福岡大学でスペイン語を教えている金子奈美先生の、バスク語から日本語訳を行った『アコーディオン弾きの息子』(ベルナルド・アチャガ著)が発刊されました。
バスク語とは、スペイン北部とフランス南西部にまたがるバスク地方で話される少数言語です。
金子先生は、大学時代に訪れたイベントでバスク映画に出合ったことがきっかけで、バスクの文化を意識するようになりました。特に、バスク語文学『オババコアック』(ベルナルド・アチャガ著)の作品を読んだことで、バスク語への興味が高まったと言います。
初めて『アコーディオン弾きの息子』を読んで翻訳したいと思った時から、邦訳の刊行までに要した時間は15年。文芸作品を翻訳できるバスク語のレベルに達するのに数年、作品について調べて研究するのに数年、邦訳の企画を幾つかの出版社に持ち込んで刊行が決まるまでに数年、さらに翻訳を完成させるのに数年かかりました。
「600頁近い大部の長篇小説を最後まで訳しあげること自体が非常に大変だったのですが、登場人物それぞれの言葉遣いや言語使用が人物描写の重要な部分を占めているため、それを日本語にどう移し替え、訳し分けるかという点に苦労しました」と振り返ります。その上で、日本の読者にとって馴染みのない地域の小説を最後まで読み通していただけるよう、読みやすい訳文にすべく最後の最後まで修正を重ねて今回の発行となりました。
金子先生には、「少数言語を学ぶ魅力」についても教えていただきました。ぜひこちらからご覧ください。

『アコーディオン弾きの息子』の表紙