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2024216
研究

医学部古賀隆之研究員らの研究チームの研究成果がスイスの学術雑誌『Nanomaterials』オンライン版に掲載されました

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福岡大学医学部の古賀隆之研究員(脳神経外科学講座)をはじめとする研究チームは、脊髄からの経路を通じて、頭部の中枢神経系組織に高い効率で遺伝子を送り届ける新たな方法を発見しました。この新技術では、直径1μm未満という極めて微細な気泡であるナノバブル(別名ウルトラファインバブル)と周波数の低い超音波を用います。髪の毛の約200分の1程度の大きさしかない、この小さなナノバブルは超音波が当たると破裂して、細胞の表面に小さな孔を開け、内部に遺伝子を届けることができます。

さらに、この研究では、東京医科歯科大学 生体材料工学研究所の位髙啓史教授(生命機能医学分野)の研究チームの支援を受けて、新たな遺伝子治療薬として期待されるメッセンジャーRNA(mRNA)を神経系の細胞に送達できることも明らかにしました。これらの成果により高齢化社会における認知症や脳腫瘍などの中枢神経疾患の治療に新たな道が開かれる可能性があります。

本研究成果は今般、1月30日(火)付けでスイスの学術雑誌『Nanomaterials』オンライン版に掲載されました。研究内容の詳細は、こちらからご覧ください。

古賀研究員は脳神経外科を専門とする医師でありながら本学医学研究科の大学院生でもあります。本学医学部の立花克郎教授(解剖学講座)、貴田浩志准教授(同講座)、安部洋教授(脳神経外科学講座)と研究チームを組み、新たな方法がないか研究を進めてきました。古賀研究員に話を聞きました。


  • 研究成果のポイント
    ・ナノバブル(直径1μm未満の気泡)と超音波を使ってマウスの頭部の中枢神経に安全に遺伝子を送り届ける方法を開発した。
    ・これまで謎に包まれていたナノバブルの超音波に対する物理的な性質の一部を明らかにした。
    ・新規の治療薬として期待されるメッセンジャーRNAを神経系細胞にナノバブルと超音波で送り届けることに成功した。
  • 今回の研究で苦労したこと
    大学院に入学する前まで基礎研究を行った経験はありませんでした。器具の名前や使用方法、専門用語など分からないことが多く、右往左往し、ある程度理解するまでに時間がかかり大変でした。しかし、解剖学講座の立花教授や貴田准教授の手厚いサポートやご指導のおかげで、研究結果を発表することができ、大変感謝しています。
  • 今後の目標
    現在の研究をさらに発展させ、悪性脳腫瘍や変性脱髄疾患に対する新たな治療法や薬剤の創出を目指していきたいと思っています。

医師と大学院生の二足の草鞋を履く古賀研究員

実験中の貴田准教授、古賀研究員、立花教授