福岡大学薬学部では、医療現場での多職種とコミュニケーションを図るために、3年次対象の科目「コミュニケーション学(責任者:神村英利教授)」で実践的なトレーニングを行っています。
授業では、価値観カードを使い、自分と他者の価値観の違いに気づき、相手を否定しないコミュニケーションの取り方を学びました。「人間関係」「薬学・医療人マインド」「守り・安定性」「攻め・積極性」「資質・性格」「成長・意欲」と6つに色分けされた価値観カードが1人5枚ずつ配布されます。毎ターン1枚ずつ引き、自分に合わない価値観のカードを捨てていき、最後に残った5枚をグループ内で発表するという手法です。
学生は「他者の価値観を聞いて、価値観は互いに押しつけてはいけないと改めて実感しました」と話します。
また、がん医療の現場を想定したロールプレイでは、医療者から患者へ「悪い知らせを伝えるコミュニケーション」を体験しました。学生は医療者役、患者役、患者家族役、観察者役に分かれ、10分間のロールプレイに挑戦しました。それぞれの役に真剣に向き合うことで、知識だけでなく、患者の感情に寄り添う対応の難しさを学びました。
学生は「ロールプレイによって、知識として知っている事と実際にできることは違うことを痛感しました」「他者のロールプレイから、患者の気持ちをどのように整理し、納得できる形にするかを学べました」という声が寄せられました。
本科目の評価を担当した中野貴文准教授(腫瘍・感染症薬学)は、「臨床の現場では、悪い知らせを伝える場面が実際にあります。そのような場面の深刻さをロールプレイを通じて、少しでも実感してもらいたいと思います。コミュニケーションのスキルは、トレーニングにより向上します。これからもさまざまな人とコミュニケーションを重ね、スキルを磨いてほしいです」と話します。
価値観カードを使ったコミュニケーションの実践
ロールプレイの様子
協力:福岡大学病院薬剤部、福岡大学筑紫病院薬剤部、病院薬学、腫瘍・感染症薬学、地域医療薬学、健康危機医療薬学、薬学教育学
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