福岡大学工学部社会デザイン工学科の景観まちづくり研究室が7年前から携わる、大分県津久見市でのまちづくりの取り組みが、第25回防災まちづくり大賞において、「日本防火・防災協会長賞」を受賞しました。
大分県津久見市では、南海トラフ地震発生時の津波対策や、河川の氾濫による浸水対策などの防災機能の強化に加え、市街地における市民の日常生活の快適性や、市街地における観光客の周遊性の向上など、さまざまな課題を抱えていました。こうした課題を踏まえ、大分県庁や津久見市役所、NPO法人まちづくりツクミツクリタイと福岡大学景観まちづくり研究室が手を組み、さまざまな取り組みを行ってきました。
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コンテナ293号とCafe1/2(ニブンノイチ)の設置による拠点づくり
市の中心部に位置するつくみん公園に、イベントや活動、市の情報発信の拠点となる「コンテナ293号」を設置しました。また、旧西日本銀行跡の宮本共有会館を一部改装し、「Cafe1/2(ニブンノイチ)」を設置しました。情報発信の拠点の役割を担うほか、災害時のボランティアの待機場所としても活用されています。
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スイーツ×防災マップの作成による市街地周遊と防災意識の啓発
津久見市を中心に、市街地周遊の促進と、災害時における避難意識の啓発の両方を目的とした「スイーツ×防災マップ」を作成しました。
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災害対策と都市再生の一体的整備計画の策定
2017年の台風18号による河川の氾濫被害を受け、市街地を流れる津久見川は同年12月に激特事業に採択されました。これに伴い、川幅を広げる等の防災機能の強化が行われるとともに、災害対策と都市再生の一体的な整備計画が策定されました。この計画策定にあたり、福岡大学景観まちづくり研究室の学生も主体的に関わりました。
- 受賞を受けてのコメント
柴田 久教授(工学部社会デザイン工学科)
近年、我が国の至る所で災害が多発しています。2017年に台風18号の豪雨被害に見舞われた大分県津久見市で、当研究室は災害前から約7年間、同市のまちづくり支援に携わってきました。そうした津久見市での継続的な活動が今回、「防災まちづくり大賞」として評価されたことは本当にうれしい限りです。今回の受賞をきっかけに津久見市のまちづくりがより一層活発化し、豊かな市民生活の創出につながることを切に願っています。
原田 佳奈さん(工学部社会デザイン工学科4年次生)
私は主に、防災を目的とした津久見川の拡幅事業の設計活動に携わりました。事業関係者の「災害に見舞われた住民の皆さんが今後も津久見川沿いに住みたいと思ってもらえる、魅力的な河川空間を創る」という熱意や、具体的なデザイン手法は大変勉強になりました。完成した津久見川とその周辺空間がどのような場所になるのか、今後がとても楽しみです。4月からは、国土交通省で働きます。この経験を生かして頑張っていきたいと思います。