福岡大学 学部ガイド2026 医学部
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10医学科Q&Aどんな医師を目指して勉強するの? 豊かな人間性と高度な知識・技術を兼ね備えた医師を目指します。 医学・医療の進歩は目覚ましく、疾患の解析は分子レベルに進んでいます。病因遺伝子の発見や免疫獲得機序の解明など、画期的な発見が相次ぎ医療の先進性はますます加速し、医療の現場は歴史上、類を見ない長寿社会を実現するに至りました。その一方で、癌、エイズ(後天性免疫不全症候群)などの難病の発症機構の解明や治療法の確立など、課題が山積しています。 また、「臓器の移植に関する法律」や「臨床研究法」が実施されました。遺伝子の解析や精密医療が進んだことによる生命操作などの論議が衝撃的に報道され、医療は単に医学界に留まらず、法律・倫理など深く人間の根幹に関わる問題として探究されなければならない時代を迎えています。 本学科では、これからの時代の医師に不可欠な高い倫理観と豊かな人間性を育む教育を行います。QAどんなふうに勉強するの? 基礎医学、臨床医学、臨床実習を包括的に学びます。 医学知識はもとより、患者さん中心の医療の実践、信頼される人間関係を構築する能力、課題探求・解決能力、安全性への配慮が求められています。このような社会の要請に対して医学科では、“6年一貫教育”を導入し、基礎医学・臨床医学、臨床実習は、全て“らせん状”につながっています。基礎医学が終了して臨床医学を学ぶのではなく、統合された包括的な医学を学ぶのです。QAマッチングとは何ですか? 「医師免許取得後の臨床研修病院選考」のことです。 医師の臨床研修の義務化により、学生自らが指定されている病院の中から、卒後に臨床研修を受けたい病院を選び、在学中にそこの選考試験を受ける制度のことを、マッチングと言います。最終学年の夏頃までに、希望する病院の選考試験を受けるという点は、一般の就職活動と似ています。しかし、臨床研修は医師法による義務制度であり、就職が決まらずに臨床研修できない研修医が出ることは避けなければなりません。そこで全国の病院と学生の希望とを登録させ、コンピュータで一斉にマッチさせる仕組みになっています。2年間の臨床研修実績がないと臨床医にはなれません。QA共通教育と専門教育について教えてください。 医学部に入学後、1学年に行われる共通教育センターの教育では人間や文化の多様性を理解する哲学・文学・社会学など総合大学ならではの多彩な科目が準備されています。また、他学部生との共修により、幅広い思考や交友関係、情報の共有による学問のみならず人間的連帯感を育成します。医学科・看護学科・薬学部・スポーツ科学部と一緒に、健康や医療に関する多職種連携を目的とした学部横断的クラスもスタートしました。 急速に進歩しつつある医学の動向に対応して、医学科においても、看護学科においても、早期からそれぞれの専門性に合わせた科目が始まります。具体的な内容は、各学科の紹介を参照してください。QA取得できる資格や卒後の進路はどうなっていますか? 医学科の卒業試験は6学年に行われ、合格すると卒業でき、学士(医学)となります。学士の取得が医師国家試験の受験資格となります。また医学を履修する大学院の博士課程(4年制の博士課程)へ進学可能です。 医師国家試験は毎年2月に行われ、3月中旬に合格が発表され、その後医師免許が交付されます。臨床に携わる医師は、医師免許取得後、それぞれ大学病院等の研修指定病院において内科、外科、麻酔科、産婦人科、小児科、精神科、地域医療などの主要分野について2年間の臨床研修(初期)を受け、医師として必要な基本的で最低限の技能を学ぶことが義務付けられています。 研修医修了後、専門医制度に則り専門性の高い領域での研修に取り組んだり、研究に取り組むことになります。QA三つの大学病院があると聞きましたが?Q 本学は、福岡大学病院、福岡大学筑紫病院、福岡大学西新病院という三つの大学病院を擁し、多数の教授陣・専門医による充実した学生教育が行われており、恵まれた卒後研修の場を有しています。