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[Macintosh] OS MacOS X 以降, ブラウザ Safari 3.1以上, Mozilla Firefox 3.0 以上
全国123校の9,674人から23,613作品の応募がありました。
その中から金賞[福岡大学長賞]、銀賞、銅賞、全日本川柳協会賞[特別賞]、西日本新聞社賞[特別賞]、入賞(45作品)、学校賞[特別賞](3校)を選出しました。
入選者には12月末までに賞状と副賞(図書カード)をお贈りします。
LINE鳴る既読付けるか心理戦
SNSは人と人とのコミュニケーションを様変わりさせた。今や不可欠なツールであるLINEは、既読を付けるか付けないかの選択でさえ相手へのメッセージとなる。だからこそ、既読を付けない自分に後ろめたさや申し訳なさを覚える。人と会う場合であれ、スマホでやりとりする場合であれ、他者とのつながりには悩みがつきまとうことを「心理戦」の一言で見事に表現している。
姉帰省家族みんなの箸そろう
姉を交えての久しぶりの食卓。急に大人びた姉に驚きと少しばかりの羨(うらや)ましさも。姉に聞きたいことは山ほどある。勉強のこと、新しい友達のこと、そして住んでいる街のこと。さっきから黙ってはいるが嬉しそうに杯を傾ける父。いそいそ働く母。鍋の湯気まで見えるような川柳である。「箸そろう」という言葉としては平凡な措辞がこの句を温みのある非凡な作品とした。
銀賞を頂いたと聞き、驚きと同時に嬉しい気持ちでいっぱいになりました。17文字で伝えたいことを表現するのは難しかったです。でも、このような素敵な賞を受賞でき、姉はもちろん、家族の皆も喜んでくれました。いつもは姉の箸だけが残っていますが、帰省した時には家族皆の分が食卓に並びます。その嬉しさをこの作品に込めてみました。皆が揃うのは年に数回しかないのでもっと一緒にいる時間を大切にしたいと思います。
あたり前じゃないと知った震災後
熊本の大震災の後、熊本城を遠くから仰いだ。石垣も天守閣の瓦も、無残に崩れ落ちている。屋根から伸びる草が過ぎていく時間の経過を伝える。その上をカラスが二羽鳴き交う光景が自然の厳しさを伝える。東日本に続いての熊本での大震災。改めての地震国・日本。退屈と思えた昨日と今日の繰り返しが、掛けがえのない日常だと知ったのは震災後。貴重な一日がまた始まる。
2016年、熊本で震災がありました。どこかで他人事だと思っていたのに福岡でも安心して眠れない夜が続きました。私たちが毎日学校へ通い、家族と食卓を囲むことは、あたり前ではないということに気付かされました。また被災地では、避難所で小さな子どもたちが率先して動くなど、被災地ならではの、私たちの日常にはない姿が見られたそうです。
全日本川柳協会賞[特別賞]
友達と 日影を探して 帰る道
暑い、とにかく暑い。地球が沸騰しているようだ。日影という点を結べば曲線だとは分かっているが、それでもその点を選択しなければならないほどの暑さ。太陽から逃げてきた汗の体に日影の拵(こしら)えた風がやさしい。日影を選んだのにはもう一つの理由がある。友達に聞いてもらいたいこと、聞きたいこと。話すことがいっぱいあることが若さでもある。
受賞を聞いて驚きました。だけどとても嬉しく思います。この川柳は、夏休み、課外の帰り道を思い浮かべて作りました。友達と2人で 帰るときに「暑い!焼ける!」と話しているときです。影踏みのように、2人で少ない日影を探しながら帰る、楽しそうな様子が伝わる作品になっていたらいいなと思います。
西日本新聞社賞[特別賞]
ラムネびん 君とはじけた 甘い夏
背伸びせず、10代の等身大の感性で真っすぐに詠んだ青春句。読んだ瞬間、まぶしい太陽と真っ白な入道雲が目に浮かび、炭酸水のはじける音が聞こえてきた。どこまでも爽やかな句でありながら、レモンのような酸っぱさを感じたのはなぜだろう。それは「僕」と「君」が夏の終わりを予感していたからではないか。冒頭に持ってきた「ラムネびん」の言葉のセンスに脱帽。
