福岡大学 学部ガイド2026 人文学部
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19古代語日本語学衣畑 智秀 教授 日本語の文法史を研究しています。特に関心のあるテーマは、「係り結び」や疑問文の歴史です。係り結びはどのように成立し消滅したのか、係り結びの消滅は、日本語の文法にどのような影響を与えたのか。その影響関係は、現在も係り結びが使われる琉球諸語で、どのような形で表れているのか。授業では、係り結びが活発に使われていた上代・中古を中心に、必要があればその後の歴史も含めて学んでいきます。[ 衣畑ゼミの卒業論文 ]・ 動詞「ことわる」の歴史的変遷について・ さげすみの副助詞「なんか」の歴史的変遷・ 動詞「過ぐ」の歴史的変遷・ 中古和文における助動詞の研究 〜「めりき」「けるなめり」・ 上代における「日」についての考察 ―一音節語ヒ・フ・カ・ケの意味分析―教員からのメッセージ現代語日本語学江口 正 教授 現代日本語関係の科目と、日本語教員養成科目を担当します。普段言葉を使うときにはいちいち文法は気にしませんが、言葉の使い方を少し真面目に考えると、不思議なところが出てきます。そういう謎を見つけ、解いていくのが私の目標です。いつも自分が使う言葉の中に、誰にも見つけられたことのない「謎」が潜んでいるのが分かった時はとてもわくわくするのですが、その感じを共有できるように一緒に学んでいきたいと思います。[ 江口ゼミの卒業論文 ]・ 「文字を書く」ことの言語化について・ 感動詞研究 談話管理理論から見た「あーね」論・ 出雲方言の文法―文末の「ニ」・ 文末名詞「形」 〜新聞記事における「形」の機能〜・ 動詞に後接する「ばかり」の研究・ 形式名詞「甲斐」の意味・機能について古典文学(中世)日本文学大坪 亮介 准教授 中世文学、特に南北朝動乱を描いた軍記物語『太平記』を主たる研究対象としてきました。およそ六十年にもわたって朝廷が分裂し、全国規模で戦いが繰り広げられた混沌の時代を、当時の人々はいかに理解し、いかに叙述しようとしたのか。また、『太平記』はいかなる時代的背景によって、いかに変化していったのか。こうした点に興味を持っています。[ 大坪ゼミの卒業論文 ]・和歌からうかがえる七夕・ 『とはずがたり』における作者後深草院二条と父雅忠・ 『平家物語』の諸本における重盛と維盛古典文学(近世)日本文学大関 綾 講師 近世文学、特に幕末の長編合巻という絵入小説を研究しています。当時の人々が作品をいかに受容し、物語がいかに長編化したかについて、文化的背景や「嗣作」という作法をもとに分析しています。長編合巻は古典作品を随所に取り込んでいるため、ジャンルを問わず多くの作品を一緒に学んでいきたいと思います。また最近のポップカルチャーは幕末のものと類似点があると考えています。自身の問題関心に引きつけ、古典文学に親しみましょう。※2025年4月1日現在古典文学(中古)須藤 圭 准教授 源氏物語をはじめとした、平安時代に成立した中古文学を研究しています。これらの中古文学は、抜群に面白いストーリーやキャラクターを持つことはもちろん、現代においても、絵画、芸能、映画、漫画、アニメ、舞台など、さまざまな作品に影響を与えています。およそ1000年前に書かれた中古文学を、いま、私たちが読むことの価値は、どこにあるか。このことを考えながら、文学が持つ想像力と可能性を問いなおしたいと思っています。[ 須藤ゼミの卒業論文 ]・ 高畑勲『かぐや姫の物語』論・『源氏物語』における色彩表現と機能・『とりかへばや物語』における女君の容姿と表現・王朝物語における冒頭表現の方法と史的展開・八代集恋部における「月」の表現比較文学

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