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20241224
スポーツ

【特別企画】剣道部(女子)の選手に日本一になることができた"ワケ"を聞きました

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今年度行われた「第43回全日本女子学生剣道優勝大会」(愛知県春日井市総合体育館)で、福岡大学剣道部(女子)は初めて悲願の日本一となりました。登録メンバー7人に喜びの声と日本一になることができた“ワケ”を聞きました。
 

優勝メンバー(※)

大会を振り返る選手たち

※メンバーの紹介
(2列目左から)大嶋妃奈さん(商学部3年次生)、浦彩千穂さん(同2年次生)、香野伶奈さん(スポーツ科学部1年次生)、堀遥菜さん(商学部1年次生)
(1列目左から)吉良さくらさん(スポーツ科学部4年次生)、石井舞優さん(主将:同)、河野百響さん(新主将:同3年次生)

本大会は5人制のトーナメントで行われ、1人5分3本勝負で勝敗が決しない場合は引き分け、最終的に勝利数が多いチームが勝利となります。勝利数が同数の場合は代表者による5分1本勝負が行われ、本学は決勝戦で筑波大学と代表決定戦までもつれ込んだものの、河野選手が代表決定戦で勝利し、初優勝を飾りました。


―全日本学生女子剣道大会の初優勝、おめでとうございます。実感が湧いてきましたか?

全員:やっと徐々に湧いています。

―優勝が決まった時は、皆さんどのような様子だったのでしょうか?


河野:石井先輩がすごく泣いていました。


吉良:みんなフワフワしていましたね。

全員:してた、してた! あ〜勝った〜みたいな。


河野:私は決勝の5人で決着がつかず、その後の代表戦に代表として出場しました。勝った瞬間はびっくりしたような気持ちで、その後もずっと笑っていました。

―九州大会は2位。そこから全国に向けて、どのような目標を立てて臨みましたか?


石井:福岡大学女子剣道部は、38年前を最後に、ずっとベスト4に入れていませんでした。でも、全国大会の組み合わせが出た時に、今年はチャンスがあると感じて。先輩たちが行ったことのないところに行こうと「ベスト4」の目標を立てました。

―九州大会から全国大会までの1ヶ月は、順調でしたか?


石井:なかなか苦しいというか、(気持ちが)落ちかけた時もありました。


吉良:試合に向けて気持ちをつくれていない人がいたりして、気持ちの部分で一つになれていないような状態でしたね。正直に言うと、チームワークがあまり良くない状態からのスタートでした。


大嶋:毎年、それを解決できずに試合となってしまっていたのですが、今年は違いました。


香野:私は、今年からメンバーになったのですが、どこかでこういう雰囲気になる予感はありました。ただ、振り返ってみれば、乗り越えられる人にしかそういう試練も来なかったんだろうなと思いました。

―まとまりのない状態から全国優勝へ。どのように立て直したのでしょうか?


石井:福岡大学剣道部OBの岩城規彦先生に、選手を中心としたミーティングをしていただき、「お互いを認め合うことが足りていないこと」に気付かされました。それからはチーム18人全員で、一人一人の良いところ探しをしようということで、紙に3つずつ良いところを書き出すような取り組みをしました。書くことで、欠けていい人なんていないこと、全員揃ってこそのチームだということを実感し、徐々に一つになれたと思います。

―下級生の皆さんは先輩たちを見てどのように思っていましたか?


浦:新チームになってから、先輩方が後輩やチームのために動いてくれているのを知っていたので、この先輩たちに付いていこうという気持ちでした。


香野:日本一を目指して福岡大学に入学し、自分で強い大学を倒したいという思いでやってきていたので、そのために練習するだけだと思っていました。


堀:先輩が試合の2週間前から行動計画表を作ってくださいました。それまで経験したことがない取り組みだったので、上を目指している意思を感じ、先輩たちに付いていきたいなと思いました。

―先輩が新たな取り組みとして準備した行動計画表とは?