この度は、このような素晴らしい賞を頂き、とても感激しています。この川柳は、夏の終わりに詠みました。甘く、刺激のある恋をした夏が、はかなく過ぎ去ってしまった様子を想像して詠みました。ここで詠まれている夏は、ラムネの泡のようにはじけて消えてしまいます。空っぽになったラムネびんを見つめて、楽しかった夏の思い出に浸っている様子を表現しました。びんの透明感には、青春を重ね合わせています。
入 賞
作 品 | 氏 名 | 高校 所在地 |
高校名 | 学 年 |
---|---|---|---|---|
見とれてる 浴衣の君と 夏の花 | 秋山 沙絵 | 埼玉県 | 県立草加東高等学校 | 2 |
勇気出し 君に伝える この想い | 浅井 暉一朗 | 愛知県 | 県立天白高等学校 | 1 |
太陽と 君の笑顔と 夏休み | 浅海 陽菜 | 兵庫県 | 県立姫路南高等学校 | 1 |
謝れない 父のお詫びの よもぎ餅 | 石原 菜月 | 愛知県 | 県立天白高等学校 | 3 |
いつからか 口喧嘩より 文字喧嘩 | 井手 あゆみ | 長崎県 | 長崎女子高等学校 | 2 |
的を射る 歓喜のあとに 汗の味 | 井上 仁 | 徳島県 | 阿南工業高等専門学校 | 1 |
暑い夏 消えゆく花火と 進路先 | 今永 愛 | 福岡県 | 福岡大学附属若葉高等学校 | 3 |
失敗は 芽が出る前の 下準備 | 岩佐 香桜里 | 福岡県 | 県立福岡講倫館高等学校 | 2 |
進路先 悩みに悩んで お嫁さん | 岩﨑 愛理 | 島根県 | 県立情報科学高等学校 | 3 |
通学路 覚えた景色 あとわずか | 氏原 宏樹 | 北海道 | 北海道旭川工業高等学校 | 3 |
セミがなく 受験生は ゼミでなく | 大里 夏海 | 福岡県 | 福岡大学附属若葉高等学校 | 2 |
総選挙 あらゆるチャンネル 総占拠 | 緒方 さくら | 福岡県 | 福岡大学附属若葉高等学校 | 3 |
ないときに 限ってやりたい 部活動 | 奥村 菜桜 | 愛知県 | 県立天白高等学校 | 1 |
電車内 昔はおしゃべり 今、スマホ | 甲斐 嶺二朗 | 大分県 | 県立別府翔青高等学校 | 1 |
あの人と 続く会話は ラインだけ | 加藤 優奈 | 愛知県 | 名古屋市立緑高等学校 | 1 |
夏休み はじまる前に 戻りたい | 金丸 理紗 | 福岡県 | 中村学園女子高等学校 | 3 |
引きたいな 「辛」そうな君に 「一」つの線 | 雁瀬 奈々夏 | 福岡県 | 福岡大学附属若葉高等学校 | 2 |
料理来て 秒でインスタ 「ゴハンなう」 | 北村 光 | 群馬県 | 高崎商科大学附属高等学校 | 3 |
初めての メイクを試み まいこはん | 栗栖 芽生 | 福岡県 | 福岡大学附属若葉高等学校 | 3 |
期限切れ 賞味か消費か 母は問う | 後藤 あいか | 福岡県 | 福岡大学附属大濠高等学校 | 2 |
折れかける 仲間のために 声かける | 酒井 辰巳 | 長崎県 | 創成館高等学校 | 3 |
旅に出る 自分の未来 決めるため | 佐藤 春凪子 | 大分県 | 県立別府翔青高等学校 | 1 |
夏休み 君に会えない 日々長し | 澁野 大直 | 徳島県 | 阿南工業高等専門学校 | 1 |
夏休み 海より川より ポケモンGO | 下村 真樹 | 長崎県 | 純心女子高等学校 | 3 |
ぼくたちは たびの途上に たっている | 鈴木 優太 | 群馬県 | 県立伊勢崎工業高等学校 | 2 |
エゴイズム 『こころ』で学んだ 恋の道 | 関 英恵 | 福岡県 | 福岡大学附属大濠高等学校 | 2 |
つらくても 未来の自分の ためならば | 滝澤 実勇児 | 東京都 | 足立学園高等学校 | 1 |
テスト後の 反省だけは 高得点 | 田中 結菜 | 福岡県 | 福岡大学附属若葉高等学校 | 2 |
