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202072
研究

【基盤研究機関研究所紹介】爆発天体研究所~宇宙のワクワクする謎に迫る~

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福岡大学では、研究活動の活性化と研究水準の向上を図り、本学における研究基盤の将来的構築に寄与することを目的に研究所を設置しています。

FUKUDAismでは、10ある「基盤研究機関研究所」について、一つずつご紹介します。

今回は「爆発天体研究所」の研究所長・固武慶教授(理学部物理科学科)にお話を聞きました。
 


 

  • 研究内容について、教えてください。

    太陽の重さのおよそ10倍よりも重い大質量星がその進化の最終段階に迎える超新星および爆発的コンパクト天体形成(中性子星・ブラックホールなど)がどのような物理的仕組み・メカニズムで起こっているのか、50年以上におよぶ精力的な研究にも関わらず、宇宙物理学における大きな謎として残されています。

    この謎を解明するために欠かせないのは、重力波・ニュートリノを含めた「マルチメッセンジャー天文学」、スーパーコンピューターを駆使した「大規模数値シミュレーション」です。

    本研究所では、大質量星の多次元進化から、爆発のダイナミクス・コンパクト天体形成に至るまでの物理過程について、国際共同研究・次世代観測による検証を視野に入れながら、理論的に解明することを目指しています。

    ※大質量星:太陽質量の約8倍以上の質量を持つ恒星のこと(オリオン座のベテルギウスなど)。
    ※重力波:時空のゆがみの時間変動が波動として光速で伝播する現象。
    ※ニュートリノ:電気的に中性(電荷ゼロ)で、重さ(質量)がほとんどゼロの粒子のこと。
    ※マルチメッセンジャー天文学:宇宙を光やニュートリノ、重力波で多角的に観測する新しい天文学のこと。

     
  • この研究所での研究は、将来的に人々の暮らしにどう影響しますか?

    この研究所で行われている研究は宇宙に関する基礎(理論)研究ですから、得られた成果が、すぐに明日の暮らしに役立つものではありません。

    ところで、「私たちの身の回りの多くの元素は元々、星の中で作られたものである」ということをご存知の方も多いかと思います。

    その意味で、私たちはいわば「星の子」であり、つまり星の爆発現象の理解は、究極的には「私たち人類がどこから来たのか?」という根源的な問いに通じます。
     
  • 先生がご専門にされている研究の魅力、面白さをお教えください。

    この研究所で取り組んでいるテーマ、例えば”ブラックホールがどうやって作られたのか?”など、宇宙のワクワクする謎に迫るテーマに数多く挑戦しています。

    従来の望遠鏡を用いた天文学に加え、ニュートリノや重力波といった宇宙から届く新しいメッセンジャーを観測することで、これらの爆発天体現象に関する理解がリアルタイムで進んでおり、理論研究と観測の両輪で研究が進んでいるのが、私が専門としている研究分野のエキサイティングな点です。

    ▼(画像)スーパーコンピューターを駆使した超新星爆発のシミュレーション例:
    図中のオレンジや赤い部分(ニュートリノによって加熱され高温になった部分)が膨張し、爆発に転じている様子を示す。


    提供:中村(爆発天体研究所),滝脇(国立天文台), 固武(爆発天体研究所), PASJ, (2019)より

  • 爆発天体研究所長 理学部物理科学科 固武 慶教授 『学園通信』取材記事はこちら
  • 爆発天体研究所についてはこちら(福岡大学研究推進部ウェブサイト)