福岡大学では、学外研究機関に在籍し、所定の資格を有する研究者が本学の教育職員とともに研究に従事する研究員を受け入れています。
2025年4月からスポーツ科学部に研究員として在籍し、剣道を哲学の分野から研究しているハイド・バイロンさん(イギリス出身)に剣道の魅力などについて、話を聞きました。
- プロフィール

名前:Byron Hyde (バイロン・ハイド)さん
出身:イギリス
ブリストル大学(イギリス)の大学院生であり、バンガー大学(イギリス)の名誉研究員。
研究分野は哲学(特に科学哲学)。長年にわたり日本哲学や日本文化に関心があり、近年では特に剣道文化に興味を持っています。
2025年4月から7月まで本学スポーツ科学部で研究員として研究に従事。
ー福岡大学に研究員として来日したきっかけを教えてください
私は、長年にわたり日本で剣道を学びたいと考えていました。日本における剣道の質は西洋と比べるとはるかに高く、日本では中学や高校の正式な教育課程の一部や剣道を専攻できる大学もあります。私自身、剣道に深く打ち込んでいる者として、日本の剣道が持つ純粋さを体験し、西洋との違いを理解するとともに、この技術や知識をイギリスへ持ち帰りたいと思い来日しました。
研究員として来日できたのは、福岡大学で2024年に参加した国際東洋哲学学会がきっかけでした。せっかく日本に来日する機会を得たので、剣道の稽古を受けたいと思い、スポーツ科学部の川中健太郎教授(剣道部部長)に連絡したところ、稽古を引き受けてくださいました。稽古を受けて、もう少し滞在して剣道を学びたい考えていた時、研究員として受け入れていただくことになりました。
ー剣道を始めたきっかけを教えてください
哲学者として、剣道に内包される深い精神性や哲学的な要素に強く惹かれたからです。剣道は、フェンシングや他の西洋のスポーツのように、単純に相手を素早く打つことだけを目的としたスポーツではなく、礼儀や強い精神、そして人格的な修養といった、より豊かな哲学を備えています。
防具を身に着け、妻と毎日一緒に稽古ができることも続けている一つの理由になっています。


ー今後の目標を教えてください
イギリスで剣道リサーチセンターを設立しようと考えています。学術関係者と実践者をつなげること、日本人と外国人の交流を深めることが本センター設立の主な理由の一つです。イギリスでは剣道はマイナースポーツでそれほど認知されていません。日本以外の場所でもっと剣道を広めたいという思いもあります。また、剣道の稽古方法や「一本」や「有効打突」といった剣道特有の概念を分析することによって、日本社会や文化、そして日本発祥の武道を国内外で実践できる貴重な機会を作りたいと思っています。
ーハイドさんにとって剣道とは
難しい質問でまだ答えは模索中ですが、スポーツ科学部の神田智浩講師(剣道部監督)は、「剣道家を育てているのではなく、人として良い人間になることを教えているのであって、剣道はあくまでその手段に過ぎない」とおっしゃっていました。私が剣道を続ける理由も、まさにそこにあるのだと思います。剣道は私が優しく、そして強い人間へと成長していくための手段なのだと感じています。
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関連リンク
スポーツ科学部ウェブサイト