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202091
研究

【基盤研究機関研究所紹介】心臓・血管研究所~健康寿命の延伸にもつながる研究を遂行~

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福岡大学では、研究活動の活性化と研究水準の向上を図り、本学における研究基盤の将来的構築に寄与することを目的に研究所を設置しています。

FUKUDAismでは、10ある「基盤研究機関研究所」について、一つずつご紹介します。

今回は「心臓・血管研究所」の研究所長・三浦伸一郎教授(医学部)に話を聞きました。


  • 研究所について、教えてください。

    福岡大学病院循環器内科では、さまざまな先進医療技術を取り入れ、多くの心臓血管病の治療を実施してきました。本研究所は、さらにその診断・治療法を発展させるため、心臓血管病の基礎・臨床を包括する機関として2011年に設置しました。基礎研究の結果から、臨床の研究へ生かしています。

    基礎的研究では、治りにくい心不全の原因を見つけ、その治療法の開発、動脈硬化を抑制する治療薬の開発をしています。臨床研究では、冠動脈CT検査、冠動脈硬化の状態、冠動脈狭窄の治療術、下肢血管の狭窄治療術のデータを蓄積して、今後の治療の開発に役立つよう分析をしています。また、心血管病の方へのリハビリテーションの普及など、多岐にわたる基礎・臨床研究プログラムを推進しています。

    冠動脈狭窄治療術

    下肢血管の狭窄治療術(実施風景)

    下肢血管の狭窄治療術(造影所見)

  • 「心臓・血管研究所」で行っている研究について教えてください。

    1、血管の動脈硬化を抑制する治療法の開発

    動脈硬化が起こり始めると血管は硬くなり、コレステロールや脂肪が血管の壁に溜まることで、血管を狭くします。これを抑制すため、善玉コレステロールに似せた薬物を開発し、動脈硬化を抑制する方法を見つけます。

    2、心臓の働きを助ける治療法の開発

    心臓の肥大化や線維化は、その働きを弱めていきます。その結果、息切れがしたり足が浮腫んだりする心不全を引き起こします。アンジオテンシンⅡという体内の血圧を上げる物質の働きを弱める薬物を開発し、心臓の働きを助ける治療法を見つけます。

    3、CT検査で狭心症を早期発見する方法についての研究

冠動脈CT検査

 CT検査で心臓の筋肉に血液を送っている血管(冠動脈)に狭窄がないかを調べます。さらに、採血をして血中のさまざまな物質を測定し、冠動脈が狭窄している人とそうでない人とでは、どの物質の値に違いがあるかを研究しています。

 

  • この研究所での研究は、将来的に人々の暮らしにどう影響しますか。

日本において心血管病による死亡は、がんに次いで多い疾患です。心血管病発症の抑制および悪化の防止のため、さらには、平均寿命のみでなく健康寿命の延伸につながる研究を遂行しようと思っています。
 

  • 所長である三浦先生がご専門にされている研究の魅力、面白さを教えてください。

「困難であることを可能にする試み」が研究です。臨床で疑問に思ったことを調査し、解明されていないことがあれば、自ら計画して、それを実行に移していくところが魅力的です。基礎研究では、成功しても、失敗しても、その過程でさまざまな困難に遭遇し、解決していくという経験が最も大切であると考えています。また、研究テーマごとに若手医局員、大学院生に基礎および臨床研究に取り組んでもらうことで、若い研究者の養成に努めており、それが自らを高めることにもつながっていると思います。