FUKUDAism(フクダイズム)

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2023424
教育
研究
産学官連携

太宰府の梅分析調査研究報告会が行われました

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福岡大学商学部シチズンサイエンス研究センター*と薬学部、太宰府市、福岡農業高校は、太宰府市が取り組む「令和発祥の都太宰府『梅』プロジェクト」の一環で、太宰府産の梅の成分に関する共同研究を進めてきました。これは、太宰府の梅のブランド価値向上を図りたい太宰府市の楠田大蔵市長の発案から、太宰府市のシンボルである「梅」のエキスに含まれる機能性成分の分析方法の確立や存在の確認などについて検討するものです。

*シチズンサイエンスとは、市民参加型の研究のこと。市民が研究者のもとでデータを収集したり、市民自らが研究課題を設定して研究者がサポートしたりすることもある。

研究に携わった本学薬学部生は、『研究に参加したことで、やりがいのある充実した日々になりました。研究開始当初は上手くいきませんでしたが「何とか成功させたい」という気持ちで取り組み、実試料を分析できる方法論を立ち上げることができました。また、この研究を通して、思考力や積極性、探求心、向上心を磨くことができました。ここで得た経験を生かし、日々の自己研鑽を積み重ね、立派な薬剤師になりたいと思います』と話します。

3月30日(木)には、太宰府市で本研究報告会が行われ、各関係者ご参加のもと「梅の成分分析方法・成果」「梅プロジェクトの今後について」などが報告されました。本学からは、全体のマネジメントを行った同センター長の商学部森田泰暢准教授と成分分析等を行った薬学部の吉田秀幸教授が参加しました。


吉田教授から梅の成分分析方法・成果の説明があり、「福岡農業高校梅研究班のメンバーが梅の実から梅肉エキスを作り、その分析を大学で行うことで新たな発見が生まれました。得られた科学的知見については、学会や論文等で発表していきたい。また、どのような作り方をすると、梅肉エキスのムメフラール成分がどのくらい増えるかなど、梅研究班の皆さんとの間で今後も研究を続けていただければと思います」と話しました。

また、森田センター長は、「梅に関する研究をすることで、太宰府の歴史を知るだけではなく、太宰府の文化が強まっていく一助になれたのなら幸いです。研究者と非研究者が共同研究を行うことは、研究者だけでは思いつかないアイデアにたどり着くことができ、化学反応が起こります。この発見が国際的な成果に発展することもあります。市や薬学部生が研究に携わり、福岡農業高校梅研究班の皆さんと連携することは、教育研究機会を設け、地域の課題を解決するということ。自治体・大学・市民が連携し合う取り組みを今後も続けていきたいです」と話しました。
 

吉田教授が成分分析の成果について説明

森田センター長から梅の成分分析の成果の可能性について発表

【梅の成分分析の方法】

梅の果汁を煮詰めることで作られる「梅肉エキス」を薄めてろ過し、これに化学的な目印を付けた後でムメフラールを定量分析する

【梅の成分分析の成果】

・梅肉エキス成分「ムメフラール**」を高感度かつ高選択的に定量する方法を新たに開発した
・従来法より、前処理操作を簡略化できた
・実試料中のムメフラール分析に適用し、実用性を実証できた
・ムメフラール含有量の差異が、梅産地の違いによるものなのか、さらなる検証が必要である

**ムメフラールとは、従来の研究結果から殺菌作用や整腸作用、血流改善効果があるとされている梅肉エキスに含まれる成分のこと。

成分分析の詳細はこちらをご覧ください。


さらに、歴史学や観光学がご専門で、森田センター長と福岡よか未来プロジェクトで共同研究されている日本経済大学の竹川克幸教授もパネラーとして登壇し、「太宰府市は1300年以上歴史のある町。市章デザインにも梅が使用されています。『梅』は太宰府にとって単なる産物ではなく、「令和」や太宰府天満宮にもゆかりがある歴史。文化資源です。地域の歴史や文化を生かした商品開発はとても素晴らしいことだと感じています」と話がありました。福岡農業高校の梅研究班の皆さんからも「さまざまな企業とのコラボ商品の開発を進めるべく、今後も研究に力を入れたいです」と今後の抱負を話していただきました。
 

楠田太宰府市長からご挨拶

(左から)福岡農業高校月俣校長と梅研究班、楠田市長、
吉田教授、森田センター長

報告会を通して、楠田市長から「今回は市のシンボルであり、県花でもある太宰府の梅の特性を調査しました。皆さんのご苦労もあり、想像以上の成果を収めることができました。福岡農業高校梅研究班の皆さんにも高校生のうちからこのようなプロジェクトに関わっていただいて、未来を担う子どもたちのためになるように市としても頑張っていきたい。企業の皆さんも刺激になっていると思いますし、市民・高校・大学と地域連携、産学官連携ができれば、今後の発展にもつながると思います。福岡大学の先生方にも分析を担当していただき、大変感謝しております。引き続きプロジェクトを進めていきたいと思います」とあいさつがありました。

今後、効果を明らかにすることなどの研究をさらに進め、令和5年度も分析研究の継続が予定されています。