石井:大会当日までを逆算して考えて、今日何をしないといけないのかをボードに書き出したものです。それを全員で共有することで、日々の目標ややるべきことを明確にし、全員が理解した上で稽古に取り組むことができます。もう一つ、試合当日の行動計画表を主務でもある吉良がつくってくれました。新幹線に乗る時間、会場入りする時間などのタイムスケジュールに加え、会場図なども入れてくれて、これほど手の凝ったものを見たことがないぐらいの内容でした。お陰で、時間に余裕を持って動くことができました。


浦:私も主将や先生に言われて動く前に、自分が理解しておくことができるから行動しやすかったです。


吉良:試合のイメージを持って臨むことが大事かなと思って。みんなが当日をイメージしやすいようにと思って細かく作りました。


大嶋:例年、大会は1日で終わるのですが、今回は2日間ありました。どういうスケジュールになるのか不安でしたし、会場の入り時間や順番もこれまでと全然違ったので、本当に行動計画表があったからこそ落ち着いて、みんながしっかり行動できたのかなと思います。

―全国大会はトーナメント戦による勝負でした。3回戦以降はかなり接戦が続きましたね。


石井:準々決勝の日体大戦は、河野がキーマンになりました。


河野:日体大の大将は小学生の頃から戦ったことがある選手で、特長を分かっていました。それに、積極的にしかける場面の方が得意なので、チャンスはあると思って挑みました。
 

―その試合に勝って、目標としていた「ベスト4」が決まりました。


石井:「本当に準決勝まで行けた」という驚きが一番でした。会場の方たちも、自分たちがその先勝つとは予想していなかったと思います。それぐらい、「ベスト4」に残っているのは強豪校ばかりだったので、私たちも開き直って、「ここで勝ったら面白いよね」って感じでした。


浦:準決勝までこれたことが嬉しかったので、その結果でも良いなと思っていました。


香野:優勝が目標でしたが、本当に勝ち上がれると思っていなかったというのが正直な気持ちです。


石井:大会出発の前日のミーティングで、香野が「憧れるのをやめましょう」と話をしてくれたんです。


香野:私は優勝したかったので、優勝を目指すなら憧れは捨てないといけないかなと思って。みんなの話を聞いていて、ふっと大谷翔平選手の言葉が思い浮かびました。


石井:「福大で優勝なんて……」と少し思っていたところがあったので、優勝と言い切れずにいたのですが、1年次生に言われたら目指すしかないって。そこで気合が入りました。準決勝からは、みんなを信じて、憧れるのを止めて楽しみました。

―そして、ついに決勝戦まで進みました。


大嶋:準決勝戦から決勝戦の間は15分しかないのですが、みんないつもとおりのマイペースでした。私も緊張しませんでした。


河野:決勝で対戦した筑波大学は、高校時代に結果を残している選手が集まっている大学だったので、会場の人も絶対、筑波が勝つだろうと思っていたと思います。挑戦者の気持ちで戦えたのが良かったと思います。

―先鋒の浦さんからどんな気持ちだったか教えてください。


浦:私は相手が格上だったので、挑戦者という気持ちで「当たって砕けろ」という感じで戦いました。


石井:浦が面を決めてくれて、私に繋いでくれました。それも本当に思い切りのいいすごい技でした。それを見て、自分も少しはやってやろうという気持ちになりました。それと、みんなと本当に1秒でも長く試合がしたいという思いでした。


大嶋:中堅の相手は、この大会ですごく結果を出している選手でした。浦の勢いや石井先輩の執念を感じる試合を見て、2本負けはさすがに石井先輩に顔向けできない。そんなことを考えながら1本取られてしまったのですが、不思議と後ろ(副将以降)が何かやってくれるような感じがして安心して見ていられました。筑波は中堅の調子が良かったのですが、福大は大将が勢いに乗っていたので、チャンスはあるはずだと思っていました。


香野:本当に、調子が良い先輩がいたので、自分もここで勝てなくても何故か勝つ気がしていました。


大嶋:河野とは3年間一緒にやってきて、ずっと前後で見てきたんですが、顔が怖い日は本当に不安なんです。でも、この日はどう見ても違っていました。周りから見たら、勝負前とは思えないような、”ホワン”とした感じなんですが、それが良い方向に回っているというのは感じていました。表情が堅い時はあまり手数を発揮できないので、今回はリラックスした一面も出ていたからこそ、私たちも安心して前で試合ができました。

続きは第2回でお伝えします。

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