福岡大学工学部電子情報工学科の小野晋太郎准教授は知能化移動体や交通環境理解のための画像情報技術を専門としています。
大学院工学研究科小野准教授研究室の國信綾斗さん(2025年修了)と結城光太郞さん(1年次生)が、「ITSシンポジウム」と「情報処理学会※」で発表し、それぞれ受賞しました。受賞した國信さんと結城さんに研究内容など話を聞きました。
※情報処理学会は、情報科学・情報技術に特化した日本最大級の学術団体です。アルゴリズム、ソフトウェア、人工知能、ヒューマンインタフェースなど、情報処理に関する研究分野を横断的にカバーしています。また、学校における情報教育の支援や、情報社会の課題に関する提言などを通じて、情報社会の健全な発展を支えています。

國信さんと小野先生
國信 綾斗さん
【表彰内容】
・ベストポスター賞 (第22回ITSシンポジウム2024)
・優秀発表賞 (情報処理学会 高度交通システムとスマートコミュニティ(ITS)研究会)
【論文タイトル】
「実映像ドライビングシミュレータにおけるNeRFの活用と視野特性に基づいた高速化の検討」/「運転者の視野特性を考慮した実映像ドライビングシミュレータのためのNeRFレンダリング処理高速化の実現」
【研究と発表内容】
実際に撮影した映像を使ってドライビングシミュレータの運転画面を作る研究をしています。プレイバックや速度の変更だけであれば簡単に実現できますが、車線変更、つまり視点をずらして再現するためには工夫が必要になります。NeRF と呼ばれる技術を使えば、機械学習によってある程度自由な視点を推定して再現できることが知られていますが、処理に時間がかかる点が問題でした。
本研究では、人間の視野特性に着目して画像の周辺部では処理を簡略化し、GPUによる並列化を行うことで、元の手法よりも大幅に高速化し、リアルタイム処理にまで近づけることができました。

結城さん
結城 光太郞さん
【表彰内容】
奨励賞(情報処理学会 九州支部)
【論文タイトル】
「超解像を用いた道路反射鏡画像からの車両検出の検証と評価」
【研究と発表内容】
死角の危険を予知するため、車載カメラで撮影したカーブミラーの中に写った車両を検出する研究です。本研究では、機械学習により画像を拡大・精細化することで、小さな画像から検出する際の確実性が向上することを検証しました。既存技術の組み合わせではありますが、プレゼンテーションの評価が高かったことが受賞に繋がりました。
【関連リンク】
・工学部ウェブサイト
・工学研究科ウェブサイト