福岡大学 学部ガイド2026 理学部
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2Check微分方程式●未来の状態が見える、遠くの様子がわかる。などなど……佐藤教授の卒業研究竹田教授の卒業研究153次方程式の解の公式コンピュータシミュレーションで解く理論的考察で解く 数学は大雑把に、代数学、幾何学、解析学の三つの領域に分かれますが、私のゼミで扱うのは代数学周辺の話題です。中学、高校の内容で言うと、一次方程式や二次方程式辺りが代数学の範疇に入っています。 それでは、大学に入学して、三次、四次、五次と、どんどん次数を上げていって、方程式を死ぬまで勉強するのか? なんだか単調でつまらなそうな世界だなぁ、と考えるかもしれませんが、そんなことはありません。 方程式が「解ける」ということをちゃんと考えると、三次方程式、四次方程式が二次方程式と同様に「解ける」ことが分かります。しかし、五次方程式はもはや一般には「解けない」ことも分かります。数学の世界は決して単調ではなく、不思議で面白いことがたくさんあることの一例です。この辺りの内容はガロア理論と言って、大学三年生あたりで勉強します。 卒業研究で扱うテーマは多岐に渡ります。楕円曲線、超越数、代数曲線、abc予想、ガロア理論・・・。一つテーマを選んでゼミをするわけですが、具体的には何をするかというと、通常の講義とは逆で、学生が教える側となって、毎回勉強したことを発表してもらいます。私(教員)は教わる側にまわって、無邪気に質問をぶつけていきます。数学の成績が良い、という事実は案外アテにならなくて、ゼミを通じて、初めて、「数学を理解している」ということがある程度判断出来る、と私は思っています。 物理学、化学、生物学、経済学など様々な分野の法則の多くは、数式で記述されます。その中でも、変化をする現象は、「微分方程式」という数学の言葉を用いて捉えることが往々にしてあります。 その微分方程式(として記述された法則)から解の性質を導出することが研究テーマです。解の形状が数学的にどのように記述できるのか、ということのみならず、そもそも考察している微分方程式に解はあるのか、ある場合、解は一つだけか、といった一見当たり前と思われるようなことも数学の様々な手法を用いて考察し、証明を行います。 卒業研究では、熱伝導や波動現象を記述する微分方程式の解の性質を詳細に調べることを中心に、大学で学ぶ数学の基礎を大事にして、微分方程式の解の性質を調べる手法も勉強していきます。微分方程式を解くと…方程式が「解けない」って・・・?卒業研究紹介

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