12月15日(火)、TVQ九州放送「ふくサテ!」(16:59~17:35)で、福岡大学理学部地球圏科学科の柚原雅樹助教が糸島市・佐波の海岸に現われた「蛇のような岩石」のでき方について解説します(放送局の都合で放映日時や内容が変更になる場合があります)。ぜひご覧ください。
柚原先生の研究内容について話を聞きました。
今回のテレビ放映で解説した“蛇のような岩石”のポイントは、「マグマだまりにおけるマグマの分化過程」で、花崗岩質マグマと苦鉄質マグマの相互作用でした。
●研究を始めたきっかけについてお教えください。
花崗岩マグマだまり研究のきっかけは、志賀島(福岡県福岡市)で偶然見掛けた風景に感動したからです。それは、白い花崗岩の中にしずく状の黒い岩石が多量に含まれている模様でした。このような花崗岩が山奥でなく、アプローチしやすい福岡の海岸で見られることで、花崗岩質マグマと苦鉄質マグマの相互作用の研究を思い立ちました。
●研究の魅力、面白さをお教えください。
直接見ることはできない地下深部で生成されたモノを、手に取り観察できるのが最大の魅力です。これらの岩石はできて数千万年から数億年経っているので、複数の地質現象が絡み合い組織も複雑化しています。それらを一つ一つ丹念に紐解いていく過程が面白いのです。事件捜査で真相に迫るといった感じです。これまでも、南アフリカ、南極大陸、タイなどにも赴いたのですが、調査のたびに、新たな岩石を見つけたり、別の生成過程が検証されたり、やればやるほど更なる問題や課題・仮説が生まれてきます。地球での現象をわれわれ人類が全て解明できるわけはないのですが、やっぱり「やめられない、とまらない」のが私の研究です。
●研究の今後についてお教えください。
北部九州には白亜紀に形成された花崗岩類が広く分布しますが、筑紫山地の花崗岩研究はなかなか進んでいません。これらの花崗岩類には苦鉄質マグマと花崗岩質マグマのさまざまな相互作用が記録されているので、それを丁寧に調べることで、相互作用の多様性と過程の詳細を明らかにできると考えています。また、志賀島には世界でも数例しか報告されていない岩石が存在しますが、それを他地域で発見することも重要です。北部九州はこのように私の研究に適した地域ですので、学生と共に研究を進めていきたいと思います。