笑い声 セミの声より 天高く | 辻郷 なつ | 長崎県 | 長崎女子高等学校 | 3 |
夏が来る 高校球児 モテ期くる | 中越 野々花 | 鹿児島県 | 樟南高等学校 | 1 |
つうしんぼ なくのは蝉か 弟か | 中村 有伽 | 愛知県 | 県立天白高等学校 | 3 |
絶望の 思考変えれば 希望論 | 西川 胡桃 | 大阪府 | 府立島本高等学校 | 1 |
知らないよ! 提出期限が 今日なんて | 播磨 未玖 | 愛知県 | 県立天白高等学校 | 1 |
ネット上 繋がってるけど あなた誰 | 日澤 真藍 | 青森県 | 千葉学園高等学校 | 3 |
君とぼく 二人の想いは 不等式 | 平木 那奈 | 福岡県 | 福岡大学附属大濠高等学校 | 1 |
寝不足は オリンピックを 言い訳に | 平原 千帆 | 長崎県 | 純心女子高等学校 | 3 |
懐しき 私の母校は 投票所 | 堀 瑞希 | 福岡県 | 福岡大学附属若葉高等学校 | 3 |
課題より 先に終わった 夏休み | 丸田 楓 | 長崎県 | 純心女子高等学校 | 3 |
朝起きて 今日は休日 夢だった | 鋒山 太地 | 京都府 | 府立朱雀高等学校 | 2 |
早生まれ 投票横から 見てるだけ | 宮永 沙季 | 京都府 | 大谷高等学校 | 3 |
夏休み 課外に部活 休みどこ | 山下 千晴 | 福岡県 | 福岡大学附属若葉高等学校 | 1 |
夏祭り 金魚のように 恋が逃げ | 山村 愛里咲 | 大分県 | 県立別府翔青高等学校 | 1 |
切りすぎた 前髪失恋 疑われ | 吉川 七海 | 福岡県 | 県立大川樟風高等学校 | 3 |
速報の SMAP解散に 騒ぐ母 | 𠮷田 和輝 | 愛知県 | 県立天白高等学校 | 1 |
皆の気持ち ホールに響く ハーモニー | 米光 日和 | 愛知県 | 県立天白高等学校 | 1 |
今年も家族や友だち、受験や部活、そして異性への思いをテーマとした川柳が数多く寄せられた。もちろん私たちを取り巻く情勢も。時代がどんなに変わろうとこれらもまた永遠のテーマでもある。
見とれてる 浴衣の君と 夏の花
いつも見慣れた運動靴と制服の君と初めての浴衣姿の君。素足が立てる下駄の音。髪をかき上げて見せたうなじの白さ。日本の着物文化も再発見。「夏の花」とはポンと上がった花火のこと。ドキドキの夏が過ぎていく。
ぼくたちは たびの途上に たっている
つらくても 未来の自分の ためならば
まるで人生を達観したご住職の説教を聞いているようで思わず頬が緩んだ。人生は遥かなる旅であり若い時の苦労は買ってでも、ということを川柳で表現した。
夏休み 海より川より ポケモンGO
電車内 昔はおしゃべり 今、スマホ
確かに静かになった電車内。年代を問わずあらゆる人が四角いものを指でなぞっている。これらの光景はもう宗教的儀式ではないか、と思うほど。一人ひとりの人間が申し合わせたように全体行動を、というのはどこか普通ではない。それぞれ、という多様性とおしゃべりが最も人間的だと思うのだが。
折れかける 仲間のために 声かける
川柳は人間や社会を詠む5・7・5の短詩だが川柳の良さは作品の出来よりそれを作る過程にある。白紙を前にして鉛筆を握り、家族や友のことを考えるそのひとときにある。よし、明日は勇気をもって声を掛けよう。彼と同じ痛みは私も経験した。
学校賞[特別賞]※入選作品の多かった高校を表彰
福岡県 福岡大学附属若葉高等学校
愛知県 県立天白高等学校
長崎県 純心女子高等学校
受賞の話を聞いた時は、正直信じられなかったです。「まさか自分が」と思いました。この句を思い付いたきっかけは、相手によってLINEを返す時間が違うな、ということに気付いた時です。ある人にはすぐに返す、でもある人のものは開かなかったりして。周りの人の話を聞くと結構同じような人がたくさんいることを知り、現代のSNS社会や人間関係を表しているなと思い、ちょっとした風刺を込めて句にしました。