福岡大学病院は医学部に隣接し、特定機能病院として人に「あたたかい医療」を提供する役割を担っています。また、2024年5月には、福岡大学病院新本館が開院しました。福岡大学筑紫病院は筑紫野市にあり、地域に密着した救急医療などを通して質の高い医療と情報の提供に努め、地域医療を支援する役割を担っています。福岡大学西新病院は市内早良区に位置する福岡市医師会成人病センターを譲受し、2018年4月に開院しました。 これら三つの病院は、医学科のみならず、看護学科、薬学部学生の病院実習の場としても大きな役割を担っています。A少人数教育とは何ですか? 研究室配属、テュートリアル教育、クリニカルクラークシップなどがあります。研究室配属 1学年、2学年の学生が約10人程度のグループに分かれて、2〜4週間単位で基礎系・臨床系の研究室をローテートします。各研究室の教員との交流を通して、医学部での学習や学生生活の問題に対するケア、支援、研究マインドの涵養を行うことを目的としています。テュートリアル教育 1学年から基礎医学の全体講義・実習が始まりますが、これと並行して、2学年にはテュートリアルと呼ばれる少人数教育が行われます。このカリキュラムでは、学生が、教員(テューター)の指導の下、グループ討論と自己学習によって現実の事例や症例の課題を解決しながら、学習を進めていきます。学生が自発的に知識を体系化し、問題解決能力を身に付けていくことを目指しています。クリニカルクラークシップ 臨床医学の学習では、学生が臨床現場を見学するだけでは不十分であり、実際の診療に携わることが不可欠です。そのために臨床実習を開始してもよい知識と最小限必要な技術があるかどうか客観的臨床能力試験(OSCE=Objective Structured Clinical Examination)で評価します。クリニカルクラークシップⅠおよびⅡでは、病院の各科を約58週にわたり1〜4週間単位で回って行き、実際に患者さんと接しながら、学生医師として『診療参加型臨床実習(クリニカルクラークシップ)』により、臨床を具体的に学びます。学生は診療チームの一員として、患者さんの診療に参加し、診断・治療計画の策定、カルテヘの記載、医療スタッフヘの情報の伝達などを行います。個々の学生の態度・技能・知識の到達度に合わせてチーム内での役割を与え、能力が向上すればより進んだ役割へ移行します。さらに卒業前(6学年)に、修得した臨床技能は臨床実習後OSCE(Post CC-OSCE)で評価されます。QA医師になるための資格試験とは何ですか? 共用試験と医師国家試験です。共用試験 医学生が診療チームの一員として学習を続けるためには、医師として求められる必要不可欠な態度・技能・知識および問題解決能力が身に付いていることを、患者さんと社会に示す必要があります。臨床実習開始前までに医学生が習得しておくべき基本的態度・技能・知識が明示された「医学教育モデル・コア・カリキュラム:教育内容ガイドライン」に準拠して、臨床実習開始前の段階で医学生を評価するのが共用試験です。令和5年4月から「医学生共用試験」として、全国統一基準で合否の判定が行われています。前述したOSCEとCBTですが、4学年後半に受験します。当然、各科の試験に合格する必要があります。6学年のPCC-OSCEも共用試験です。公益財団法人 医療系大学間共用試験実施評価機構(CATO)や他大学の教員が外部委員として評価します。医師国家試験 医師として第一歩を踏み出すに際し、卒業後に具有すべき医学および公衆衛生に関する知識・技能について試験を受けます。将来、医学・医療を自主的に学び続ける能力を判断するものであり、自分自身の力で超えなければならない関門です。このことを少しでも早く自覚して計画的に学習を進めることが重要です。福岡大学医学部生の第119回医師国家試験合格率は、新卒94.6%(受験者数92人、合格者数87人)となっています。卒業と同時に取得すべき資格です。QA

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