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2020102
研究

【基盤研究機関研究所紹介】てんかん分子病態研究所~日本で唯一の大学付置専門研究所~

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福岡大学では、研究活動の活性化と研究水準の向上を図り、本学における研究基盤の将来的構築に寄与することを目的に研究所を設置しています。

FUKUDAismでは、10ある「基盤研究機関研究所」について、一つずつご紹介します。

今回は「てんかん分子病態研究所」の研究所長・廣瀨伸一教授(医学部)に話を聞きました。


  • てんかん分子病態研究所」で行っている研究について教えてください。

    てんかんはけいれん発作や意識が途切れるなどの発作が起こる病気の総称です。脳の不整脈とも言われ、100人に1人ぐらいの方に起こると言われている、比較的多い疾患です。子どもと高齢者に多く発症しますが、大半は内服薬で治療可能です。ところが、赤ちゃんの時期に見られるてんかんの中には治りにくく、その後障害を起こすものもあります。

    本研究所では、主にこういった赤ちゃんに起こる、治りにくいてんかんを対象に、遺伝子研究やiPS細胞等の最新技術を使って、てんかんが起こる仕組みを研究し、副作用がなく良く効くお薬を開発しようとしています。
  • 研究所のPRポイントをお教えください。

    てんかんの分子病態研究に特化した研究所は外国にはありますが、日本では福岡大学の本研究所が、日本で唯一の大学付置の専門研究所です。本研究所では、最新の遺伝子解析装置を複数有し、てんかんに関連する多くの遺伝子異常を発見しています。また、てんかんの患者さんからiPS細胞を樹立して、てんかんの病態を明らかにすることに、世界に先駆け成功しました。さらに、人間で見い出された遺伝子異常を持つ動物を遺伝子操作で数多く作出して、てんかんの症状を再現することにも成功しました。これらの技術を使用して、治りにくいてんかんの治療薬となりうる、新しい物質を発見しています。

    これらの業績により、文部科学省、厚生労働省、日本医療研究開発機構(AMED)をはじめとし、多くの競争的研究助成金を頂き、研究を発展させています。
  • この研究所での研究は、将来的に人々の暮らしにどう影響しますか。

    てんかんの多くは、その発症の分子病態、すなわち病気が起こる詳しい仕組みが分からず、病気の原因を治す治療薬が開発できずにいました。このため、てんかん患者さんの3割は、薬が効きにくかったり、副作用が出てしまってたりなどで困っています。我々がてんかんの仕組みを解明することができれば、根治薬を開発するのも夢ではありません。我々の研究が、特に小さなお子さんの患者が、発作がなく、元気に発育して、ご家族の方が安心できる将来のてんかん医療につながるものと信じています。
     
  • 所長である廣瀨先生がご専門にされている研究の魅力、面白さをお教えください。
     

     私は小児科医です。このため、病気に苦しむ子どもやその家族を見るにつけ、少しでもよい治療法を見つけたいと願うことは自然なことでした。一方、私の子どもの頃の夢は科学者になることでした。長い間謎であったてんかんの病態に最先端の技術を使って迫る度に、いまでも少年のように興奮します。この研究を通じて、少しでも子どもの役に立てるなら、私にとって本望です。