2月10日(土)、福岡大学工学部社会デザイン工学科水工学研究室は、福岡市西部を流れる室見川で、地域の市民と共に「室見川シロウオ産卵場造成プロジェクト」を実施しました。工学部社会デザイン工学科水工学研究室の伊豫岡宏樹助教は、2011年から本プロジェクトを実施しており、今年で14年目となります(協力:福岡市水産振興課、室見川しろうお組合、室見川再生を語る会)。
伊豫岡助教らの調査によると、室見川の河口域は河川改修によって砂がたまりやすい構造となっており、シロウオの産卵場となる川底の石が砂に埋没してしまっていることが明らかとなりました。抜本的な解決には、川の構造を見直すことが必要ですが、取り急ぎの対処法として、「人為的河床かく乱」を行い、シロウオの産卵場やそこを利用する他の生物の生息環境を改善しようと始めたのが本プロジェクトです。
本プロジェクトは、河川の改修整備や水質環境、生態系の変化などの環境問題への対応を地域の方々と共に実践し、地域の力で身近な環境を維持・改善できることを示すための試みでもあります。
今年度は、干潮の時刻に合わせて14時30分から1時間ほど、本学教職員・学生、地域の方々などで川の中での作業を実施しました。事前の調査・解析により明らかになったシロウオの産卵が見込める場所で、砂に埋没している礫を底質表面に掘り起こし、産卵場となる環境を整備しました。また、川の中に投棄されていたゴミの撤去なども併せて行いました。
例年4月に水工学研究室が行っている調査では、本プロジェクトで造成された礫環境に実際にシロウオが産卵していることが確認されています。
地域による持続的な環境保全システムともいえる本プロジェクトを通して、多くの人が室見川の環境改善をはじめ、自然の大切さや身近な環境との関わりについて考える機会となることも期待しています。
-
関連リンク
西日本新聞me:シロウオが産卵しやすい川へ 福岡市の室見川で環境整備
工学部社会デザイン工学科ウェブサイト