に行くべき選手だと確信しています。
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関連リンク
『福岡大学学園通信』第66号:大技「ヨネクラ」を武器に目指す東京五輪の金メダル
日刊スポーツ:「グッドルーザー」で終わるにはまだ早い 内村に感謝された米倉の戦い