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2020108
研究

【基盤研究機関研究所紹介】福岡・東アジア・地域共生研究所~持続可能なコミュニティのモデルづくりに貢献~

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福岡大学では、研究活動の活性化と研究水準の向上を図り、本学における研究基盤の将来的構築に寄与することを目的に研究所を設置しています。

FUKUDAismでは、10ある「基盤研究機関研究所」について、一つずつご紹介します。

今回は「福岡・東アジア・地域共生研究所」の研究所長・星乃治彦教授(人文学部)に話を聞きました。


  • 研究所について、教えてください。

本研究所は、持続可能な地域コミュニティの在り方を模索・構築していくための領域横断的かつ実践的な学術領域とした「地域共生学」の創成を目指して立ち上げました。

「文化資源」「男女共同参画」「防災教育」「地域医療連携」の4つのテーマを柱に、福岡を中心とする北部九州の自治体、NPO、企業、教育機関、地域組織等とネットワークを構築して連携を行いながら、地域のさまざまな課題解決、また、活性化や発展を目的とした調査研究ならびに実践活動に取り組んでいます。
 

  •  「福岡・東アジア・地域共生研究所」で行っている研究について、教えてください。

1、地域の記憶プロジェクト

本プロジェクトは、過去の写真や住民の証言、新聞記事などの記憶資源を収集・保存し、それらをまちづくりの資源としてまちのブランドづくりや地域教育などの場面で活用するためのモデル構築に取り組んでいます。現在は福岡市城南区別府校区、三池エリア(熊本県荒尾市・大牟田市)、宗像市日の里地区の3カ所で、地域住民や行政機関と連携をしながら展開しています。

2、防災における人材育成事業

本研究所では、「防災教育」を一つの柱として設定し、地域防災力の向上のための調査研究や教育実践活動に取り組んでいます。本学での防災士養成プログラムを開発し、学生や地域住民の方を対象に講座を実施しています。

※両研究内容の詳細については、こちらをご覧ください。

別府校区で写真展を開催

日の里地区での住民への聞き取り

  •  この研究所での研究は、将来的に人々との暮らしにどう影響しますか。

福岡大学は総合大学としてさまざまな「知」を抱えています。その「知」を繋ぎ、地域の課題解決に向けた調査・研究と実践活動に取り組んでいくことで、これからの社会変動に対応した持続可能なコミュニティのモデルづくりに貢献していきます。
 

  • 所長である星乃先生がご専門にされている研究の魅力、面白さを教えてください。

「地域」という言葉をさまざま場で聞くようになりました。しかし、その実態は実に不明確なままで、理論的に整理されているわけではありません。そこで、学際的研究と実践活動を通して、地域の理論化に取り組んでいます。

私の専門はドイツ史ですが、1990年代以降、民族的少数者などによって構成される「小さな地域(Local)」を本質として捉え、その「小さな地域」を足掛かりにナショナルな歴史やヨーロッパという「大きな地域(Area)」を見る姿勢が高まってきました。プロイセン王国の中央集権的近代国家ではなく、多様な価値を認めるルーズなまとまりとして神聖ローマ帝国やハプスブルグ帝国などが肯定的に再認識されるようになってきたのです。その見方は、「地域」を考える上で大変示唆に富んでいます。

その考えを基に、七隈・福岡という「小さな地域」を見直し、国家という枠組みを介さずに、東アジアという「大きな地域」にどう位置付けていくかを考えるようになりました。これらを再検討し、理論的につないでいくことで、新しい「地域」を描くことができると考えています。