福岡大学 学部ガイド2026 人文学部
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50 「『木を見て森を見ず』とはならないように」――私が学生時代、日韓・日朝関係を学ぶ際に指導教員から言われたことです。日韓・日朝間の問題に対しては、つい感情的になったり、問題の歴史や背景を見ずに考えてしまいがちです。それでは問題の本質は見えてきません。日韓・日朝間の問題に限らず、何事においても「森」全体を見ることを心がけてみてください。それから、どんな事でもいいので大学在学中に打ち込めることを見つけてください。それはきっと大学卒業後も大きな心の支えとなるはずです。安藤 純子 教授あんどう じゅんこ「日韓・日朝関係」専門分野伊伏 啓子 准教授いぶし  けいこ 私の専門は中国語学です。特に、近代の中国語の語彙や語法の変化について、当時中国にやってきたキリスト教の宣教師や西洋で中国研究を行っていた中国学者の資料を用いて研究しています。大学時代に中国語と出合い、中国や台湾の留学生と友情を深めながら、楽しく学んできました。その後、思いがけず中国語を通して欧米にも広く繋がりを持てるようになり、現在に至っております。失敗を重ねながら、中国語でコミュニケーションを取る楽しさをぜひ皆さん一緒に味わいましょう。「中国語学」 「東西言語文化交流」専門分野大澤 武司 教授おおさわ たけし 私は中国近現代史、中でも戦後日中関係を専門としています。中国が「大国化」する中、日本は中国と政治・経済・文化・安全保障など、さまざまな領域において「双赢」(ウィン・ウィン)の関係を築いていかなければなりません。そのためには相手と自分たちの間のこれまでの関係(歴史)を知ることが大前提となります。現在と将来の日中関係を客観的に分析する力をつけるため、歴史という視角から中国を学び、一緒に中国理解を深めていきましょう。「中国近現代史」 「日中関係」専門分野緒方 義広 准教授おがた よしひろ 現地に長く住み、韓国社会や日韓関係について身をもって学び、考えてきました。専攻は政治学ですが、韓国社会や日韓関係を考えるのにその歴史的・文化的背景を理解することの重要性を感じています。私にとって、大学時代の韓国留学は人生のターニングポイントになりました。日韓をめぐるさまざまな話題、問題について、皆さんと一緒に考え学び、大学での時間が、皆さんのこれからに重要な意味をなすよう応援していきます。「日韓関係」 「現代韓国社会」専門分野何 憶鴿 講師 か  おく こう専門は中国近現代文学です。近年はジェンダーの視点から1980年代、1990年代の文学を研究しています。特に関心を持っているのは1990年代末に一大ブームを巻き起こした「小資(プチブル)文学」と呼ばれる作品群とそれをめぐる一連の文化現象です。中国近現代文学は読みにくそう、身近ではないと思っている人が多いかもしれませんが、現代都会を舞台とする「小資文学」においては、現代に生きる我々が共通して抱えている葛藤が描き出されていると思います。中国現代文学・文化研究の入り口として、「小資文学」に触れてみてはいかがでしょうか。「中国近現代文学」専門分野謝 平 教授しゃ へい 大学時代は文学が大好きでしたが、日本語を勉強し始めてから母語である中国語の特徴や仕組みについて深く研究しようと思うようになりました。今は現代中国語の語順について調べております。世界人口の5分の1もの人々が中国語を使っています。多くの方とコミュニケーションをとれるように、是非中国語を楽しみながら勉強しましょう。「中国語学」 「中国語教育学」「日中対照言語学」専門分野新里 喜宣 准教授しんざと よしのぶ 私が韓国語に関心を持ったのは日韓ワールドカップ(2002年)からであり、現在の専門である韓国の宗教文化への関心は、大学でのゼミが大きな契機となりました。ある意味ではいろいろな偶然が重なっていまの私がありますが、それらは私にとって、とても貴重な「偶然」でした。皆さんも大学生活で色々なことを経験し、その中で人生の宝物となる「偶然」に遭遇してもらいたいと思います。「韓国宗教文化」 「宗教学」専門分野朱 炫姝 准教授じゅ ひょんじゅ 実践的な言語運用能力を高める教育方法を探求し、ICTを活用した教授法や実践活動に取り組んでいます。また、場面や状況、相手によって表現がどのように変化するのかについても研究しています。例えば、日本では「肉まん」と「豚まん」の呼び方が地域によって異なるように、韓国語でも「ジャガイモ(감자)」と「さつまいも(고구마)」の呼称が地方によって逆になることがあります。こうした違いの背景には文化的な要因があり、言語を学ぶことで、その国の文化や独自の考え方、コミュニケーションの特徴を理解できると考えています。学ぶことは、新しい世界を広げる第一歩です。焦らず、自分のペースで挑戦を続けてください。皆さんの未来が明るく輝くことを願っています。「韓国語教育」 「認知語用論」専門分野尹 秀美 准教授ゆん すぅみ 大学で初めて日本語を学び、私が一番好きになった言葉は「どうぞ」です。依頼、祈願や承諾などいろいろな場面で使われますが、私は相手に何かを勧めたり、頼みごとを承諾したりする時の「どうぞ」が好きです。この「どうぞ」には、短い言葉で人を思いやる日本人の心が象徴的に表れているように見えます。大学の4年間、韓国や中国の好きな言葉と、その言葉に隠れているものをたくさん見つけてください。「社会言語学」 「日韓対照言語学」専門分野柳 忠熙 准教授りゅう ちゅんひ 私の専門は韓国・朝鮮の文学と思想です。特に、近代東アジアにおける知識人と社会の変化を考えながら、韓国・朝鮮の知識人の思想と文化について研究しています。皆さんは大学で何を学びたいのでしょうか。皆さんの多くは、大学での生活を、就職など、将来を準備することとして想像しているかもしれません。ところが、大学は、皆さんの将来の準備をするところであると同時に、皆さんが人々と共に生きていく教養を学び、社会を見る自分なりの観点を育てるところでもあります。この文章を読んでいるあなた、東アジアの文化・歴史・言語という視点から世界を考える教養と観点を、一緒に学んで育ててみませんか。「韓国・朝鮮文学・思想」専門分野東アジア地域言語学科に所属している教員をご紹介いたします。教員・研究の紹介東アジア地域言語学科※2025年4月1日現在

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