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20211026
教育
研究

【世界初】飲酒で生じる新規のDNAの傷を修復するメカニズムを発見~理学部化学科 倉岡功 教授~

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福岡大学理学部化学科の倉岡功教授は、DNAの構造に異常を与える傷とその修復、変異を研究しています。今般、飲酒で生じる新規のDNAの傷を修復するメカニズムを世界で初めて発見し、2021年9月21日付けの論文『Carcinogenesis』に掲載されました。

「私たちは薬を作れるわけでも道具を作れるわけでもありませんが、原理を調べることはできます。それが理学部であると思っています」と倉岡教授は話します。研究内容や今後の目標などについて話を聞きました。


−研究内容や授業について教えてください

私は、DNAの構造に異常を与える傷とその修復、そして変異を研究しています。DNAは、生物の情報が詰まった大切な分子です。生物は、遺伝子としてそれを大切に保管・維持し、次の世代に受け渡しています。この情報に誤りが生じると、ヒトには“がん”や“老化“の症状が現れます。その基本的な原理を解明していきたいと考え、研究しています。その基本的な原理を解明するためには、生物における化学的な視点を得る必要があります。授業では、生物化学の講義とその実験を行っています。また、YouTubeを使用し、楽しく学べるようにも工夫しています。
大学院でも授業をしていますが、そちらはできるだけ英語で行っています。英語はいわゆる科学のための道具であり、世界的な発信において必要不可欠であると思っているので、積極的に取り入れています。


飲酒で生じる「アセトアルデヒド」よるDNAの傷が“がん”の原因になり、

その傷を修復するメカニズムを表しています。

−研究を始めたきっかけは?

私は、もともと学校の先生になりたいと思っていました。しかし、当時の私は教科書に書かれていることだけを勉強することに楽しさを見いだせていませんでした。大きな転機となったのは、大学4年次生になって研究室に配属されたことです。そこで、研究の楽しさを知りました。一般的に大学では、基本を1~3年次生で勉強して、そこで学んだ知識を生かして4年次生で研究室に配属されるという流れです。研究室に所属して、自分の行った研究の成果が世界初の発見につながると知った時、すごくワクワクして勉強が楽しくなったのを覚えています。誰も知らないことを初めて知ることができる、それはとても楽しく、感動的で喜びを感じることができます。これがきっかけとなり、学校の先生志望から科学者志望に変わりました。大学院に進学、日本学術振興会特別研究員として英国がん研究基金に留学などを経て、現在、本学理学部の教授をしています。いまだに学生さんと共に研究を進めていて、終わりがないところが面白いところでもあります。

今後の研究の目標について

私としては、「どのような環境においてどのような突然変異が生じるのか?」「その変異をなくすためにはどうすればいいのか?」この2つの点において研究を進めたいと考えています。最終的には、遺伝情報の異常である変異の研究を行いたいと考えています。
人の遺伝子は、30億塩基対も存在していますが、些細な変異が“がん”という病気を引き起こしたり、“老化”を導いたりします。その化学的な変化を今後も追究していきたいと思っています。このような研究は、いわゆる基礎研究と呼ばれるもので、すぐに人の役に立つというものではありません。しかしながら、その重要性は未来をつくることではないかと考え、私は「No Science, No Future!」という座右の銘のもと、今後も研究を続けていこうと思っています。

 

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